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番外
お誘い
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「…婚約解消、できなかった?」
渋い顔をしてベンネルが頷いた。
パーティが終わってからしばらくベンネルは忙しかったみたいで会えなかった。久しぶりに会って2人でお茶を飲みながら最初に言われたのがそれだった。
「僕とメーレの合意があるのに、父が許さなかった。レーブとカルの婚約者2人も婚約解消を申し出たそうだが彼らの家はそれを許さなかったらしい。折角レーブ達も解放されるチャンスだったのにな」
ベンネルは悔しそう。私もあんな人前で婚約解消を大々的にやるのが納得できなかっただけで、ベンネルとメーレが婚約を解消してくれるのは嬉しいことだから、少し悲しい。
「…あれ?ミアは婚約解消お願いしなかったんだね?」
「ミア?…あぁ、ブレイグの婚約者か。彼女が何かしたとは特に聞いていないな。アカリは彼女のことが気になるのか?」
それともブレイグのことが?
声を潜めたベンネルが顔を近づけてくる。
甘い瞳をしたとんでもないイケメンが近距離。すごく照れる。
「そんなんじゃないよぉ。1人だけ不思議だなってだけ。それに」
顔が近づいたベンネルの耳元で言う。
「今度のお茶会にミアに来てほしいなって思ってるの」
内緒にしなくてもいいんだけど、イチャイチャする口実にしたくてコソコソ話した。
「聖女のお茶会。もうそんな時期か、懐かしいな。先代のアイリス様の時に僕も呼ばれた記憶がある。あれはなかなかいいものだった。それにアカリ主催のパーティは初めてだな。僕もいろいろ応援する」
ベンネルに優しく頭を撫でられる。
あと一月ぐらいしたら、私は『聖女のお茶会』というものを主催しなくちゃならない。聖女の義務なんだって。
貴族の子供と学園の友達を聖女がもてなすパーティで、1番大きな教会の庭でするガーデンパーティらしい。
ベンネルの他にもレーブやブレイグ達も誘ったら了承してくれたけど、どうせなら学園の女の子にも来て欲しい。
だからミア達を誘いたいんだよね。私が少しでも親交みたいなものがあるのは彼女達だし。
後で声を掛けてみよう。
渋い顔をしてベンネルが頷いた。
パーティが終わってからしばらくベンネルは忙しかったみたいで会えなかった。久しぶりに会って2人でお茶を飲みながら最初に言われたのがそれだった。
「僕とメーレの合意があるのに、父が許さなかった。レーブとカルの婚約者2人も婚約解消を申し出たそうだが彼らの家はそれを許さなかったらしい。折角レーブ達も解放されるチャンスだったのにな」
ベンネルは悔しそう。私もあんな人前で婚約解消を大々的にやるのが納得できなかっただけで、ベンネルとメーレが婚約を解消してくれるのは嬉しいことだから、少し悲しい。
「…あれ?ミアは婚約解消お願いしなかったんだね?」
「ミア?…あぁ、ブレイグの婚約者か。彼女が何かしたとは特に聞いていないな。アカリは彼女のことが気になるのか?」
それともブレイグのことが?
声を潜めたベンネルが顔を近づけてくる。
甘い瞳をしたとんでもないイケメンが近距離。すごく照れる。
「そんなんじゃないよぉ。1人だけ不思議だなってだけ。それに」
顔が近づいたベンネルの耳元で言う。
「今度のお茶会にミアに来てほしいなって思ってるの」
内緒にしなくてもいいんだけど、イチャイチャする口実にしたくてコソコソ話した。
「聖女のお茶会。もうそんな時期か、懐かしいな。先代のアイリス様の時に僕も呼ばれた記憶がある。あれはなかなかいいものだった。それにアカリ主催のパーティは初めてだな。僕もいろいろ応援する」
ベンネルに優しく頭を撫でられる。
あと一月ぐらいしたら、私は『聖女のお茶会』というものを主催しなくちゃならない。聖女の義務なんだって。
貴族の子供と学園の友達を聖女がもてなすパーティで、1番大きな教会の庭でするガーデンパーティらしい。
ベンネルの他にもレーブやブレイグ達も誘ったら了承してくれたけど、どうせなら学園の女の子にも来て欲しい。
だからミア達を誘いたいんだよね。私が少しでも親交みたいなものがあるのは彼女達だし。
後で声を掛けてみよう。
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