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取り敢えずセドリック一択で3
邸の一階へ降りた所でアンと合流し三人で虹の薔薇園へと向かう。
その途中イヴァンがアンの方を何度かチラチラと見る。
『もしかして、お兄様とアンは既にそういう仲なのでは?』と淡い思いにかられていると
「アン。エマの治癒をお願いしたいんだが」
イヴァンが言いにくそうにそう切り出した。
治療?
何の?
私、怪我していないわよ。
「治療ですか?エマお嬢様何処かお怪我を……」
心配そうにアンはイヴァンに詰め寄った。
私も聞きたい。
私何処を怪我したのかしら?
「ああ」
イヴァンは逡巡する。
チラリと私の首元を見るイヴァンに、その意味する所を悟った。
言いにくいですわよね。
正に『妹の体にあるキスマークを消してくれ』と言っている様なものだから。
思わず赤面してしまいますよ。
少し斜め上を見ているイヴァンに業を煮やしたアンが今度は私に詰め寄って来る。
「エマお嬢様。どちらを怪我されたのですか?」
真剣に聞いて来るアン。
私が返答に困っていると
「セドリックに噛みつかれた様なんで」
と兄がまたもや言いにくそうに言う。
まぁ『噛みつかれた様な』ものかとも思うが、ニュアンスが微妙ですよ。
それでは無数のキスマークを着けた事より、益々セドリックが変態になってしまう様な気がする。
そんな私の心情を察してか、アンは「まぁ。それは大変」とその『怪我』を確認する事なく私に手を掲げて治癒の呪文を唱えた。
一瞬にして身体が熱くなる。
治癒魔法の発動だ。
私はそれを聖霊の動きで分かった。
光を携えた聖霊達が私に寄り添い私の身体に干渉して行く。
『温かいな』と思っていると治療が完了していた。
「ありがとう。アン」
私はアンの心遣いに感謝しながらそう述べた。
本当は怪我の場所を確認してから発動させると魔力の消費が少なくてすむのにと思いながら。
流石ヒロインチートだと感心してしまう。
そんなやり取りをしながら園の中央にある広場まで行く。
「ここだな」
イヴァンは意を決して私が教えた言葉を紡ぐ。
「愛しき君に捧げる薔薇は、華々しく散らぬ約束を永久に捧げよう」
イヴァンの声が高らかと木霊する。
ブワッと風が渦巻くと薔薇の花びらが空中に舞う。
「我が永遠の友よ。久しいな」
アリアは姿を現すや私に微笑む。
そして、今度はゆっくりとイヴァンを見た。
「次代よ。古き言葉を紡いだと言う事は我と契約すると言う意思があると解釈するが」
「はい。アリア様」
イヴァンはアリアの姿を見るや緊張した様に返答する。
「ふむ。では我の側まで」
アリアの言葉に促される様にイヴァンは前に出る。
アリアはそっとイヴァンの手を取り、手の甲へと口付けた。
「次代よ、契約の印だ。我に用があるならば何時でも呼べ」
「はい」
アリアは淡々と話すとイヴァンの後ろに控えるアンを見やる。
「ほぉ~少々珍しい者がおるな」
一瞬アリアと目が合ったアンはドキリとして、そして固まるようにアリアを凝視する。
「混ざり者か、どれ」
アリアはそう言うとアンの所まで移動すると瞳を覗き込んで来た。
「大分薄い様だが……ふむ。故に次代に惹かれるか……なかなか興が沸くと言うもの……」
アリアの台詞にアンの頬はみるみる紅潮する。
「今日は面白いものが見れた。楽しかったぞ。次代よ」
アリアはそう言うとイヴァンに微みその場からさっと消えてしまう。
何時もながら忙しい方の様だ。
しかし、先程アリアが言っていたアンに『混ざり者』とは?
