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カーティア、行く末を見守る。
「ねぇ、もう何でもいいから邪魔しないでよ。この際あんたも幸せになっていいからさ。私の幸せの邪魔さえしなきゃいいの。私がお姫様になったらあんたのこと側近にしてあげてもいいよ。ほら、だから、ね?」
カーティアは頭を振る。ぼんやりとしそうになる意識を少しでもましにするために。
彼女は、シャルロットは何も理解していないのだ。まだ、幸せになれる気でいるのだ。
カツン、と後方から音がした。
カーティアはシャルロットから視線を逸らせなかったがアルドは無意識のように後ろを振り返り、あ、と吐息を漏らした。
「・・・バークレイ殿」
カツン、カツンと靴音を立てながらダレンが階段を上って来た。顔色がひどく青ざめているが特に大きな怪我はないようだった。
「・・・メラーニ嬢、ティローネ殿、先ほどは助けてくれてありがとう。私にもシャルロットと話をさせてくれ」
よろりとふらついた足取りながらまっすぐに歩くダレンが、セストに向けて手振りでシャルロットから離れるように告げる。心配そうな顔で離れたセストは我慢ならずに駆け寄ったテオフィラと寄り添い手を強く握り合った。
「あ、ダレン、本当に無事なんだ」
ぽかんとした表情のシャルロットがそれでも癒しの力を使おうとしたのか手のひらを淡く光らせる。その手に触れたダレンが深く俯き、はあとため息を吐いた。
「・・・シャルロット、君は私に夢を語ってくれたね。この国のために癒しの力を使いたい、困っている人をみんな助けたい、と。まっすぐに夢を語る君が眩しくて私はそんな君を守りたいと思ったんだ。・・・あれは、全部、嘘なのか?」
縋るようなダレンの視線に対してさえシャルロットは不思議そうな顔をする。
「嘘なわけないじゃん。ほんとだよ。だって『シャルロットはそうして癒しの力で国中の人を助けました、めでたしめでたし』なんだから。ハッピーエンドのためには癒しの力が不可欠なんだよ?そこにちょっと幸せを足すだけ。ダレンだってお姫様と結婚したいでしょ?」
視線を揺らして、拳を強く握りしめて、ダレンはシャルロットの顔を覗き込む。今すぐに「冗談だよ、全部嘘だよ」と笑ってくれないかと微かな希望を求めて。
何も変わらないシャルロットに唇をかみしめて、ダレンはシャルロットの手を握る力を強くする。
「・・・シャルロット・シャノン子爵令嬢。君には聞かなくてはならない話がたくさんあるようだ。ここで出来る話ではない。騎士団まで来てもらおうか」
なんで?というようにぽかんとした表情のまま、シャルロットはダレンに手を引かれパーティ会場を後にする。
カーティアと再び視線を合わせることもなく、主人公は退場した。
カーティアは頭を振る。ぼんやりとしそうになる意識を少しでもましにするために。
彼女は、シャルロットは何も理解していないのだ。まだ、幸せになれる気でいるのだ。
カツン、と後方から音がした。
カーティアはシャルロットから視線を逸らせなかったがアルドは無意識のように後ろを振り返り、あ、と吐息を漏らした。
「・・・バークレイ殿」
カツン、カツンと靴音を立てながらダレンが階段を上って来た。顔色がひどく青ざめているが特に大きな怪我はないようだった。
「・・・メラーニ嬢、ティローネ殿、先ほどは助けてくれてありがとう。私にもシャルロットと話をさせてくれ」
よろりとふらついた足取りながらまっすぐに歩くダレンが、セストに向けて手振りでシャルロットから離れるように告げる。心配そうな顔で離れたセストは我慢ならずに駆け寄ったテオフィラと寄り添い手を強く握り合った。
「あ、ダレン、本当に無事なんだ」
ぽかんとした表情のシャルロットがそれでも癒しの力を使おうとしたのか手のひらを淡く光らせる。その手に触れたダレンが深く俯き、はあとため息を吐いた。
「・・・シャルロット、君は私に夢を語ってくれたね。この国のために癒しの力を使いたい、困っている人をみんな助けたい、と。まっすぐに夢を語る君が眩しくて私はそんな君を守りたいと思ったんだ。・・・あれは、全部、嘘なのか?」
縋るようなダレンの視線に対してさえシャルロットは不思議そうな顔をする。
「嘘なわけないじゃん。ほんとだよ。だって『シャルロットはそうして癒しの力で国中の人を助けました、めでたしめでたし』なんだから。ハッピーエンドのためには癒しの力が不可欠なんだよ?そこにちょっと幸せを足すだけ。ダレンだってお姫様と結婚したいでしょ?」
視線を揺らして、拳を強く握りしめて、ダレンはシャルロットの顔を覗き込む。今すぐに「冗談だよ、全部嘘だよ」と笑ってくれないかと微かな希望を求めて。
何も変わらないシャルロットに唇をかみしめて、ダレンはシャルロットの手を握る力を強くする。
「・・・シャルロット・シャノン子爵令嬢。君には聞かなくてはならない話がたくさんあるようだ。ここで出来る話ではない。騎士団まで来てもらおうか」
なんで?というようにぽかんとした表情のまま、シャルロットはダレンに手を引かれパーティ会場を後にする。
カーティアと再び視線を合わせることもなく、主人公は退場した。
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