22 / 76
取り敢えずセドリック一択で2
セドリックが機嫌良く帰った後、自室でぐったりしているエマの元へ兄イヴァンがやって来た。
「やぁエマご苦労様」
こんな情事の後に兄が登場とか、どんな嫌がらせだろうか?
それも、兄は前世の私の一押しキャラである想い出の君だし。
そう思っていると、心配気にイヴァンがそっとエマの髪を撫でた。
「こんな事今更かもしれないけど、エマは本当にセドリックで良いの?」
本当に今更な事を聞かれたので思わず眉間に皺が寄る。
「あの時殿下に私の事を売ったのはお兄様ですよね」
あの時とは、あの屈辱のファーストキス事件の事だ。
「まぁ。否定はしない。あの時はまだセドリックがアンの事を妃候補に考えていてもおかしくない時期だったからね」
それは知っている。
何せアンはファーストシーズンのヒロインだ。
セドリックも攻略対象の一人である。
けど……
「私は風避けですか?」
意味は違うが私は兄とアンの仲を取り持とうとはしていた。
「そうだね。ごめん」
兄はとてもすまなそうに眉を下げる。
「嫌に素直ですね」
今までの兄とは何かが違う様に思う。
「まぁ、セドリックがこんなに執着して来るとは思わなかったけれど、少々遣り過ぎの様にも思えて来てね」
そう言われるとゲームの中の王太子は何でもそつなくこなし、冷静沈着で側近達を上手く使っている腹黒王子だったはず。
大体今の私の状況は王子からのアプローチ以外、他の攻略対象からは歯牙にもかけてもらっていない。
なのに、この急展開。
やはりイレギュラーな事をしてしまった私が悪いのだろうか?
そう言えばキャサリンは聖霊女王から印を頂くのはイヴァンだと話していた。
決して私ではない。
今からお兄様に聖霊女王の印を頂けば多少のゲーム補正があるのではないだろうか?
私はそう結論を付けると兄にその事を提案してみる。
言っておきますけど、今から言う事を私が望んでいる訳ではないのですからね。
あくまで兄に印を貰って頂く為の方便ですからね。
そうして、私は顔を引きつられながら言葉を紡いだ。
「お兄様。私が王家へ嫁げば我が家に聖霊女王と契約した者が居なくなってしまいます。これから虹の庭へ行きお兄様も聖霊女王と契約致しませんか?」
兄は一瞬目を瞬かせた。
「それもそうだね。エマがそこまで考えていたなんて……」
と温かく笑まれた。
一瞬春の陽だまりを連想させられるそれは……
うわっ眼福ものですわ。
レアスチルですわ。
思わず蕩けそうになるのを必死で押さえてベットから起き上がる。
髪の乱れを直すと兄が盛大に溜め息をついた。
「それ、セドリックがやったんだろう」
兄は頭を抱えながら再度溜め息をつく。
私は急いで姿見の所まで行くと首筋から鎖骨の周辺へと散らばるキスマークを見つけ硬直してしまった。
「取り敢えずストールで隠そうか」
散らばるキスマークに当分は首が隠れる様なドレスを着なくてはと、私まで溜め息が出る。
でも、こんなに無数に付ける事ないと思うんだけど。
こんなあからさまに、まだ未婚の乙女の首筋にキスマーク付けるかしら?
法とモラルの王太子らしくないと思うの。
「アンなら多少の治癒魔法が使えるから消してもらった方が良いな」
出ましたヒロインならではの魔法。
やはり乙女ゲームだな~と思う。
「セドリックには悪いけど未婚の乙女にこの量のキスマークは流石に無いと思う。口さがない者達に見られでもしたらどんな噂を吹聴するやら知れたものではないからね」
お兄様、尤もです。
私は納得する様に頭を縦に振る。
あれ?乙女って……お兄様ってセドリックの性格を知っていて16なんて嘘をあえてついてくれたのかしら?
そこまで計算して?
思わず兄を見上げながら物思いに耽っていると兄が盛大に苦笑した。
「エマが言う処の『妹を売った鬼畜な兄』は兄なりに妹の身の心配もしたんだよ」
そう言うと頬に軽くキスをして来た。
家族のキスを兄からされるのは初めての様な気がする。
……って言うか。
今のスチル保存して下さい!!
