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もう一人の転生者キャサリン視点5
完全に思い出したセカンドシーズン、セドリックルートのノーマルエンド……。
あの兄達の事だから、その後もきっと味をしめて体を求めて来るに違いない。
特にジャックは……。
思わず顔が青くなってしまう。
何としても回避しなくては
向かいを見ると私に全然興味無さ気なセドリックが紅茶の香りを楽しんでいる。
「殿下。今日は私の為にお見舞いに来て下さりありがとうございます。再度お礼申し上げますわ」
セドリックはやはり興味無気に「いや。気にするな」と空返事をする。
私は強敵セドリックを見て『先手必勝』とばかりに早速話を切り出した。
「殿下。私は婚約者候補を離脱して、新たな婚約者候補を推薦させて頂きたく、その為に殿下のお耳に入れたい事がございます」
ガラス張りの温室で優雅に紅茶を飲んでいたセドリックが抑揚のない声で応える。
「君が新たな婚約者候補を?」
本当、私の事なんて眼中にないんだな。
と、改めて思ってしまった。
「殿下の初恋の君『アリア』の事ですわ」
それまで興味のなかったセドリックが思いっきり目を見開く。
私の婚約者候補離脱には何の興味も示さなかった殿下の初めての反応。
『よし。掴みは上々』
「ですので、私達の婚約の話を殿下の力で無かった事にして頂き、私とライアン様との婚約に力を貸して頂きたいのです」
「ライアンと?それは取引と言う事かな?」
先程より温度のない声が帰って来た。
やべ~鬼畜モードのスイッチ押したのかよ。
何処でだ?
ゴクリと生唾を飲み込むと、私は一呼吸して話を切り出す。
「いえ。『協力』ですわ。私は殿下と彼女の仲を取り持ちますので、私の将来の件も協力して頂きたいのですわ」
あくまで『協力』を強調しながらセドリックの様子を伺う。
「ふっ」
一瞬にしてセドリックから緊張感が抜けた。
「ライアン……ね……。まぁ良いだろう。私には悪くない話だ。キャサリン嬢の言う『協力』とやらの話に乗ろうではないか」
「ありがとうございます」
よし、掴みは上々。
「で、『アリア』に会えるとは?彼女はもうこの世の人ではないのに……」
セドリックは悲痛な顔になる。
ああ、そんな話があったな……と思う。
「まぁ、そんな話がありましたが。殿下、マリク公爵家に伝わる特別な薔薇の庭がありますの。覚えておりますか?」
セドリックは何かを思い出す様に
「幼少の頃『アリア』に会った庭だな」
とボソリと呟いた。
「はい。そうですわ。そこの薔薇がアリアと関わっていますの。何せ別名『奇跡の庭』ですもの」
「奇跡の……庭」セドリックはキャサリンの『奇跡の庭』の部分で一瞬思考する。
「そうか。『奇跡の庭』か。……確かに、彼の庭には伝承があったな。では、イヴァンにでも言って庭を見せて貰おうか」
セドリックはそう言うと此処にはもう用が無いと言わんばかりに席を立とうとした。
「お待ち下さい殿下。イヴァン様だけではいけません」
意気揚々と帰ろうとするセドリックをあえて止める。
「どういう事だ?」
少し機嫌の悪い殿下の声。
まぁ、好きでもない女とお茶しているんだから仕方がない。
それに殿下の意識はもう既にアリアに向かっている。
あの初恋の君のアリアに。
「必ずエマ嬢ともお会いになって下さい。『アリア』へ繋がる為にはエマ嬢は必須ですわ」
これだけは絶対だと念を押す。
「そうか?しかし、確かエマ嬢もこの前のジュリア嬢が倒れたお茶会の時に倒れて昏睡状態だと聞くが……」
ややあって思い出した様にセドリックが言う。
本当にこの人は自分の興味のない事には感心がないのだな……と改めて思う。
