最強魔導士となって国に尽くしたら、敵国王子様が離してくれなくなりました

湊一桜

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【第一章】片想い編

20. 王子様との仲が近付く

「魔法が駄目なら、ひたすら剣で叩くのはどうか?」

「いや!物理攻撃にも強いのです。
 おまけに、物理攻撃を受けたあとの『閃光斬切』で、全員が死んでしまいます!」

「そうか……それは参ったな……」

 レオン様と私はソファーに座ったまま、ゲームの中のレオン様をどう倒せばいいのかの議論を続けている。私のオタクトークにレオン様が嬉々として食いついてくるのは意外すぎた。だか、こうやって恥ずかしがることもなくレオン様と話せて、私はとても嬉しい。その話題が、ゲーム中のレオン様を倒す方法だというのが複雑だが。



「あの……レオン様。お二人はいつの間に、そんな親しい関係になったのですか?」

 マリウス様が遅れて部屋に入ってきた瞬間、崩れ落ちた。……というのも、今まで壁を作っていた私が、すっかりレオン様と仲良くなっているからだろう。

「魔力交換のせいですか!? 恐るべし、魔力交換……」

 マリウス様はそう呟いていたが、必ずしも魔力交換のせいではない。だけど、魔力交換は私とレオン様が近付くきっかけになったのも事実だった。

「まあプライベートは好き勝手にやってください。ですが、これからは仕事の時間です」

 そう言ってマリウス様は、机の上にたくさんの種の入った箱をどすんと置いた。今日は午前中から色々あったが、いよいよ午後の仕事が始まる。私たち三人で、日照不足でも育つ種子を開発するのだ。

 マリウス様はその眼鏡の奥の鋭い目を光らせながら、話を続ける。

「この種子に少しの魔力を与え、より生命力が高く強いものにしてはどうかと思っています」

「草属性の力を与えればいいのだな?」

 レオン様はすでにやる気だ。そして私もやってみようと種を手に取った。
 だが、作物の種はとても小さいものだ。少し魔力を込めようとしても、魔力に耐えられず破裂してしまう。今までは最大限の魔力を使っていたのに、今回は最小限の魔力を使うことになるなんて。

「文献によると、暑い時は氷属性、寒い時は火属性の魔力も役に立つらしいです」

「日照不足ならば、光属性か?」

 レオン様は新たな種子を手に取るが、やはり破裂してしまう。そんな様子をマリウス様が笑い、いつもの皮肉口調で告げる。

「駄目ですよ、レオン様。レオン様の光属性はただでさえ強烈なんですから!
 もっと、こう!女性に触れるような、優しげで……」

「マリウス。気持ち悪いのだが」

 こんな二人のやり取りを見て、思わず笑ってしまう私。二人は仲良しなのだと思い、嫉妬してしまうほどだった。
 
「マリウスも突っ立っていないで、魔力を注いでくれ」

「無理ですよ。私は水属性しか使えませんから」

「水属性でもいけるかもしれないぞ」

 レオン様の言葉で、嫌そうにマリウス様が力を注ぐ。そして案の定、種は破裂してしまう。レオン様は面白そうに笑い、マリウス様は不貞腐れたようにツンと横を向く。そして私はまた、二人を見て笑う。
 こんな時間が楽しかった。種子の開発にはまだまだ時間がかかるかもしれないが、こうやって人と関わるのが楽しいと思っている自分に驚いた。




 数時間後……

 ようやく種を破裂させない力加減が分かり、様々な力を加えた種が出来上がった。これを手分けして、干上がった花壇に蒔いた。

「楽しみですね。どれだけ芽が出るか」

 私の言葉に、レオン様は笑顔で頷く。

「一回で、完璧な種は出来ないかもしれない。だけどきっといつかは出来ると信じている」

 私はレオン様を見た。彼は金色の髪を靡かせて、深緑の瞳で真っ直ぐ花壇を眺めている。美しいレオン様の横顔に見惚れてしまう。信じられない、こんなにも綺麗な人が、私と仲良くしてくれるだなんて。

「ローザ。視線が痛いんだが」

 レオン様は前を向いたまま、面白そうに告げる。私がレオン様をガン見していたことは、どうやらバレていたようだ。恥ずかしくなって真っ赤になる私に、レオン様が優しく告げる。

「私も、ローザをずっと見ていてもいいか?」

「だっ、駄目です!」

「なぜだ?可愛いものは、ずっと目に入れておきたいだろう?」

「かっ、可愛い!?」

 私は素っ頓狂な声を上げていた。
 か、可愛い!?聞き間違いだろうか。聞き間違いでないのなら、レオン様は狂ってしまったのだろうか。

「れ、レオン様。……魔力交換をしてから、おかしいです」

 やっとのことでそう告げると、レオン様は熱っぽい瞳で私を見る。

「分かっている。……君を知るたび、君に触れるたび、私の心はかき乱されていく。
 本当は魔導士団にも入れたくない。他の男が近寄らないか心配だ」

「い、言ってる意味が分からないんですが!!」

 私はパニックを起こしつつも、かろうじて告げる。胸がバクバク言って、落ち着かない。体が震えて、立っているのがやっとだ、

 レオン様は右手首の痣に、そっと唇を付ける。そして甘い声で告げる。

「明日、魔導士団に視察に行くから。
 ローザは私のものだと、見せつけに行くから」

 ちょ、ちょっと待って!!どうしてそうなるの!?私は今日、レオン様との関係をひた隠しにしたのに。それを全て曝け出してしまうの!?

「おやすみ、ローザ」

 硬直する私の額に、レオン様はちゅっと口付けをする。私がそのままぶっ倒れそうになったのは、言うまでもない。


 

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