きっと私は悪役令嬢

麻生空

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さて、一段落した所で綺麗なお姉さん達と採寸を始めた。

勿論ミランダさんは別室で横になっている。

「下はさっき採寸しているので、上を……シャツを、脱いで頂けるかしら」

躊躇いがちにお姉さんが言う。

「はい」

「「ゴクリ」」

リボンをほどいてボタンを外す。

スルリとシャツを脱ぐと、二人のお姉さんは何故かため息をついた。

「どうしましたか?」

何か悪かったのだろうか?

「サラシで胸を潰されているのですね」

「はい」

「一時的なら良いのですが、長時間だとお胸の形が悪くなってしまうので、あまりお勧めはしません。それに、これでは呼吸が苦しくはないですか?」

「確かに」
 
そんなに胸は大きくはないけど、何時もより呼吸が上がりやすいんだよね。

「実は、女性騎士が普段防護用に着けるベストをステラ劇団の男形ように作った物があるんだけど」

ステラ劇団は女性だけで構成されている劇団だ。

「そんなのがあるのですか?」

「ええ。もし、良ければ試着して見ますか?」
お姉さんがサッと鞄から一枚の厚めのベストを取り出す。
「はい、是非とも」

実は、前回の遠出の時にサラシはキツイなぁと思っていたんだよね。

どうせ女同士だからと試着も手伝ってもらい着用すると。

「凄い。圧迫感がそんなにない」
サラシの時のような締め付け感が少なかった。
「全然圧迫感がない訳ではないのですが、これなら変な蒸れもないのでお勧めです」

何気にセールスしてくる所も凄いけど、サラシだと巻くのに十数分もかかっていたのに、これならただ着るだけなので簡単だ。

「これ、おいくらですか?」

そう聞くと 

「今回のボスの迷惑料だと思って貰って下さい」 
と笑顔の対応。

因みに、目尻に黒子のあるお姉さんがララさんで、もう一方がミミさんなのだそうだ。
二人は双子で、何とミランダさんの娘さんだと言うのだから驚きだ。

男性用の服は夜会当日に王宮に部屋を予約して届けてくれる事になりました。

勿論ベストもつけてくれるとの事。

「何せ、お二人に着て頂かなくては売上になりませんから」
とのお話だ。

ミランダさんは兎も角、この綺麗なお姉さん達に迷惑は掛けれない。

予約はブランデで取るとの事で当日の愁いは取れた。

この出会いには感謝かな?



そして、帰りにエドにふんした私を見たミランダさんが闘牛のように私目掛けて突進して来た。

ガシン。

「「お見事です」」

見事に私の足がミランダさんの顔面に直撃していた。
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