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【第一章】片想い編
19. 王子様に心を許してしまう
「ローザ。そのローブ姿、とても似合っている」
レオン様はソファーに座らせた私の隣に腰を下ろし、口角を上げて私を見る。その視線にやられてしまいそうな私は、慌てて目を逸らした。
「魔導士団はどうだった?」
レオン様に聞かれ、口籠った。
魔導士団の皆さんから、歓迎された。それはとても嬉しいことだ。だが、やっぱり心の傷が疼くのだ。あの陽キャ集団の中にいると、いつか馬鹿にされるのではないかとか、嫌われるのではないかとか、そんなことばかり考えてしまう。
だが、そんなことをレオン様に知られるのは嫌で、
「楽しかったです」
答えていた。
レオン様はじっと私を見つめる。その瞳に全てを見透かされそうで、私はまた視線を逸らした。
「きっと君は、無理しているのだろう」
レオン様はぽつりと告げる。
「君はなかなか心を開かないから。
だけど私は、そんな君が私には心を開いているから、とても嬉しい」
思わず顔を上げると、レオン様と視線がぶつかる。それで真っ赤になってしまう。
「君は遠慮して、魔導士団でも微々たる魔力しか使わなかった。
ローザ。君はとても優秀な魔導士なのに、どうしてそんなに自分を卑下するのだ?」
魔力交換を行うと、互いの考えも分かってしまうのだろうか。レオン様は、私の触れて欲しくない部分にそっと触れる。
「なぜ君は、自分に自信がないのだ?
私は、ローザが誰よりも強く優しいことを知っている」
そんな風に言わないで欲しい。レオン様に縋ってしまいそうになるから。レオン様なら、私を認めてくださると幻想を抱いてしまうから。
レオン様は、私の右手首をそっと持ち上げる。そして、紐で結ばれたようなその痣に触れる。
「ローザは私の大切な人だから、私はローザのことをもっと知りたい」
レオン様の触れる指先が、熱を持ったように熱い。それでいて、ぞぞーっと鳥肌が立つ。
見上げると、レオン様の神々しいほどの綺麗な顔。私の心臓は止まりそうだ。
「私のことを話すと、レオン様は私を嫌いになるかもしれません」
「私は生涯ローザを守ると誓った。嫌いになるはずがない」
そんなに真剣に言われると、もう折れるしかない。散々裏切られ馬鹿にされてきた私だが、レオン様なら大丈夫だと思ってしまう。……大丈夫である保証なんて、どこにもないのに。
私は深呼吸して、静かに話し始めた。レオン様は私に身を寄せ手をぎゅっと握りながら、私の話を聞いた。
「私は、この世界とは違う世界に住んでいました。魔法なんてものはなく、機械が著しく発展した世界でした。
その世界では、私は何の取り柄もなく、常に劣等感を抱えて生きていました」
私は話しながら震えていた。だけど、レオン様がそっと手を握ってくれるから、恐怖心や羞恥心が遠ざかる。
「私はコミュ障でいつも周りから笑われていたから、いつの間にか人と関わるのが怖くなって……
だからゲームの世界に閉じこもってしまって……」
それで、この世界に来たというわけだ。
話し出したら止まらなくなった私は、さらに余計なことまで吐き続ける。こういうところがコミュ障だと分かっているのだが。
「レオン様みたいな素敵なかたが、私を大切にしてくださる意味が分かりません。
私なんかよりいい人なんていっぱいいるし……
はっ、そうだ!私には『伝説の魔導士』というチートがあるから大切にされているんですね!!」
ついつい陰キャオタクトークをしてしまい、はっと口に手を当てる私。私としたことが最低だ。こんなにベラベラ話したら、レオン様にキモいと思われる!!
だが、レオン様は私に身を寄せたまま、おかしそうに笑った。
「ローザがそんなに話してくれて嬉しいよ。
差し支えなければ、これからもたくさん私に話をして欲しい」
「……え?」
予想外の言葉に、私は目が点だ。そしてそのまま、さらに自虐的なことを聞いてしまったのだ。
「レオン様は、私が気持ち悪くないのですか?」
いや、キモいだろう。陰キャオタクがベラベラと自分語りをして、キモすぎるだろう。
それなのにレオン様は、
「たくさん話すローザは、可愛いなと思って」
これまた信じられないことを言う。
レオン様は私を馬鹿にしているのか?だが、馬鹿にしているようには見えない。
リリーや魔導士団の皆さんだって私に好意的だった。この国の人々は、感覚がおかしいのだろうか。
考え込む私の髪を、そっと撫でるレオン様。イケメンに撫でられて、いつものように硬直してしまう私。
「いつかローザの故郷に行き、そのゲームとやらをしてみたいな」
レオン様は甘い声で告げるが、私はふとあのゲームを思い出した。あの、禍々しいレオン様が出てくるゲームを!
不意に私は、レオン様のほうへずいっと身を乗り出していた。
「いけません!絶対にしてはいけません!!」
今度はレオン様がぽかーんとする番だ。沈んでいると思ったら、激しく興奮し始める私に戸惑いを隠せない。だが、それどころではない!
「あのゲームをすると、レオン様は絶対ショックを受けられます!
レオン様はこんなにもかっこよくて優しいのに、ゲームの中のレオン様は悪い敵役になっているのですから!!」
「……そうなのか?」
レオン様はなおもぽかーんとしたまま私に聞く。それでまた変なことを口走ったことに気付き、慌てて口元を押さえる。私としたことが、最悪だ!