「大丈夫ですわ。エマ嬢も私と同じで必ず意識を取り戻します。何でしたらお見舞いに行かれるのも良いかと」
多分彼女も膨大な前世の記憶で倒れただけだから。
「そうだな。今日は既に夕刻だから明日にでも伺うか」
こいつ……早速行こうとしていたな。
思わず胡乱な眼差しで見てしまう。
「では、明日ですわね。今後の為に何か連絡手段が欲しいですわね」
単にセドリックがエマのルートから外れない様に操作する為に。
「それはこちらで用意しよう。魔術式の通信機を何か考えよう。準備もあるから明日のこの時間位に届ける様にする」
「ありがとうございます」
流石は特別な聖霊の血を引く王族。
そして、エマ嬢ごめんなさいね。
私のハッピーエンドの為にセドリックとのフラグを立たせて貰うわ。
キャサリンはそっと心の中でエマに謝る。
翌日の夕刻セドリックか直接やって来た。
てっきり通信手段は何か送り付けて来るかと思っていただけに驚きだ。
「ほら、このブローチで通信できる。軽く魔力を流し込めば私と話せる様に調整してある」
「ありがとうございます」
そっと取ったブローチには大きなアメジストがはめてあった。
綺麗~。
そして、高そ~。
思わず心の中で感嘆してしまう。
「所で、今日マリク公爵家に行って来たが『アリア』には会えなかったぞ」
なるほど、それを直接言いたかったのか。
合点がいく。
何処と無くセドリックは不機嫌さを醸し出していた。
「殿下。気が早いですわ。それにエマ嬢とは仲良く出来ましたか?」
鬼畜モードを警戒しつつ私はセドリックへ問い掛ける。
「キャサリン嬢。貴女がエマ嬢がアリアに繋がっていると言うから友人になって来たが」
一瞬友人のフレーズにセドリックの顔が緩む。
「案外面白い逸材かもしれないな」
何ですかね?
その甘い微笑みは?
さっきの剣呑さは何処に?
「気に入られたのなら良かったです。これからも友情を育んで下さいまし」
何ちんたら友人ごっこしているんですかね。
早くメロメロにしてやってハッピーエンド目指して下さいよ。
心の中で盛大に罵声と応援をしてしまう。
「ああ。明日にでもまた行ってみるよ。早くアリアにも会いたいしね」
セドリックはそう言うと想像の初恋の君を思いニヤケ顔になる。
鬼畜王子がニヤケるとか怖いから……。
「健闘を祈りますわ」
「ああ。ありがとう」
セドリックはそれだけ話すと直ぐ様帰城した。
あの兄達の事だから、その後もきっと味をしめて体を求めて来るに違いない。
特にジャックは……。
思わず顔が青くなってしまう。
何としても回避しなくては
向かいを見ると私に全然興味無さ気なセドリックが紅茶の香りを楽しんでいる。
「殿下。今日は私の為にお見舞いに来て下さりありがとうございます。再度お礼申し上げますわ」
セドリックはやはり興味無気に「いや。気にするな」と空返事をする。
私は強敵セドリックを見て『先手必勝』とばかりに早速話を切り出した。
「殿下。私は婚約者候補を離脱して、新たな婚約者候補を推薦させて頂きたく、その為に殿下のお耳に入れたい事がございます」
ガラス張りの温室で優雅に紅茶を飲んでいたセドリックが抑揚のない声で応える。
「君が新たな婚約者候補を?」
本当、私の事なんて眼中にないんだな。
と、改めて思ってしまった。
「殿下の初恋の君『アリア』の事ですわ」
それまで興味のなかったセドリックが思いっきり目を見開く。
私の婚約者候補離脱には何の興味も示さなかった殿下の初めての反応。
『よし。掴みは上々』
「ですので、私達の婚約の話を殿下の力で無かった事にして頂き、私とライアン様との婚約に力を貸して頂きたいのです」
「ライアンと?それは取引と言う事かな?」
先程より温度のない声が帰って来た。
やべ~鬼畜モードのスイッチ押したのかよ。
何処でだ?
