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王太子ルート回避出来ません6
「私……明日で17ですわよね?」
思いっきり頭を抱えている兄に詰め寄ったのは咄嗟の反応だった。
「お兄様は先日も殿下に「妹は16」だって言ってましたわよね」
私のその言葉に両親は何かを考えている様だ。
そして最初に口を開いたのは母で、何かを得心した様にポンと手を打つ。
「あの継承式の過ちをまだ引きずっていたのね」
そう言うと父も「成る程」と納得する。
納得出来ないのは私だけになり、兄が苦笑しながら説明を始めた。
「エマは覚えていないだろうが、私達の両親が公爵位を継ぐ為にここの庭で継承式をしたんだ」
あぁ。
あのオープニングで流れた幼い頃のヒロインが想い出の君との出会いの回想シーンですね。
「その時に招待した令息達は皆エマに夢中になったんだ。何せ稀に見る可愛さだったからね」
「はぁ」
何か他人事の様に聞こえてしまう。
だって、自分が知っているのはゲームのスチルのみ。
「でも、エマも知っている様に継承の儀式で伝えられて来た言葉が分からず、翌日から家族全員が見るに耐えない姿になってしまったんだ。多分エマが一番酷かったと思う」
「はぁ」
何故自分が一番酷かったのだろうか?
小さいから免疫がなかったのかしら?
確かに重度の花粉症で顔が破壊的にダメージを受けていたよね。
「あの日来ていた令息が翌日から毎日の様にエマに会いに来て大変だったな。特にセドリックは王権を傘に着せて会わせろと酷かった」
へぇ~あのセドリックがね……。
まぁ、俺様な所があるから納得かも。
「丁度あの日は儀式の言葉が分からなかったから、せめてもと家族で事前に話し合って、当日はエマの事を『アリア』と呼んでいたからね。だから翌日から『アリアは呪いのせいでもういない。事が事なだけに密葬にした』と涙を流して訴えて『エマはアリアの下の妹だ』と説明したんだ。だって、殿下は『アリアに会わせろ』と話しにならない位に取り乱していたからね。正直私達の命すら危うい程だったんだ」
私がアリアの妹で、私がアリア?
何だか頭がこんがらがって来る。
「えっ?」
「『家族全員悲しみに泣き続けて目も開かない位だ』と言ったら全員納得してくれたよ。だってまるで泣きはらしたような顔になっていたからね。それ以来、皆家に来る事はなかったよ」
何処か遠い目をしながら兄は説明するが……
「それって私の事を『アリア』と呼んだから私が一番症状が酷かったのでは?」
まさかまさかと思いそう言うと兄が
「まさか」
と否定する。
しかし、そんな二人の頭上から
「そうだ」
と凛とした声が降り注ぐ。
「エマ。明日は19だな。おめでとう」
その声と共にアリアが私達の前に姿を現す。
「祝福を」
そう言ってアリアは私の左の薬指に口付ける。
チリっとした熱がそこに残る。
「今までの悪戯のお詫びだ。そなたの未来に幸あれ」
アリアはそれだけ言うとさっと空に消える。
毎度思うが忙しい方だと思う。
パッと現れてパッと帰って行く。
何時でも呼んで欲しいと言う割にはだ。
そして、私は兄の方を見やると
「やはり『アリア』と呼んだせいではないですか!!」
と不機嫌に言った。
道理で自分が一番不細工だと思った。
これでも年頃の乙女だ。
私の今までの苦労は何だったのかと悲しくなる。
誕生日パーティーは散々な出だしだったが、その後は家族を始め使用人の皆に祝われながら楽しい一時を過ごす事が出来た。
勿論セドリックは婚約してから初の欠勤です。
だって毎日来るなら出勤簿が必要ですものね。
ウフフ……もう来なくて良いから。
そんな楽しそうに笑っていると兄と目が合う。
アンと並んだその姿に思わず溜飲が下がる。
今回は兄が悪い訳ではないので水に流そう。
そう思い笑顔を返す。
何せ明日は戦いなのだから。
そして、出来れば王太子の婚約者から離脱したい。
私はゲームのストーリーを思い出し、王太子ルート離脱を考える。
もうヒロインはイヴァンルート一本で、そうなると残るは悪役令嬢と王太子の政略結婚しかないだろう。
確か悪役令嬢は王太子の事が好きでヒロインに嫌みや嫌がらせをしているんだから、今からでもルートに乗せられるのでは?