だが、心優しいレオン様は、こんな私の失言を笑ってくれる。心底面白そうに。だから私も、レオン様と一緒に笑っていた。笑うと心が晴れてきて、悩んでいることが馬鹿馬鹿しく思った。もうそろそろ、レオン様を信じてもいいのかもしれない。
レオン様はソファーに座らせた私の隣に腰を下ろし、口角を上げて私を見る。その視線にやられてしまいそうな私は、慌てて目を逸らした。
「魔導士団はどうだった?」
レオン様に聞かれ、口籠った。
魔導士団の皆さんから、歓迎された。それはとても嬉しいことだ。だが、やっぱり心の傷が疼くのだ。あの陽キャ集団の中にいると、いつか馬鹿にされるのではないかとか、嫌われるのではないかとか、そんなことばかり考えてしまう。
だが、そんなことをレオン様に知られるのは嫌で、
「楽しかったです」
答えていた。
レオン様はじっと私を見つめる。その瞳に全てを見透かされそうで、私はまた視線を逸らした。
「きっと君は、無理しているのだろう」
レオン様はぽつりと告げる。
「君はなかなか心を開かないから。
だけど私は、そんな君が私には心を開いているから、とても嬉しい」
思わず顔を上げると、レオン様と視線がぶつかる。それで真っ赤になってしまう。
「君は遠慮して、魔導士団でも微々たる魔力しか使わなかった。
ローザ。君はとても優秀な魔導士なのに、どうしてそんなに自分を卑下するのだ?」
魔力交換を行うと、互いの考えも分かってしまうのだろうか。レオン様は、私の触れて欲しくない部分にそっと触れる。
「なぜ君は、自分に自信がないのだ?
私は、ローザが誰よりも強く優しいことを知っている」
そんな風に言わないで欲しい。レオン様に縋ってしまいそうになるから。レオン様なら、私を認めてくださると幻想を抱いてしまうから。
レオン様は、私の右手首をそっと持ち上げる。そして、紐で結ばれたようなその痣に触れる。
「ローザは私の大切な人だから、私はローザのことをもっと知りたい」
レオン様の触れる指先が、熱を持ったように熱い。それでいて、ぞぞーっと鳥肌が立つ。
見上げると、レオン様の神々しいほどの綺麗な顔。私の心臓は止まりそうだ。
「私のことを話すと、レオン様は私を嫌いになるかもしれません」
「私は生涯ローザを守ると誓った。嫌いになるはずがない」
そんなに真剣に言われると、もう折れるしかない。散々裏切られ馬鹿にされてきた私だが、レオン様なら大丈夫だと思ってしまう。……大丈夫である保証なんて、どこにもないのに。
私は深呼吸して、静かに話し始めた。レオン様は私に身を寄せ手をぎゅっと握りながら、私の話を聞いた。
「私は、この世界とは違う世界に住んでいました。魔法なんてものはなく、機械が著しく発展した世界でした。
その世界では、私は何の取り柄もなく、常に劣等感を抱えて生きていました」
私は話しながら震えていた。だけど、レオン様がそっと手を握ってくれるから、恐怖心や羞恥心が遠ざかる。
「私はコミュ障でいつも周りから笑われていたから、いつの間にか人と関わるのが怖くなって……
だからゲームの世界に閉じこもってしまって……」
それで、この世界に来たというわけだ。
話し出したら止まらなくなった私は、さらに余計なことまで吐き続ける。こういうところがコミュ障だと分かっているのだが。
「レオン様みたいな素敵なかたが、私を大切にしてくださる意味が分かりません。
私なんかよりいい人なんていっぱいいるし……
はっ、そうだ!私には『伝説の魔導士』というチートがあるから大切にされているんですね!!」
ついつい陰キャオタクトークをしてしまい、はっと口に手を当てる私。私としたことが最低だ。こんなにベラベラ話したら、レオン様にキモいと思われる!!
だが、レオン様は私に身を寄せたまま、おかしそうに笑った。
「ローザがそんなに話してくれて嬉しいよ。
差し支えなければ、これからもたくさん私に話をして欲しい」
「……え?」
予想外の言葉に、私は目が点だ。そしてそのまま、さらに自虐的なことを聞いてしまったのだ。
「レオン様は、私が気持ち悪くないのですか?」
いや、キモいだろう。陰キャオタクがベラベラと自分語りをして、キモすぎるだろう。
それなのにレオン様は、
「たくさん話すローザは、可愛いなと思って」
これまた信じられないことを言う。
レオン様は私を馬鹿にしているのか?だが、馬鹿にしているようには見えない。
リリーや魔導士団の皆さんだって私に好意的だった。この国の人々は、感覚がおかしいのだろうか。
考え込む私の髪を、そっと撫でるレオン様。イケメンに撫でられて、いつものように硬直してしまう私。
「いつかローザの故郷に行き、そのゲームとやらをしてみたいな」
レオン様は甘い声で告げるが、私はふとあのゲームを思い出した。あの、禍々しいレオン様が出てくるゲームを!
不意に私は、レオン様のほうへずいっと身を乗り出していた。
「いけません!絶対にしてはいけません!!」
今度はレオン様がぽかーんとする番だ。沈んでいると思ったら、激しく興奮し始める私に戸惑いを隠せない。だが、それどころではない!
「あのゲームをすると、レオン様は絶対ショックを受けられます!
レオン様はこんなにもかっこよくて優しいのに、ゲームの中のレオン様は悪い敵役になっているのですから!!」
「……そうなのか?」
レオン様はなおもぽかーんとしたまま私に聞く。それでまた変なことを口走ったことに気付き、慌てて口元を押さえる。私としたことが、最悪だ!
だが、心優しいレオン様は、こんな私の失言を笑ってくれる。心底面白そうに。だから私も、レオン様と一緒に笑っていた。笑うと心が晴れてきて、悩んでいることが馬鹿馬鹿しく思った。もうそろそろ、レオン様を信じてもいいのかもしれない。
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