きっと私は悪役令嬢

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あの悪夢のような昼食の後は宣言していた通り読書となった。

我が家のそれほど大きくない書庫で二人で各々本を読む。

一応私はボロを出さない為に竜王シリーズの第一巻を読んでいた。
実はお兄様に進められた時は1・2ページで読むのを止めたのだ。
その時は恋愛小説にハマっていたから読む気も起きなかったというのが正直な所だ。

「それは、第一巻ですね」
 目敏くルドルフ様が私の持っている本を目敏く指摘して来る。

「はい。先程お話しして久し振りに最初から読んでみようと思いまして」 

嘘です。
まさかルドルフ様の前で恋愛小説を読む訳にはいかず、仕方なくこの本を手にしたまで。

「分かります。最初からもう一度読みたくなる気持ち。僕も時折以前読んだ本を読み返す事があります。その時は気付かなかったけれど、後から読み返すと分かる事や気付く事もありますからね」

凄く紳士的に共感してくれている所悪いんだけど、私のは全然そういうのではないから。

本当ならお気に入りの恋愛小説を読み返したいのに、あんたが居るから仕方なく兄に勧められた本を読んでいるだけだから。

多分こういう機会がなければ手に取る事もなかった本。

渋々と読み出した私が一時間後ドハマりしていたのだから恐ろしい。

ルドルフ様が何か話し掛けて来るけど、そんなのお構い無しに読書にふける。

曖昧な返事をしていた事を後から後悔する事になるのは言うに難い。

それほどにハマってしまったのだ。

故に、夕方にルドルフ様が帰った後も本を読みふけっていた私が、この時話を聞いていた侍女の話をまともに聞かなかったのは痛恨のミスだったのだ。