そうして私は一人作戦を練る事にした。
まさか、その悪役令嬢も転生者だなどとは思いもせずに……。
思いっきり頭を抱えている兄に詰め寄ったのは咄嗟の反応だった。
「お兄様は先日も殿下に「妹は16」だって言ってましたわよね」
私のその言葉に両親は何かを考えている様だ。
そして最初に口を開いたのは母で、何かを得心した様にポンと手を打つ。
「あの継承式の過ちをまだ引きずっていたのね」
そう言うと父も「成る程」と納得する。
納得出来ないのは私だけになり、兄が苦笑しながら説明を始めた。
「エマは覚えていないだろうが、私達の両親が公爵位を継ぐ為にここの庭で継承式をしたんだ」
あぁ。
あのオープニングで流れた幼い頃のヒロインが想い出の君との出会いの回想シーンですね。
「その時に招待した令息達は皆エマに夢中になったんだ。何せ稀に見る可愛さだったからね」
「はぁ」
何か他人事の様に聞こえてしまう。
だって、自分が知っているのはゲームのスチルのみ。
「でも、エマも知っている様に継承の儀式で伝えられて来た言葉が分からず、翌日から家族全員が見るに耐えない姿になってしまったんだ。多分エマが一番酷かったと思う」
「はぁ」
何故自分が一番酷かったのだろうか?
小さいから免疫がなかったのかしら?
確かに重度の花粉症で顔が破壊的にダメージを受けていたよね。
「あの日来ていた令息が翌日から毎日の様にエマに会いに来て大変だったな。特にセドリックは王権を傘に着せて会わせろと酷かった」
へぇ~あのセドリックがね……。
まぁ、俺様な所があるから納得かも。
「丁度あの日は儀式の言葉が分からなかったから、せめてもと家族で事前に話し合って、当日はエマの事を『アリア』と呼んでいたからね。だから翌日から『アリアは呪いのせいでもういない。事が事なだけに密葬にした』と涙を流して訴えて『エマはアリアの下の妹だ』と説明したんだ。だって、殿下は『アリアに会わせろ』と話しにならない位に取り乱していたからね。正直私達の命すら危うい程だったんだ」
私がアリアの妹で、私がアリア?
何だか頭がこんがらがって来る。
「えっ?」
「『家族全員悲しみに泣き続けて目も開かない位だ』と言ったら全員納得してくれたよ。だってまるで泣きはらしたような顔になっていたからね。それ以来、皆家に来る事はなかったよ」
何処か遠い目をしながら兄は説明するが……
「それって私の事を『アリア』と呼んだから私が一番症状が酷かったのでは?」
まさかまさかと思いそう言うと兄が
「まさか」
と否定する。
しかし、そんな二人の頭上から
「そうだ」
と凛とした声が降り注ぐ。
「エマ。明日は19だな。おめでとう」
その声と共にアリアが私達の前に姿を現す。
「祝福を」
そう言ってアリアは私の左の薬指に口付ける。
チリっとした熱がそこに残る。
「今までの悪戯のお詫びだ。そなたの未来に幸あれ」
アリアはそれだけ言うとさっと空に消える。
毎度思うが忙しい方だと思う。
パッと現れてパッと帰って行く。
何時でも呼んで欲しいと言う割にはだ。
そして、私は兄の方を見やると
「やはり『アリア』と呼んだせいではないですか!!」
と不機嫌に言った。
道理で自分が一番不細工だと思った。
これでも年頃の乙女だ。
私の今までの苦労は何だったのかと悲しくなる。
誕生日パーティーは散々な出だしだったが、その後は家族を始め使用人の皆に祝われながら楽しい一時を過ごす事が出来た。
勿論セドリックは婚約してから初の欠勤です。
だって毎日来るなら出勤簿が必要ですものね。
ウフフ……もう来なくて良いから。
そんな楽しそうに笑っていると兄と目が合う。
アンと並んだその姿に思わず溜飲が下がる。
今回は兄が悪い訳ではないので水に流そう。
そう思い笑顔を返す。
何せ明日は戦いなのだから。
そして、出来れば王太子の婚約者から離脱したい。
私はゲームのストーリーを思い出し、王太子ルート離脱を考える。
もうヒロインはイヴァンルート一本で、そうなると残るは悪役令嬢と王太子の政略結婚しかないだろう。
確か悪役令嬢は王太子の事が好きでヒロインに嫌みや嫌がらせをしているんだから、今からでもルートに乗せられるのでは?
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