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1それは些細な綻び
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「ニュースの時間です」
家族全員が出掛けた後の平日の日中。
昼食を済ませてお茶を飲みながらテレビを呆然と眺めていた。
特に何かを見たい訳ではない。
「先日、登校中に行方不明になっていた○○さんの行方は未だ分からず、同市内では、本日再び登校中に行方不明になった子供が出た事から連続誘拐事件との見解も……」
「またー?」
ここ最近多い事件なだけに思わず眉根が寄る。
同じ子供を持つ親として、とても許せるものではない。
「日本が平和と言われた時代は何時の事よ。警察は何をしているの?」
時計を見つつお茶菓子の煎餅を貪りながら散々行政の悪口を言い終わるとため息を付きながら立ち上がった。
「そろそろお買い物の時間だわ」
私には三人の子供がいる。
一番上は中学2年生の長女の名前は友梨香。
二番目に小学校6年生の長男剛。
一番末には小学校3年の次女美幸がいる。
中学生は部活があるから帰りは遅いので迎えには行かないが、小学校は迎えに行っている。
家のアパートから小学校の隣にある児童館までの間にあるスーパーに夕飯のおかずを買いながら、子供達のお迎えに向かうのだ。
「私の一人の時間も、もう終わりか」
そう言って立ち上がった私はテーブルの上に置いた鞄を取る。
パラリ。
何が落ちる音に、音のした方を見ると何もない。
そこには只の壁。
勿論窓もない。
「もう。何の音よ。お隣さんが何かしてるの?」
隣に住むのは若いカップルで、今時の若者だ。
二人してお揃いのピアスを着けて、とても子供達には見せられないような過激な格好をしている。
先日盛大に喧嘩をしていて大家さんから怒られたばかりだ。
勿論、チクったのは私だけども、多分隣人は気付いていないだろう。
きっと、あの若いカップルは大家さんにチクったのは家とは逆隣の氷室さんだと思っているに違いない。
けど、もしかしたら万が一に私がチクったとバレて仕返しをしようと思っている。とか?
「まさか、家との境目の壁を叩いたんじゃないよね」
そう言って壁の方へ近付くと、知らない内に壁に綻びが出来ていた。
「何、これ」
大きさにして1センチはないものの、壁紙が少しへがれている。
「嘘でしょう。修繕費いくらかかるのよ」
勿論、アパートを出る時に極力修繕費を使いたくない為に、壁には画ビョウも何もつけた事がない。
それなのに、どう見てもこれは内側から壊れている。
つまり、お隣さんのせいではないと言う事だ。
「もう。三人の内の誰かかしら。今夜にでも聞かなくっちゃ」
些細な現実に怒りを露にして私は何時ものルーティンをこなす為に再び動き出した。
家族全員が出掛けた後の平日の日中。
昼食を済ませてお茶を飲みながらテレビを呆然と眺めていた。
特に何かを見たい訳ではない。
「先日、登校中に行方不明になっていた○○さんの行方は未だ分からず、同市内では、本日再び登校中に行方不明になった子供が出た事から連続誘拐事件との見解も……」
「またー?」
ここ最近多い事件なだけに思わず眉根が寄る。
同じ子供を持つ親として、とても許せるものではない。
「日本が平和と言われた時代は何時の事よ。警察は何をしているの?」
時計を見つつお茶菓子の煎餅を貪りながら散々行政の悪口を言い終わるとため息を付きながら立ち上がった。
「そろそろお買い物の時間だわ」
私には三人の子供がいる。
一番上は中学2年生の長女の名前は友梨香。
二番目に小学校6年生の長男剛。
一番末には小学校3年の次女美幸がいる。
中学生は部活があるから帰りは遅いので迎えには行かないが、小学校は迎えに行っている。
家のアパートから小学校の隣にある児童館までの間にあるスーパーに夕飯のおかずを買いながら、子供達のお迎えに向かうのだ。
「私の一人の時間も、もう終わりか」
そう言って立ち上がった私はテーブルの上に置いた鞄を取る。
パラリ。
何が落ちる音に、音のした方を見ると何もない。
そこには只の壁。
勿論窓もない。
「もう。何の音よ。お隣さんが何かしてるの?」
隣に住むのは若いカップルで、今時の若者だ。
二人してお揃いのピアスを着けて、とても子供達には見せられないような過激な格好をしている。
先日盛大に喧嘩をしていて大家さんから怒られたばかりだ。
勿論、チクったのは私だけども、多分隣人は気付いていないだろう。
きっと、あの若いカップルは大家さんにチクったのは家とは逆隣の氷室さんだと思っているに違いない。
けど、もしかしたら万が一に私がチクったとバレて仕返しをしようと思っている。とか?
「まさか、家との境目の壁を叩いたんじゃないよね」
そう言って壁の方へ近付くと、知らない内に壁に綻びが出来ていた。
「何、これ」
大きさにして1センチはないものの、壁紙が少しへがれている。
「嘘でしょう。修繕費いくらかかるのよ」
勿論、アパートを出る時に極力修繕費を使いたくない為に、壁には画ビョウも何もつけた事がない。
それなのに、どう見てもこれは内側から壊れている。
つまり、お隣さんのせいではないと言う事だ。
「もう。三人の内の誰かかしら。今夜にでも聞かなくっちゃ」
些細な現実に怒りを露にして私は何時ものルーティンをこなす為に再び動き出した。
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