思わずマジで心から思っていると目の前に白い光の玉が現れて私の周りをクルクル回る。
そして
『スチルの保存が完了しました』
と聞き覚えのある音声がそう告げた。
えっ!今のってゲームの時のナビゲーションキャラの声だ。
まさか……と、そう思い
「オープン・ザ・コマンド」
と唱えると、複数の選択肢が目の前に展開する。
まさか……ゲームのまんま?
恐る恐る私はステータスを確認する
……
何ですかこの好感度……
セドリックの好感度がカンストしている……
愕然としていると兄イヴァンの名前もある事に気付き、またしてもフリーズしてしまう。
兄との好感度もカンストしている……何故?
そして自身のステータスや道具箱の中を確認して更に愕然とした。
あ~これ私が前世でやっていたゲームのデーターだ……。
それも、レベル上げとかコイン貯めとか面倒で最強データーとか使ったやつだよ。
但し攻略対象の好感度以外なのだが。
あ~道理でカンスト……。
それってズルじゃん。
って、やったの私か……。
単にゲームのストーリーを楽しみたいだけだったからね。
そして、アイテムを確認しているとーー
やっぱり好感度アップのアイテムが減っている。
どうやら私は無意識に好感度アップのアイテムを使用してしまった様だ。
でも、いつ?
と考えていると
「エマどうしたんだい?早くアンの処へ行こうか?それから虹の薔薇園へ行こう」
兄はそう言うと私の手を掴んで引いて行く。
そして、この繋ぎかたは
『包み込み繋ぎ』
うわっっっ!!
何このスチル……。
悶絶しそう。
内心身悶えしつつイヴァンに引かれて行くと
『オートでスチルが保存されました』
と声が響く。
ナイス!!
ナビゲーションキャラ!!
と、心の中で『 グッジョブ!!』をする。
あぁ、だから思う。
最後にやったのがエマお嬢様との友情エンドで本当に良かったと、でなければあの攻略対象(一人を除く)の誰かと大変な事になっていた……そう心の底から思ったのは言うに難い。
「やぁエマご苦労様」
こんな情事の後に兄が登場とか、どんな嫌がらせだろうか?
それも、兄は前世の私の一押しキャラである想い出の君だし。
そう思っていると、心配気にイヴァンがそっとエマの髪を撫でた。
「こんな事今更かもしれないけど、エマは本当にセドリックで良いの?」
本当に今更な事を聞かれたので思わず眉間に皺が寄る。
「あの時殿下に私の事を売ったのはお兄様ですよね」
あの時とは、あの屈辱のファーストキス事件の事だ。
「まぁ。否定はしない。あの時はまだセドリックがアンの事を妃候補に考えていてもおかしくない時期だったからね」
それは知っている。
何せアンはファーストシーズンのヒロインだ。
セドリックも攻略対象の一人である。
けど……
「私は風避けですか?」
意味は違うが私は兄とアンの仲を取り持とうとはしていた。
「そうだね。ごめん」
兄はとてもすまなそうに眉を下げる。
「嫌に素直ですね」
今までの兄とは何かが違う様に思う。
「まぁ、セドリックがこんなに執着して来るとは思わなかったけれど、少々遣り過ぎの様にも思えて来てね」
そう言われるとゲームの中の王太子は何でもそつなくこなし、冷静沈着で側近達を上手く使っている腹黒王子だったはず。
大体今の私の状況は王子からのアプローチ以外、他の攻略対象からは歯牙にもかけてもらっていない。
なのに、この急展開。
やはりイレギュラーな事をしてしまった私が悪いのだろうか?
そう言えばキャサリンは聖霊女王から印を頂くのはイヴァンだと話していた。
決して私ではない。
今からお兄様に聖霊女王の印を頂けば多少のゲーム補正があるのではないだろうか?
