のんびり灰かぶりは貧乏子爵様に嫁入りしました。『理屈屋と感覚派』

しぎ

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また後日

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床にうずくまり呆然とする第三王子を無視して会場を見回したアリス嬢は私たちのことを見つけるとぱっと顔を明るくした。優雅な動作で最大限に急いで私たちの前に立つ。
「話すのが遅くなってしまいすみません。私はフェネオン皇国第一皇女、アリスティア・フェネオンです。今後ともどうぞよろしく」
私たちも急いで最大級の敬意をこめた礼をする。周囲が私たちのことを恐る恐る見守っているのがわかる。
「お父様にウィレット子爵に助けられたことを伝えたら、礼を言うようにと。フェネオン皇国からあなた方に感謝を。あぁ、夫人のドレスはその一環です。すぐに説明が出来なくてすみません」
にこりと笑うアリスティア皇女。本当に私の着ているドレスはアリス嬢、ひいては皇国からの贈り物だったのか。会場中の空気ががちがちに凍る。もし私たちがこの国であまりよろしくない立場にあることをこの場で皇女殿下に洗いざらい話してしまえば、国がとんでもないことになる。
「・・・いいえ、大したことはしておりません。お気になさらず」
無表情にシルヴァン様が言う。落ち着いているように見えるけれど動揺しているのが私には分かった。
「いずれ、皇国に招待してもよろしいですか?子爵も、子爵夫人も」
私もぎこちなく微笑みを作り、「ありがとうございます」と震えた声でお礼を言うしかなかった。

アリスティア皇女が私たちのそばを離れ、会場の中心に戻る。いつの間にか震えていた手をお互い無意識に握り合う。今日私はこの国の王子にケンカを売り、皇国の皇女と親しくなった。とんでもないことだ。
「わー、すごいね。ウィレット子爵家一気に立場上がるね。伯爵家になったりして」
少し驚いた様子ながらまだのんびりとキャロルが言う。確かにシルヴァン様は皇国との同盟を結ぶ足がかりの一つになったということだから、そんなこともあるのかもしれない。
「・・・困るな、本を読む時間が減るかもしれない」
真面目な顔で言うシルヴァン様に肩の力が抜ける。まぁ確かに忙しくなるかもしれないが、お金が増えれば他の使用人も雇えるようになるかもしれないから、カレルとシャールカの負担を減らせるかもしれない。
「じゃ、私お母様たちのところに戻るね。ベルたちも帰るか、心の準備したら?周りの目凄いよ」
ばいばいと手を振ってキャロルが離れていく。周囲を見れば私たちを見る無数の目。ウィレット子爵家と親交をつなごうとする人たちの目だ。
「・・・帰ろう」
シルヴァン様と腕を組み早足に帰る。確かに私たちは周囲と交流を持つべきだ。
でも今日はあんまりにも疲れたので帰らせてほしい。
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