1 / 1
僕のご主人
しおりを挟む
ピピピピ!ピピピピ!
今日もこの音が聴こえて来た。
毎日同じ時間に鳴るこの音は、毎日同じようになり続ける。
ピピピピ!ピピピピ!
「んん……んー、ん、ふが……えい」
ピ!
そしていつものように、一際大きな音と共に鳴るのをやめていた。
「んー………はぁ……ふわぁ…」
ポリポリ、ガシガシ、そんな音をたてながらご主人はあくびをしていた。
その後もしばらくの間ぼーっとしていたご主人は、僕のいる方へゆっくりと視線を向け、眠そうな顔に笑みを浮かべた。
「おはよう、小太郎」
そう言っている間も、まだ眠いのか瞼を半分程閉じて、うつらうつらとしていた。
出来ることならこのまま一緒に寝たいのだけれど、そうはいかないだろう。
よくは知らないけれど、ご主人はいつもこの時間に起きてからご飯を食べ、仕事というものをやりに行くのだと言っていた。
いまだに寝床から動こうとしないご主人は、しきりに何かを取ろうと手をわさわさと動かしていた。
きっといつも顔に着けているあの、思わず飛び付いてしまいそうになる、キラキラと輝く透明な物が付いたものを探しているのだろう。
「ニャー、ニャウ!」
「おや、どうしたんだい?ああ、そこにあったのか。ありがとう、小太郎」
ご主人が気づくように鳴くと、ご主人は僕がいる場所の隣にある探し物を見つけ、僕の頭を優しく撫でた。
ご主人は探していたものを顔に着けると、寝床から立ち上がり、大きくのびをした。
何もない日であればこの後は僕のご飯を用意してから自分もご飯を食べているけれど、今日はいつもと違うらしく、四角くて白いものに甘い匂いのする赤いドロドロとしたものを塗って食べていた。
「モグモグ……うん?どうしたんだい、そんなに私を見つめて、ご飯はっと、もう終わってたんだ。もしかして、これが気になるのかい?」
いくらほわほわとしているとはいえ、さすがにご主人でも僕が見ているのに気がついたようだ。
「ニャー」
「うーん、猫にジャムって良かったっけ……パンとかはダメだったのは覚えてるんだけどな……あ、というかこれブドウジャムだし、ブドウはダメだったなぁ。うん、小太郎、残念だけどこれは小太郎は食べれないんだ」
どうやら見つめていたのが食べてみたいからだと思われてしまったようだ。
まあ、確かに気にはなっていたけれど、食べたいから見ていたのでは無く、珍しいから見ていたのだけれど。
「モグモグ……ん、ごちそうさま。さて、今はってもうこんな時間?そろそろ着替えるかなぁ」
ご主人はそう言って着ている服を脱いでから壁に掛かっていた服に着替えた。
前にこの服に飛び付いた時はご主人がとても困った表情をしていたから、それからは飛び付くのを我慢している。
「さてと、スーツよし、鞄よし、ネクタイよし、ハンカチよし、靴もよし!それじゃあ、行ってくるね小太郎。昨日みたいに部屋を荒らさないようにしてよ?」
「ニャー」
「じゃあ、行ってきます」
ご主人はそう言って扉を開け、外へ出た。
僕は扉が閉まったのを確認してから寝床へ戻った。
寝床へ戻る途中、壁に掛かっている、ご主人が『カレンダー』と呼んでいたものが目に入った。
以前ご主人が、赤い日は仕事が休みだから一緒にいられると言っていた。
ご主人は今日はどうなのかを見ていなかったから、もしかすると今日は休みとやらではないかと思った。
その時、玄関からガチャガチャという音が聞こえてきて、少しするとご主人が入って来た。
「ニャーニャー!」
「あ、小太郎、ただいま」
「ニャー?」
「どうして帰って来たかって?いやー、今日が休みだってことをすっかり忘れてたよ」
やはり、今日は休みだったようだ。
このように、ご主人は時々おっちょこちょいだけれど、とても優しい。
なぜなら──
「小太郎ー、ほれほれ、猫じゃらしだぞー」
「ニャー!」
こんなふうに、僕と遊んでくれるから。
僕、猫の小太郎。ご主人に拾われた元捨て猫で、今は幸せに暮らしています。
今日もこの音が聴こえて来た。
毎日同じ時間に鳴るこの音は、毎日同じようになり続ける。
ピピピピ!ピピピピ!
「んん……んー、ん、ふが……えい」
ピ!