そう思い私がアンを見ていると、イヴァンも何やら思う所がある様にアンを見やる。
するとアンがきまりが悪い様な顔になり
「すみません。我が伯爵家にはたまにですが私の様な魔力持ちが現れるのです」
と言う。
またまた出たよヒロインチート設定が。
「あっ。でも、それほど強い物ではないのです」
焦った様にアンは弁解するが……
確かに治癒能力に優れてはいたが、攻撃系統はからっきしだった。
でも、正直この世界は攻撃系統や補助魔法はあっても治癒能力は稀で、そんな事出来たら下手すると聖女に祭り上げられて一生神殿住まいとか……。
いや~ないわ~。
何となくアンが不憫に思えてくる。
そんな事を思っていると「治せても多少の切り傷や火傷程度で」とゴニョゴニョと言いにくそうに話す。
『?……なんでその程度?確かに攻撃系統は多少だったけど、治癒能力はもっと凄かったと思うし、それに補助魔法も使えたはず……何で?』
そう思ったら確かめたくなるもの
『オープン・ザ・コマンド』
私はそう心で思い、アンのステータスを覗き見る。
すると……
アンの魔力がほぼ初期値の200
魔術師を名乗る上では初級の上、中級の下といった所か
そう言えばアンはレベル上げとかする訳がないよね。
そう思い至るとレベル上げに必要なイベントってこれから攻略対象と接触する事で発生する各イベントでのはぐれ聖霊とのバトルだったと思い出す。
いや~ちょっとそれまずいよね。
他の攻略対象との好感度上げるのは……。
まぁ手っ取り早くレベル上げるなら将軍の息子のジョセフ辺りと仲良くなると、お弁当持ってピクニックに行く先行く先で何故かはぐれ聖霊が出るんだけど、彼奴はキャサリン情報では体力馬鹿の絶倫らしいし。
もう、この際レベル上げなくても良いからこのままにしておこう。
そう思ったから私はアンに向かって
「何も気にする事なんてないのよ。いざとなったら私とお兄様でアンを守るから」
と微笑んだ。
そんな私を見てアンが申し訳なさそうに
「エマお嬢様の足元にも付かない私ですがお側に支えても宜しいですか?」
と聞いて来た。
「アン何を言っているの?」
その時は本当に頭が回っていなかった。
アンのその言葉を聞くまでは
「エマお嬢様から感じられる魔力の足元にも付かない私ですが……」
潤んだ目で見てくるアン。
『あっ。そうか。この場合私の方がヒロインチートだった』
間抜けに口を開けポカンとする私と追い縋るアンを見つつ、兄のイヴァンが何とも言えない顔で見ていた。
何でしょうか?
私決してユリではありませんのよ。
お兄様勘違いしないでくださいましね。
そう思いつつ私はアンを落ち着かせる為に背に手を回して優しく撫でたのでした。
でも、この時ゲームの内容をちゃんと熟知していなかった事を後で反省する事になるとは、この時の私は思ってもいなかったのです。
その途中イヴァンがアンの方を何度かチラチラと見る。
『もしかして、お兄様とアンは既にそういう仲なのでは?』と淡い思いにかられていると
「アン。エマの治癒をお願いしたいんだが」
イヴァンが言いにくそうにそう切り出した。
治療?
何の?
私、怪我していないわよ。
「治療ですか?エマお嬢様何処かお怪我を……」
心配そうにアンはイヴァンに詰め寄った。
私も聞きたい。
私何処を怪我したのかしら?
「ああ」
イヴァンは逡巡する。
チラリと私の首元を見るイヴァンに、その意味する所を悟った。
言いにくいですわよね。
正に『妹の体にあるキスマークを消してくれ』と言っている様なものだから。
思わず赤面してしまいますよ。
少し斜め上を見ているイヴァンに業を煮やしたアンが今度は私に詰め寄って来る。
「エマお嬢様。どちらを怪我されたのですか?」
真剣に聞いて来るアン。
私が返答に困っていると
「セドリックに噛みつかれた様なんで」
と兄がまたもや言いにくそうに言う。
まぁ『噛みつかれた様な』ものかとも思うが、ニュアンスが微妙ですよ。
それでは無数のキスマークを着けた事より、益々セドリックが変態になってしまう様な気がする。
そんな私の心情を察してか、アンは「まぁ。それは大変」とその『怪我』を確認する事なく私に手を掲げて治癒の呪文を唱えた。
一瞬にして身体が熱くなる。
治癒魔法の発動だ。
私はそれを聖霊の動きで分かった。
光を携えた聖霊達が私に寄り添い私の身体に干渉して行く。
『温かいな』と思っていると治療が完了していた。
「ありがとう。アン」