ゴクリと生唾を飲み込むと、私は一呼吸して話を切り出す。
「いえ。『協力』ですわ。私は殿下と彼女の仲を取り持ちますので、私の将来の件も協力して頂きたいのですわ」
あくまで『協力』を強調しながらセドリックの様子を伺う。
「ふっ」
一瞬にしてセドリックから緊張感が抜けた。
「ライアン……ね……。まぁ良いだろう。私には悪くない話だ。キャサリン嬢の言う『協力』とやらの話に乗ろうではないか」
「ありがとうございます」
よし、掴みは上々。
「で、『アリア』に会えるとは?彼女はもうこの世の人ではないのに……」
セドリックは悲痛な顔になる。
ああ、そんな話があったな……と思う。
「まぁ、そんな話がありましたが。殿下、マリク公爵家に伝わる特別な薔薇の庭がありますの。覚えておりますか?」
セドリックは何かを思い出す様に
「幼少の頃『アリア』に会った庭だな」
とボソリと呟いた。
「はい。そうですわ。そこの薔薇がアリアと関わっていますの。何せ別名『奇跡の庭』ですもの」
「奇跡の……庭」セドリックはキャサリンの『奇跡の庭』の部分で一瞬思考する。
「そうか。『奇跡の庭』か。……確かに、彼の庭には伝承があったな。では、イヴァンにでも言って庭を見せて貰おうか」
セドリックはそう言うと此処にはもう用が無いと言わんばかりに席を立とうとした。
「お待ち下さい殿下。イヴァン様だけではいけません」
意気揚々と帰ろうとするセドリックをあえて止める。
「どういう事だ?」
少し機嫌の悪い殿下の声。
まぁ、好きでもない女とお茶しているんだから仕方がない。
それに殿下の意識はもう既にアリアに向かっている。
あの初恋の君のアリアに。
「必ずエマ嬢ともお会いになって下さい。『アリア』へ繋がる為にはエマ嬢は必須ですわ」
これだけは絶対だと念を押す。
「そうか?しかし、確かエマ嬢もこの前のジュリア嬢が倒れたお茶会の時に倒れて昏睡状態だと聞くが……」
ややあって思い出した様にセドリックが言う。
本当にこの人は自分の興味のない事には感心がないのだな……と改めて思う。
「大丈夫ですわ。エマ嬢も私と同じで必ず意識を取り戻します。何でしたらお見舞いに行かれるのも良いかと」
多分彼女も膨大な前世の記憶で倒れただけだから。
「そうだな。今日は既に夕刻だから明日にでも伺うか」
こいつ……早速行こうとしていたな。
思わず胡乱な眼差しで見てしまう。
「では、明日ですわね。今後の為に何か連絡手段が欲しいですわね」
単にセドリックがエマのルートから外れない様に操作する為に。
「それはこちらで用意しよう。魔術式の通信機を何か考えよう。準備もあるから明日のこの時間位に届ける様にする」
「ありがとうございます」
流石は特別な聖霊の血を引く王族。
そして、エマ嬢ごめんなさいね。
私のハッピーエンドの為にセドリックとのフラグを立たせて貰うわ。
キャサリンはそっと心の中でエマに謝る。
翌日の夕刻セドリックか直接やって来た。
てっきり通信手段は何か送り付けて来るかと思っていただけに驚きだ。
「ほら、このブローチで通信できる。軽く魔力を流し込めば私と話せる様に調整してある」
「ありがとうございます」
そっと取ったブローチには大きなアメジストがはめてあった。
綺麗~。
そして、高そ~。
思わず心の中で感嘆してしまう。
「所で、今日マリク公爵家に行って来たが『アリア』には会えなかったぞ」
なるほど、それを直接言いたかったのか。
合点がいく。
何処と無くセドリックは不機嫌さを醸し出していた。
「殿下。気が早いですわ。それにエマ嬢とは仲良く出来ましたか?」
鬼畜モードを警戒しつつ私はセドリックへ問い掛ける。
「キャサリン嬢。貴女がエマ嬢がアリアに繋がっていると言うから友人になって来たが」
一瞬友人のフレーズにセドリックの顔が緩む。
「案外面白い逸材かもしれないな」
何ですかね?
その甘い微笑みは?
さっきの剣呑さは何処に?
「気に入られたのなら良かったです。これからも友情を育んで下さいまし」
何ちんたら友人ごっこしているんですかね。
早くメロメロにしてやってハッピーエンド目指して下さいよ。
心の中で盛大に罵声と応援をしてしまう。
「ああ。明日にでもまた行ってみるよ。早くアリアにも会いたいしね」
セドリックはそう言うと想像の初恋の君を思いニヤケ顔になる。
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