私はそう結論を付けると兄にその事を提案してみる。
言っておきますけど、今から言う事を私が望んでいる訳ではないのですからね。
あくまで兄に印を貰って頂く為の方便ですからね。
そうして、私は顔を引きつられながら言葉を紡いだ。
「お兄様。私が王家へ嫁げば我が家に聖霊女王と契約した者が居なくなってしまいます。これから虹の庭へ行きお兄様も聖霊女王と契約致しませんか?」
兄は一瞬目を瞬かせた。
「それもそうだね。エマがそこまで考えていたなんて……」
と温かく笑まれた。
一瞬春の陽だまりを連想させられるそれは……
うわっ眼福ものですわ。
レアスチルですわ。
思わず蕩けそうになるのを必死で押さえてベットから起き上がる。
髪の乱れを直すと兄が盛大に溜め息をついた。
「それ、セドリックがやったんだろう」
兄は頭を抱えながら再度溜め息をつく。
私は急いで姿見の所まで行くと首筋から鎖骨の周辺へと散らばるキスマークを見つけ硬直してしまった。
「取り敢えずストールで隠そうか」
散らばるキスマークに当分は首が隠れる様なドレスを着なくてはと、私まで溜め息が出る。
でも、こんなに無数に付ける事ないと思うんだけど。
こんなあからさまに、まだ未婚の乙女の首筋にキスマーク付けるかしら?
法とモラルの王太子らしくないと思うの。
「アンなら多少の治癒魔法が使えるから消してもらった方が良いな」
出ましたヒロインならではの魔法。
やはり乙女ゲームだな~と思う。
「セドリックには悪いけど未婚の乙女にこの量のキスマークは流石に無いと思う。口さがない者達に見られでもしたらどんな噂を吹聴するやら知れたものではないからね」
お兄様、尤もです。
私は納得する様に頭を縦に振る。
あれ?乙女って……お兄様ってセドリックの性格を知っていて16なんて嘘をあえてついてくれたのかしら?
そこまで計算して?
思わず兄を見上げながら物思いに耽っていると兄が盛大に苦笑した。
「エマが言う処の『妹を売った鬼畜な兄』は兄なりに妹の身の心配もしたんだよ」
そう言うと頬に軽くキスをして来た。
家族のキスを兄からされるのは初めての様な気がする。
……って言うか。
今のスチル保存して下さい!!
思わずマジで心から思っていると目の前に白い光の玉が現れて私の周りをクルクル回る。
そして
『スチルの保存が完了しました』
と聞き覚えのある音声がそう告げた。
えっ!今のってゲームの時のナビゲーションキャラの声だ。
まさか……と、そう思い
「オープン・ザ・コマンド」
と唱えると、複数の選択肢が目の前に展開する。
まさか……ゲームのまんま?
恐る恐る私はステータスを確認する
……
何ですかこの好感度……
セドリックの好感度がカンストしている……
愕然としていると兄イヴァンの名前もある事に気付き、またしてもフリーズしてしまう。
兄との好感度もカンストしている……何故?
そして自身のステータスや道具箱の中を確認して更に愕然とした。
あ~これ私が前世でやっていたゲームのデーターだ……。
それも、レベル上げとかコイン貯めとか面倒で最強データーとか使ったやつだよ。
但し攻略対象の好感度以外なのだが。
あ~道理でカンスト……。
それってズルじゃん。
って、やったの私か……。
単にゲームのストーリーを楽しみたいだけだったからね。
そして、アイテムを確認しているとーー
やっぱり好感度アップのアイテムが減っている。
どうやら私は無意識に好感度アップのアイテムを使用してしまった様だ。
でも、いつ?
と考えていると
「エマどうしたんだい?早くアンの処へ行こうか?それから虹の薔薇園へ行こう」
兄はそう言うと私の手を掴んで引いて行く。
そして、この繋ぎかたは
『包み込み繋ぎ』
うわっっっ!!
何このスチル……。
悶絶しそう。
内心身悶えしつつイヴァンに引かれて行くと
『オートでスチルが保存されました』
と声が響く。
ナイス!!
ナビゲーションキャラ!!
と、心の中で『 グッジョブ!!』をする。
あぁ、だから思う。
最後にやったのがエマお嬢様との友情エンドで本当に良かったと、でなければあの攻略対象(一人を除く)の誰かと大変な事になっていた……そう心の底から思ったのは言うに難い。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
藤白ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった
くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。
血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。
夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。
「……涼介くん」
薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。
逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。
夜、来て。
その一言が——涼介の、全部を壊した。
甘くて、苦しくて、止まれない。
これは、ある夏の、秘密の話。