薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。〜少年アレクの倫理で殴る学園ファンタジー〜

鮒捌ケコラ

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2章-2節.ヘルデス家の争続に巻き込まれた私は…

1.ヘルデス家から尋問を受けました。

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「(シュタッ)……ここがヘルデス邸か?」
「あぁ、そうだ。ここが、亡き者の金に手をつけようとする罰当たり共が蔓延る魔窟だ。」
「……その言葉セリフ、出来れば皮肉であって欲しかった。」
「奇遇だな、俺もだ。」

 てか……しれっとしてるけど、何ともないのか?

 追手に見つからずにここまで来る為に、昨日と同じ速度かつ縦横無尽に街中を駆け抜けたんだけど……

 そういえば、少し慣れたとも言ってたな。昨日の今日であのスピードと恐怖に慣れたってことか?

 だとしたら、順応力があまりにも人間離れしている。忌憚なく言わせて貰えば、人間かどうかも疑わしい所だ。

 私が言うのはものすっごくアレだけど。

「準備は良いか?」
「出発前に済ませて来た。」
「んじゃ(ガチャッ)早速入るか。」

 だが、今更水を差すのもあれだったから、大人しくテルマの促しに従った。

「お~い、今戻った…」
「おい!まだ見つからないのか!!」
「も…もうし訳ありません!!街中を捜索しておりますが、テルマの足取りは未だに掴めず……」
「そんな話が聞きたいんじゃない!」

 どうやら、取り込み中だった様だ。

「居場所の検討すらつかないのか!!」
「……強いて言えば、何者かが匿っているのやもしれません。」
「(スッ)なんだ。それを先に言わないか。」

 急に落ち着いたな。単純に要領を得ない解答に苛立ってただけなのか?

「ならば、どうすれば良いかわかっているな?」
「……家を一軒ずつ探しますか?」
「(はぁ~)馬鹿が。そんな事をすれば探している間に逃げられるではないか。少しは頭を使え。」
「で…ではどのように………」
「火を放て。」
「……はい?」
「火を放ち、炙り出せば容易い事だろう。」
「し…しかし!そうなると……」
「言い訳するな!わかったらさっさとやれ!!」

 なんだろう。とんでもない事を言い出してるんだけど。

「おい、聞いてんのか?」
「話を遮るな!!取り込み中だ!!見てわからないのか!!一体何処の馬鹿……は?」
「っ!?お…おま………」

 そりゃそうだよな。探してる奴が自分から訪れたら、そんなリアクションになるよな。

「炙り出さなくても、俺はここにいるぜ。」
「テ…テルマ?何故…」
「失せろ。」
「……へ?」
「疾く失せろ。これ以上、役立たずと交わす言葉はない。」
「は、はいっ!ただ今!!(ダダダッ)」

 報告をしていた男は、一目散に走り去っていった。

「さて………テルマ、よく戻って来たな。てっきり逃げたと思ったよ。」
「何言ってんだ?俺はちゃんと約束を守っただけだぜ?」
「ほざくな。お前、この後に及んで……ん?」

 テルマを睨む目線がこちらに移った。

「誰だ?貴様は。」
「お初にお目にかかります。テルマから事情を伺い参じました、アレクと申します。」
「(パチンッ)」
「「「(ザザッ)」」」

 合図で男達に囲まれた。

「(ニコッ)君が件のアレク君か。会いたかったよ。とてもとてもね。」

 鮮やかな掌返しだな。クズの匂いがプンプンする。

「君には聞きたい事がある。色々と聞かせてもらうよ?」
「もちろん、そのつもりです。」

 さて、前哨戦開始だ。


***


「……つまり、最後の挨拶をしようとしたが門前払いを受けた……と、言うことか?」
「はい。」

 ここはヘルデス邸。やや広い。私は今、あの日の調書を受けている。

「では何故、ここ数日姿を表さなかった?掲示板に書いた筈だが?」
「停学処分を受けてたので確認出来ませんでした。」
「そうか。」

 やけにすんなりしてるな。

「だが、何度も世話をしたそうじゃないか?」
「えぇ、しましたね。」
「その時、何か受け取らなかったか?」
「何か……とは?」
「例えば、手紙とか……」
「いいえ、全く。」
「本当か?」
「えぇ、本当です。」
「嘘をつくと、後の為にならないぞ?」
「嘘はついていません。」
「………そうか。」

 随分と疑るな。やっぱり怪しまれてないか?