私はアンの心遣いに感謝しながらそう述べた。
本当は怪我の場所を確認してから発動させると魔力の消費が少なくてすむのにと思いながら。
流石ヒロインチートだと感心してしまう。
そんなやり取りをしながら園の中央にある広場まで行く。
「ここだな」
イヴァンは意を決して私が教えた言葉を紡ぐ。
「愛しき君に捧げる薔薇は、華々しく散らぬ約束を永久に捧げよう」
イヴァンの声が高らかと木霊する。
ブワッと風が渦巻くと薔薇の花びらが空中に舞う。
「我が永遠の友よ。久しいな」
アリアは姿を現すや私に微笑む。
そして、今度はゆっくりとイヴァンを見た。
「次代よ。古き言葉を紡いだと言う事は我と契約すると言う意思があると解釈するが」
「はい。アリア様」
イヴァンはアリアの姿を見るや緊張した様に返答する。
「ふむ。では我の側まで」
アリアの言葉に促される様にイヴァンは前に出る。
アリアはそっとイヴァンの手を取り、手の甲へと口付けた。
「次代よ、契約の印だ。我に用があるならば何時でも呼べ」
「はい」
アリアは淡々と話すとイヴァンの後ろに控えるアンを見やる。
「ほぉ~少々珍しい者がおるな」
一瞬アリアと目が合ったアンはドキリとして、そして固まるようにアリアを凝視する。
「混ざり者か、どれ」
アリアはそう言うとアンの所まで移動すると瞳を覗き込んで来た。
「大分薄い様だが……ふむ。故に次代に惹かれるか……なかなか興が沸くと言うもの……」
アリアの台詞にアンの頬はみるみる紅潮する。
「今日は面白いものが見れた。楽しかったぞ。次代よ」
アリアはそう言うとイヴァンに微みその場からさっと消えてしまう。
何時もながら忙しい方の様だ。
しかし、先程アリアが言っていたアンに『混ざり者』とは?
そう思い私がアンを見ていると、イヴァンも何やら思う所がある様にアンを見やる。
するとアンがきまりが悪い様な顔になり
「すみません。我が伯爵家にはたまにですが私の様な魔力持ちが現れるのです」
と言う。
またまた出たよヒロインチート設定が。
「あっ。でも、それほど強い物ではないのです」
焦った様にアンは弁解するが……
確かに治癒能力に優れてはいたが、攻撃系統はからっきしだった。
でも、正直この世界は攻撃系統や補助魔法はあっても治癒能力は稀で、そんな事出来たら下手すると聖女に祭り上げられて一生神殿住まいとか……。
いや~ないわ~。
何となくアンが不憫に思えてくる。
そんな事を思っていると「治せても多少の切り傷や火傷程度で」とゴニョゴニョと言いにくそうに話す。
『?……なんでその程度?確かに攻撃系統は多少だったけど、治癒能力はもっと凄かったと思うし、それに補助魔法も使えたはず……何で?』
そう思ったら確かめたくなるもの
『オープン・ザ・コマンド』
私はそう心で思い、アンのステータスを覗き見る。
すると……
アンの魔力がほぼ初期値の200
魔術師を名乗る上では初級の上、中級の下といった所か
そう言えばアンはレベル上げとかする訳がないよね。
そう思い至るとレベル上げに必要なイベントってこれから攻略対象と接触する事で発生する各イベントでのはぐれ聖霊とのバトルだったと思い出す。
いや~ちょっとそれまずいよね。
他の攻略対象との好感度上げるのは……。
まぁ手っ取り早くレベル上げるなら将軍の息子のジョセフ辺りと仲良くなると、お弁当持ってピクニックに行く先行く先で何故かはぐれ聖霊が出るんだけど、彼奴はキャサリン情報では体力馬鹿の絶倫らしいし。
もう、この際レベル上げなくても良いからこのままにしておこう。
そう思ったから私はアンに向かって
「何も気にする事なんてないのよ。いざとなったら私とお兄様でアンを守るから」
と微笑んだ。
そんな私を見てアンが申し訳なさそうに
「エマお嬢様の足元にも付かない私ですがお側に支えても宜しいですか?」
と聞いて来た。
「アン何を言っているの?」
その時は本当に頭が回っていなかった。
アンのその言葉を聞くまでは
「エマお嬢様から感じられる魔力の足元にも付かない私ですが……」
潤んだ目で見てくるアン。
『あっ。そうか。この場合私の方がヒロインチートだった』
間抜けに口を開けポカンとする私と追い縋るアンを見つつ、兄のイヴァンが何とも言えない顔で見ていた。
何でしょうか?
私決してユリではありませんのよ。
お兄様勘違いしないでくださいましね。
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