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悪魔の君11
暗雲とした意識の中でやっと彼を捕まえた。
「悪魔の君……否、ランベルト。セドリックを返して貰おうか」
辺りはどんよりとしており、お互いの輪郭さえ不透明な程だ。
「ハハハ。私の正体を知っているとはな」
ランベルトはとても楽しそうに笑う。
「今のセドリックでは君の本当の願いは叶わないよ」
あくまでも諭す様に言ってみる。
「私の本当の願い?そんな物はない」
ランベルトはきっぱりとそう肯定する。
「『愛薔薇の精』彼女には永遠に会えない」
あくまでも幼子に言い聞かせる様に
「……」
「何故ならセドリックとエマとの間に彼女が生まれるからだ」
「……」
「貴方なら既に判っているだろう?」
ライアンの問い掛けにランベルトは苦痛な声を上げた。
「そうだ。知っている。彼女ともう一度会える事を……その為に私も現世に降臨する必要があった」
「しかし、それでは貴方の『愛薔薇の精』は自身の娘になる。決して貴方の手には入らない。慈しんで愛した姫が見知らぬ男の物になるんだぞ」
それはあまりにも残酷な事だ。
「それでも、現世に降りるチャンスは今を置いてなかった。どんな形でも良い。彼女に会いたい」
これが悪魔の君なのか……ライアンは思わず苦虫を噛み締める思いになる。
「それは今だからのセリフだ。この先彼女が大きくなるにつれて苦悩するのが判っているのか?」
きっと知らないのだろう。
決して手に入らない時の苦痛など。
「……」
「一つ提案だ悪魔の君」
だから言う。
「なんだ」
「私にも資質があるはずだ」
これは可能性だから。
「そうだな。しかし、許容量が足りない」
「私とキャサリンとの子供なら?」
自分はやっと手に入れた。
だからお前も……そう思い藁にもすがる思いで言葉を吐き出す。
「もう一人の異質の子か……確かに、彼女とお前なら可能性としてはある」
「なら貴方には悪くない条件だと思う。一旦セドリックを返して貰いたい。そして、私の子供としてこの世界に再び降臨したら良い」
「判っているのか?もしお前の子に私を受け入れるだけの資質かなければ」
それはある程度の可能性。
自分がキャサリンと結ばれる可能性より遥かに低い。
「死ぬと言う事だろう?知っている。そんな事をワザワザ教えてくれるとは、存外悪魔の君も優しいものだ」
ライアンの提案にランベルトは「はっ」と鼻で笑った。
「まぁ良い。どちらにしろ私には損のない話だ」
ランベルトは何かを吹っ切る様に首を振る。
「では契約を」
そう言うとライアンは自身の左手を前に出す。
それを見てランベルトはゆっくりとその手を取った。
お互いの左の薬指を合わせるとライアンが静かに呪文を唱える。
淡い光が二人を包み、ランベルトが不適に笑む。
「全てを知っている所が得体が知れぬな。お前は何者なんだ」
不適に笑うランベルト。
「制作者の一人って言えば判るかな。きっと彼女達は判るだろうが」
自嘲気味にライアンはそう言う。
「そうか……お前の魂も異質なる者だからな」
愁い気にランベルトは微笑む。
「また会おう父上殿」
皮肉を込めたその言葉にライアンは苦笑混じりに呟く。
「あぁ。全ては私の愛すべきキャラクター達」
そう言ってそっと瞳を閉じた。
「悪魔の君……否、ランベルト。セドリックを返して貰おうか」
辺りはどんよりとしており、お互いの輪郭さえ不透明な程だ。
「ハハハ。私の正体を知っているとはな」
ランベルトはとても楽しそうに笑う。
「今のセドリックでは君の本当の願いは叶わないよ」
あくまでも諭す様に言ってみる。
「私の本当の願い?そんな物はない」
ランベルトはきっぱりとそう肯定する。
「『愛薔薇の精』彼女には永遠に会えない」
あくまでも幼子に言い聞かせる様に
「……」
「何故ならセドリックとエマとの間に彼女が生まれるからだ」
「……」
「貴方なら既に判っているだろう?」
ライアンの問い掛けにランベルトは苦痛な声を上げた。
「そうだ。知っている。彼女ともう一度会える事を……その為に私も現世に降臨する必要があった」
「しかし、それでは貴方の『愛薔薇の精』は自身の娘になる。決して貴方の手には入らない。慈しんで愛した姫が見知らぬ男の物になるんだぞ」
それはあまりにも残酷な事だ。
「それでも、現世に降りるチャンスは今を置いてなかった。どんな形でも良い。彼女に会いたい」
これが悪魔の君なのか……ライアンは思わず苦虫を噛み締める思いになる。
「それは今だからのセリフだ。この先彼女が大きくなるにつれて苦悩するのが判っているのか?」
きっと知らないのだろう。
決して手に入らない時の苦痛など。
「……」
「一つ提案だ悪魔の君」
だから言う。
「なんだ」
「私にも資質があるはずだ」
これは可能性だから。
「そうだな。しかし、許容量が足りない」
「私とキャサリンとの子供なら?」
自分はやっと手に入れた。
だからお前も……そう思い藁にもすがる思いで言葉を吐き出す。
「もう一人の異質の子か……確かに、彼女とお前なら可能性としてはある」
「なら貴方には悪くない条件だと思う。一旦セドリックを返して貰いたい。そして、私の子供としてこの世界に再び降臨したら良い」
「判っているのか?もしお前の子に私を受け入れるだけの資質かなければ」
それはある程度の可能性。
自分がキャサリンと結ばれる可能性より遥かに低い。
「死ぬと言う事だろう?知っている。そんな事をワザワザ教えてくれるとは、存外悪魔の君も優しいものだ」
ライアンの提案にランベルトは「はっ」と鼻で笑った。
「まぁ良い。どちらにしろ私には損のない話だ」
ランベルトは何かを吹っ切る様に首を振る。
「では契約を」
そう言うとライアンは自身の左手を前に出す。
それを見てランベルトはゆっくりとその手を取った。
お互いの左の薬指を合わせるとライアンが静かに呪文を唱える。
淡い光が二人を包み、ランベルトが不適に笑む。
「全てを知っている所が得体が知れぬな。お前は何者なんだ」
不適に笑うランベルト。
「制作者の一人って言えば判るかな。きっと彼女達は判るだろうが」
自嘲気味にライアンはそう言う。
「そうか……お前の魂も異質なる者だからな」
愁い気にランベルトは微笑む。
「また会おう父上殿」
皮肉を込めたその言葉にライアンは苦笑混じりに呟く。
「あぁ。全ては私の愛すべきキャラクター達」
そう言ってそっと瞳を閉じた。
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