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カーティア、傍観する。
「あ!アルド!カーティアさんと一緒にいるのね!何だか顔色が悪く見えるわ、大丈夫?」
早速仕掛けてきたシャルロットにカーティアはため息が止まらない。早すぎる。露骨すぎる。ちらりとアルドの方を見ると、アルドは感情の分かりにくい無表情のまま、
「…特には。君こそ何故メラーニ領に?しかもバークレイ殿とともに。遊びに来るにしてはここは学園から離れているが」
とシャルロットに声をかけた。
心配げな顔を作ったままシャルロットは、首を横に振る。
「今そんなことどうでもいいでしょ?自覚ないかもしれないけど、アルド、とっても顔色悪いよ?ほら顔色真っ青でほっぺが真っ赤!熱があるんだって、ほら、私たちと一緒に学園に帰ろう?あ、カーティアさんに止められる?大丈夫、私が助けるから!」
カーティアは、僅かに唇を歪めた。原作のシャルロットとやろうとしていることは同じだろう。具合の悪そうなアルドをカーティアから引き離そうとするシャルロット。それが無理やりで強引で、原作のシャルロットとは違いすぎるだけだ。最後までカーティアの事すらも気遣う心を持っていた原作のシャルロットとは。
カーティアは。『白銀の騎士と癒しの姫君』の主人公であるシャルロットのことが大好きだった。
「…必要無い。…カーティア、何か目的があるのだろう。早く行こう」
他のことを考えていたカーティアの意識を引き戻すように、アルドは服の袖を僅かに引いた。
目を瞬かせたカーティアが口を開く前に、ずいとシャルロットが2人の間に割り込む。
チ、と舌打ちが響いてカーティアはぽかんと口を開けた。
ひどく座った目でアルドがシャルロットを見つめていた。
「…シャルロット、彼らを邪魔しないでおくべきだ。せっかくの休暇なのだから、楽しいことをしよう、2人で、ほら」
困り眉で、ダレンがシャルロットの肩を引き寄せる。まだ何か言いたげなシャルロットの体をくるりと反転させ、僅かに頭を下げて、急ぎ足でダレンは街の中へと歩いていった。
「…一緒に行けば良かったのに」
「…馬鹿なことを言わないでくれ。冗談じゃない」
吐き捨てたアルドはす、とカーティアに向けて手を差し出した。その手を取って2人は歩き出す。
学園の中ではアルドはシャルロットとは親しそうに見えたのに、とカーティアは内心首を傾げた。今のアルドは無関心を通り越して少し嫌悪すらしているように見える。…そういえば、アルドがシャルロットに話しかけている様子は見たことがないかもしれない、とカーティアは思った。
「…で、どこに行きたいんだ、どうせ本屋だろう。西側と東側、どっちのだ」
「…西側だけど、今日は本屋に行くわけじゃないの」
僅かにアルドが首を傾げてみせた。
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「…特には。君こそ何故メラーニ領に?しかもバークレイ殿とともに。遊びに来るにしてはここは学園から離れているが」
とシャルロットに声をかけた。
心配げな顔を作ったままシャルロットは、首を横に振る。
「今そんなことどうでもいいでしょ?自覚ないかもしれないけど、アルド、とっても顔色悪いよ?ほら顔色真っ青でほっぺが真っ赤!熱があるんだって、ほら、私たちと一緒に学園に帰ろう?あ、カーティアさんに止められる?大丈夫、私が助けるから!」
カーティアは、僅かに唇を歪めた。原作のシャルロットとやろうとしていることは同じだろう。具合の悪そうなアルドをカーティアから引き離そうとするシャルロット。それが無理やりで強引で、原作のシャルロットとは違いすぎるだけだ。最後までカーティアの事すらも気遣う心を持っていた原作のシャルロットとは。
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「…必要無い。…カーティア、何か目的があるのだろう。早く行こう」
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目を瞬かせたカーティアが口を開く前に、ずいとシャルロットが2人の間に割り込む。
チ、と舌打ちが響いてカーティアはぽかんと口を開けた。
ひどく座った目でアルドがシャルロットを見つめていた。
「…シャルロット、彼らを邪魔しないでおくべきだ。せっかくの休暇なのだから、楽しいことをしよう、2人で、ほら」
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「…一緒に行けば良かったのに」
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「…で、どこに行きたいんだ、どうせ本屋だろう。西側と東側、どっちのだ」
「…西側だけど、今日は本屋に行くわけじゃないの」
僅かにアルドが首を傾げてみせた。
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