「(バンッ)とぼけるなっ!!お前が鍵を握っているのはわかってんだよ!」

 うん。完全に怪しまれてるな。……まぁ、想定の範囲内だ。

「落ち着いてください。そもそも、あの先輩の話はどこまで信じてるんですか?」
「……どういう意味だ?」
「まず、あの日の先輩の行動を客観的に見ると、こうです。先輩は朝、掲示板を見て私が停学処分となった事を知った。だから、サボりがバレる前にマサールさんの世話をしに行った。病室で私を待っていたマサールさんには『私とシフトが交代になった』などと偽りを伝え、自分のサボりがバレない様に私を門前払いにした。先輩からもこんな風に話を聞いたんじゃありませんか?」
「そうだが、それがどうした?」
「これっておかしくないですか?」
「おかしい?何処がだ?」

 この反応……本気で気付いてないのか?

「私がマサールさんの世話をしていたのは放課後です。朝ではありません。だと言うのに、何故先輩は朝から待ち構えていたのでしょうか?自分の授業もほっぽり出して。」
「っ!?」
「そこまでする秘密には思えませんし、そこまでして隠し通した事を今さら明らかにするなんて、不自然です。」
「ならば、何故わざわざ告白したというのだ?」
「もっと大きな秘密を隠すためでしょう。」
「何?」
「例え話をしましょう。屋敷の戸棚から日に日に菓子が減っていたとします。その事で夜間に部屋から出ている使用人を呼び出しました。しかし、その使用人は屋敷の金庫からお金を着服していました。そんな状況で、夜間に出歩いている理由を問い詰めた時、その使用人は何と供述すると思いますか?」
「………夜間に菓子を食っていたと言うな。」
「でしょう?人は大きな秘密を隠す為に、小さな秘密を明かす事があります。例えそれがであったとしても。」
「っ………」
「よっぽどやましい事があったに違いありません。しかも、私は門前払いだけでなく、面会謝絶とまで言われました。その事は聞いていましたか?」
「……いいや、今日初めて聞いたな。」
「これって、一見するとサボりがバレる事を避けるための行動と思われますが、自分に疑いがかかる事を避けて私に疑いを擦りつけようとしたって可能性もありますよね?あの先輩、明らかに怪しいです。」
「では、彼が鍵を握っていると言うのかね?」
「……えぇ、あり得ない話ではないと思います。」

 今この男ははっきりと言った。『鍵を握っているのか?』と。

 キーパーソンという意味でも捉えられるだろうが、私には分かる。宝物の鍵を持っているのでは…という意図の質問であると。

 つまり、この尋問官も第三者が鍵を握っていると思っているのだ。

 だとすれば、あとひと推しだ。

「だから、私はとある仮説を立てました。最後まで落ち着いて聞いて頂けますか?」
「許可する。御託は良いから早く話せ。」
「まず、私はマサールさんのお世話をしていたので親しかったです。それは事実です。ですから、もしかしたらマサールさんは私に遺産を相続するつもりだったのかもしれません。」
「やっぱりか!!」
「あくまでも仮定の話です。落ち着いて聞いてください。」
「……わかっている。続けろ。」

 凄い食いつきだな。

「マサールさんが、私に遺産を相続するつもりだったとすれば、何らかの方法で私にその意図を伝えようとする筈です。」
「そうだ。だから我々はお前を……」
「しかし、それなら疑うべきは私ではなく先輩なんですよ。」
「なっ…何!?」

 さて、ここからが正念場だ。
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