そしていつものように、一際大きな音と共に鳴るのをやめていた。
「んー………はぁ……ふわぁ…」
ポリポリ、ガシガシ、そんな音をたてながらご主人はあくびをしていた。
その後もしばらくの間ぼーっとしていたご主人は、僕のいる方へゆっくりと視線を向け、眠そうな顔に笑みを浮かべた。
「おはよう、小太郎」
そう言っている間も、まだ眠いのか瞼を半分程閉じて、うつらうつらとしていた。
出来ることならこのまま一緒に寝たいのだけれど、そうはいかないだろう。
よくは知らないけれど、ご主人はいつもこの時間に起きてからご飯を食べ、仕事というものをやりに行くのだと言っていた。
いまだに寝床から動こうとしないご主人は、しきりに何かを取ろうと手をわさわさと動かしていた。
きっといつも顔に着けているあの、思わず飛び付いてしまいそうになる、キラキラと輝く透明な物が付いたものを探しているのだろう。
「ニャー、ニャウ!」
「おや、どうしたんだい?ああ、そこにあったのか。ありがとう、小太郎」
ご主人が気づくように鳴くと、ご主人は僕がいる場所の隣にある探し物を見つけ、僕の頭を優しく撫でた。
ご主人は探していたものを顔に着けると、寝床から立ち上がり、大きくのびをした。
何もない日であればこの後は僕のご飯を用意してから自分もご飯を食べているけれど、今日はいつもと違うらしく、四角くて白いものに甘い匂いのする赤いドロドロとしたものを塗って食べていた。
「モグモグ……うん?どうしたんだい、そんなに私を見つめて、ご飯はっと、もう終わってたんだ。もしかして、これが気になるのかい?」
いくらほわほわとしているとはいえ、さすがにご主人でも僕が見ているのに気がついたようだ。
「ニャー」
「うーん、猫にジャムって良かったっけ……パンとかはダメだったのは覚えてるんだけどな……あ、というかこれブドウジャムだし、ブドウはダメだったなぁ。うん、小太郎、残念だけどこれは小太郎は食べれないんだ」
どうやら見つめていたのが食べてみたいからだと思われてしまったようだ。
まあ、確かに気にはなっていたけれど、食べたいから見ていたのでは無く、珍しいから見ていたのだけれど。
「モグモグ……ん、ごちそうさま。さて、今はってもうこんな時間?そろそろ着替えるかなぁ」
ご主人はそう言って着ている服を脱いでから壁に掛かっていた服に着替えた。
前にこの服に飛び付いた時はご主人がとても困った表情をしていたから、それからは飛び付くのを我慢している。
「さてと、スーツよし、鞄よし、ネクタイよし、ハンカチよし、靴もよし!それじゃあ、行ってくるね小太郎。昨日みたいに部屋を荒らさないようにしてよ?」
「ニャー」
「じゃあ、行ってきます」
ご主人はそう言って扉を開け、外へ出た。
僕は扉が閉まったのを確認してから寝床へ戻った。
寝床へ戻る途中、壁に掛かっている、ご主人が『カレンダー』と呼んでいたものが目に入った。
以前ご主人が、赤い日は仕事が休みだから一緒にいられると言っていた。
ご主人は今日はどうなのかを見ていなかったから、もしかすると今日は休みとやらではないかと思った。
その時、玄関からガチャガチャという音が聞こえてきて、少しするとご主人が入って来た。
「ニャーニャー!」
「あ、小太郎、ただいま」
「ニャー?」
「どうして帰って来たかって?いやー、今日が休みだってことをすっかり忘れてたよ」
やはり、今日は休みだったようだ。
このように、ご主人は時々おっちょこちょいだけれど、とても優しい。
なぜなら──
「小太郎ー、ほれほれ、猫じゃらしだぞー」
「ニャー!」
こんなふうに、僕と遊んでくれるから。
僕、猫の小太郎。ご主人に拾われた元捨て猫で、今は幸せに暮らしています。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
【1話完結】あなたの恋人は毎夜わたしのベッドで寝てますよ。
ariya
ファンタジー
ソフィア・ラテットは、婚約者アレックスから疎まれていた。
彼の傍らには、いつも愛らしい恋人リリアンヌ。
婚約者の立場として注意しても、アレックスは聞く耳を持たない。
そして迎えた学園卒業パーティー。
ソフィアは公衆の面前で婚約破棄を言い渡される。
ガッツポーズを決めるリリアンヌ。
そのままアレックスに飛び込むかと思いきや――
彼女が抱きついた先は、ソフィアだった。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした
藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると
土地を蝕む邪気となって現れる。
それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。
派手な奇跡は起こらない。
けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。
――その役目を、誰一人として理解しないまま。
奇跡が少なくなった。
役に立たない聖女はいらない。
そう言われ、私は静かに国を追放された。
もう、祈る理由はない。
邪気を生み出す原因に目を向けず、
後始末だけを押し付ける国を守る理由も。
聖女がいなくなった国で、
少しずつ異変が起こり始める。
けれど彼らは、最後まで気づかなかった。
私がなぜ祈らなくなったのかを。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる