クレイジーなお嬢

麻生空

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プロローグ

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彼女、東条院遥は怒っていた。

『年の瀬を迎え、ますますご活躍のことと存じます。
さて、我が娘も来春には高校生となります。私もそろそろ老体の仲間入り。
娘が高校卒業と同時に我が東条院家は次代へとその権利を委譲したいと考えている次第です。
つきましては我が東条院家の慣例に習い、婿決めを致したくお知らせする次第です。
開始は我が娘の高校入学と同時とし、覇者が決まり次第古式ゆかしき伝統にのっとり縁を結びたいと思います。
何かと気忙しい季節です。御身大事にご活躍下さい。

東条院宗一』



「あり得ないは、人の伴侶を勝手に決めるなんて」

手に持つのは先日異能者の総統を勤める父が全国の有力な異能者の家に送った手紙だ。

「喧嘩上等。私が全ての挑戦者に勝ってこの馬鹿げた茶番を終わらせてあげるわ」

長く伸ばした髪を手で軽く触れると綺麗に切れる。

「誰も私には勝てない」

それは総統一族にも例を見ない程の異能。

「総統娘の意地でも決して」

それは彼女の誓いだった。
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