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アンとイヴァンの婚約5
「まぁ。ライアンが言っていた事を気にした訳ではないが」
そう言うとセドリックはアンを見た。
『殿下の結婚式まで後5ヶ月。本来なら、イヴァンとアンが結婚してこその、エマと殿下の出会いなんです』
ライアンが先日酒の席で漏らした声が脳裏を過る。
「ライアンが言う事は、たまに先視の力でもあるのではないかと思う時があってな」
『どうしても殿下達の未来の為に回避しなければならない事があるんだ』
「それで私なりに気にしていたのだ」
『だから本来の形の通りイヴァンとアンには早めに婚姻を結んでもらわなければ』
「事実、アンとイヴァンの婚約の前に私達が婚約した事に色々考える所があるようだったし」
「そう……なのですか?」
私も少し考える所があるよ。
何せ、キャサリンの話によると原作ではアンとイヴァンの結婚式の後からセカンドシーズンが始まるとの事だから、大分原作から逸脱しているのだと思う。
そう考えると、アンとイヴァンの結婚式を見るという最大の目的が成せなくなってしまう恐れだってあるのだ。
だって、愛バラの本命の想い出の君とヒロインのハッピーエンドだよ。
ファンとしては見たいじゃない。
きっと、キャサリンだってそう思っていると思うんだよね。
何せ、キャサリンは私にライアン狙いだと宣言している位なんだから、アンとイヴァンが結婚するって思っているはず。
そう思いながら私もセドリックに同意する様に言葉を続けた。
「私もやはり実家が落ち着かないと安心出来ないのは確かです。お兄様とアンが結婚してくれるのであれば、私は安心して嫁に行く事が出来ると……」
そこまで言って思いっきり言葉を飲み込んだ。
会話の流れから出て来た言葉なのに、思いっきりセドリックが食い付いている。
ギラギラとした瞳が私を捕食している様にさえ思われてしまう。
ハクハクと口を開閉し、二の句が継げないでいる私を見たイヴァンがセドリックを見やりほくそ笑む。
「では、我が家で来月『父の誕生を祝う夜会』を開くので、その時に発表すると言う事で良いでしょうか?」
イヴァンのそのセリフにアンが頬を紅潮させ嬉しそうに涙する。
「あぁ。その時は私もキャサリン嬢も参加して外堀を埋める手助けをしよう」
任せろと言わんばかりに張り切るセドリック。
「大船に乗ったつもりでいて構わないぞ」
自信たっぷりに宣言するけど……泥舟でない事を祈る。
「ありがとうございます。そうして頂けるとアンとの懸念材料が減り大変助かります」
イヴァンがセドリックに恭しくお辞儀しながらそう言う。
「これからは私の兄になるのだ。兄夫婦の手助けをするのは弟としては当然のことだろう?」
はい?
何を勝手に人の兄を自分の兄にしているのでしょうか?
驚きで目をパチクリさせてしまう。
「頼もしい兄弟が出来て嬉しいよ」
と勝手にイヴァンも同意しているし。
気のせいでなければ、私こそ外堀を埋められている様に思えてくる。
「もう一層の事発表と同時に婚姻も済ませてはどうだ。神官長も招待して一気に外野を黙らせてしまえば良い」
「婚姻もですか?」
ちょっと性急なのでは?と思ってしまう。
「確かマリク公爵家は代々『奇跡の庭』で婚姻を結ぶと聞いている。夕刻から初めて夜会は二次会と言う事にすれば良い。ある程度の要人は私の方から話を通しておくから大丈夫だ」
セドリックの半場強引な計画に兄も何故か乗ってしまう。
「殿下がそこまでして下さるのでしたら」と。
その後、絶対反対すると思っていま両親にも話を進めたセドリックが二つ返事でOKを貰うとは、この時の私はゲームの補正力と言うものを侮っていた。
そう言うとセドリックはアンを見た。
『殿下の結婚式まで後5ヶ月。本来なら、イヴァンとアンが結婚してこその、エマと殿下の出会いなんです』
ライアンが先日酒の席で漏らした声が脳裏を過る。
「ライアンが言う事は、たまに先視の力でもあるのではないかと思う時があってな」
『どうしても殿下達の未来の為に回避しなければならない事があるんだ』
「それで私なりに気にしていたのだ」
『だから本来の形の通りイヴァンとアンには早めに婚姻を結んでもらわなければ』
「事実、アンとイヴァンの婚約の前に私達が婚約した事に色々考える所があるようだったし」
「そう……なのですか?」
私も少し考える所があるよ。
何せ、キャサリンの話によると原作ではアンとイヴァンの結婚式の後からセカンドシーズンが始まるとの事だから、大分原作から逸脱しているのだと思う。
そう考えると、アンとイヴァンの結婚式を見るという最大の目的が成せなくなってしまう恐れだってあるのだ。
だって、愛バラの本命の想い出の君とヒロインのハッピーエンドだよ。
ファンとしては見たいじゃない。
きっと、キャサリンだってそう思っていると思うんだよね。
何せ、キャサリンは私にライアン狙いだと宣言している位なんだから、アンとイヴァンが結婚するって思っているはず。
そう思いながら私もセドリックに同意する様に言葉を続けた。
「私もやはり実家が落ち着かないと安心出来ないのは確かです。お兄様とアンが結婚してくれるのであれば、私は安心して嫁に行く事が出来ると……」
そこまで言って思いっきり言葉を飲み込んだ。
会話の流れから出て来た言葉なのに、思いっきりセドリックが食い付いている。
ギラギラとした瞳が私を捕食している様にさえ思われてしまう。
ハクハクと口を開閉し、二の句が継げないでいる私を見たイヴァンがセドリックを見やりほくそ笑む。
「では、我が家で来月『父の誕生を祝う夜会』を開くので、その時に発表すると言う事で良いでしょうか?」
イヴァンのそのセリフにアンが頬を紅潮させ嬉しそうに涙する。
「あぁ。その時は私もキャサリン嬢も参加して外堀を埋める手助けをしよう」
任せろと言わんばかりに張り切るセドリック。
「大船に乗ったつもりでいて構わないぞ」
自信たっぷりに宣言するけど……泥舟でない事を祈る。
「ありがとうございます。そうして頂けるとアンとの懸念材料が減り大変助かります」
イヴァンがセドリックに恭しくお辞儀しながらそう言う。
「これからは私の兄になるのだ。兄夫婦の手助けをするのは弟としては当然のことだろう?」
はい?
何を勝手に人の兄を自分の兄にしているのでしょうか?
驚きで目をパチクリさせてしまう。
「頼もしい兄弟が出来て嬉しいよ」
と勝手にイヴァンも同意しているし。
気のせいでなければ、私こそ外堀を埋められている様に思えてくる。
「もう一層の事発表と同時に婚姻も済ませてはどうだ。神官長も招待して一気に外野を黙らせてしまえば良い」
「婚姻もですか?」
ちょっと性急なのでは?と思ってしまう。
「確かマリク公爵家は代々『奇跡の庭』で婚姻を結ぶと聞いている。夕刻から初めて夜会は二次会と言う事にすれば良い。ある程度の要人は私の方から話を通しておくから大丈夫だ」
セドリックの半場強引な計画に兄も何故か乗ってしまう。
「殿下がそこまでして下さるのでしたら」と。
その後、絶対反対すると思っていま両親にも話を進めたセドリックが二つ返事でOKを貰うとは、この時の私はゲームの補正力と言うものを侮っていた。
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