35 / 78
【第一章】片想い編
35. 私の魔力はチートです
しばらく歩いた先に、グルニア帝国軍はいた。煌々と輝く太陽の下、その赤い鎧が毒々しく光っている。
グルニア帝国軍を見ると、あの悪夢の時間を思い出さずにはいられなかった。私はグルニア帝国に軟禁され、人間的な扱いを受けなかった。そして挙げ句の果てに、戦場に投げ棄てられた。個人的にも、グルニア帝国には恨みがある。
グルニア帝国軍は、拡声器みたいな機械を持っていた。そして、姿は見えないのだが、ドミニクの声が平地に鳴り響いた。
「我らは、グルニア帝国軍。
ロスノック帝国よ。我らと戦いたくなかったら、『伝説の魔導士』を差し出せ」
その予想外の言葉に、
「えっ!?」
驚きを隠せなかった。
私はてっきり、彼らが雲発生機を壊した報復にやってきたのだと思っていた。だから、戦いは避けられないのだと。それなのに、彼らの要求は『伝説の魔導士』を差し出すことだ。そこまでして、私が欲しいの!? 私の力を過大視しているのではないの!?
私は、ロスノック帝国が大好きだ。レオン様やリリー、魔導士団のみんなが大好きだ。だから、私が犠牲になれば、みんなを助けることが出来るのだ。グルニア帝国には二度と戻りたくなかったが、私を手に入れたら……
こんな私の思考は、
「断る」
最前線から発せられる、レオン様の声によって掻き消された。
「『伝説の魔導士』は、我が妻となる女性だ。
貴様らは、ロスノック帝国の民を困窮に追いやったうえ、我が妻にまで手をかけるつもりか。
我々は、貴様らを断じて許さない!」
胸が痛い。私を差し出してしまえば国を救えるのに、レオン様は私を手放すつもりはないのだ。
「ローザ、行っちゃ駄目だよ」
隣にいるリリーが言う。
「俺たち、全力でローザを守るからさ」
カイトだって言う。
「みんな……」
こんなに優しくて大切な仲間を、私だって守るから!
戦いの火蓋が切られた。
グルニア帝国は、例のドローンみたいな機械をたくさん飛ばしてくる。それと共に、赤色の鎧の騎士たちが襲いかかる。
その最前線で、レオン様は剣を振るう。レオン様の剣からは白い閃光が迸り、次々と敵が倒れていく。
私だって、必死で魔法を使った。
第二魔導士団の訓練で教わったよう、防御係がしっかりとバリアーを張ってくれる。その中で、ありったけの魔法をぶっ放した。
もともと、私の魔力は桁外れに大きいらしい。野菜をたくさん食べていたため、私の魔力は満タンに近い。そこに、レオン様との魔力交換により、カリスマの域に達した光属性魔法が加わる。その力は、想像以上だった。
私の魔法は大地を揺るがし、敵を次々と失神させていく。そして、ドローンみたいな戦闘機械を撃墜させた。
以前私は、戦場で力を暴走させた。あの時は、知らず知らずのうちに敵をなぎ倒していた。だけど、今の私は違う。力をコントロールし、確実に的を狙えるようになっていた。大地に鋭い閃光が走り、グルニア帝国軍はパニックを起こして散り散りに走った。
もちろん、この戦いで活躍したのは私だけではない。リリーは小さな体からは想像できないほどの火炎を放ち、敵は恐怖で逃げ惑う。
カイトはしっかりとバリアを張り、敵の攻撃を寄せ付けない。
そしてレオン様は最前線で剣を振い、その姿は……紛れもなく、ゲームで見たラスボスのレオン様だった。
無敵のレオン様を前に、グルニア帝国軍は怯え命乞いをする。稀に立ち向かう勇敢な敵は、ゲーム中のレオン様の必殺技、『閃光斬切』とも思える技で吹っ飛ばされる。
明らかにロスノック帝国の優勢だった。そして、勝利も間近だった。
だが……
「えっ、何!?」
隣でリリーの声が聞こえる。とっさに横を見た私は、視界の端に第一魔導士団の黄緑色のローブを見た気がした。そして次の瞬間、体に衝撃が走る。頭がぼーっとして意識が遠のいていくのが分かった。
「ローザ!!」
遠くでレオン様の叫び声が聞こえた気がした。
グルニア帝国に勝利して、嬉々として帰れると思ったのに……私は、どうなってしまうのだろう。
グルニア帝国軍を見ると、あの悪夢の時間を思い出さずにはいられなかった。私はグルニア帝国に軟禁され、人間的な扱いを受けなかった。そして挙げ句の果てに、戦場に投げ棄てられた。個人的にも、グルニア帝国には恨みがある。
グルニア帝国軍は、拡声器みたいな機械を持っていた。そして、姿は見えないのだが、ドミニクの声が平地に鳴り響いた。
「我らは、グルニア帝国軍。
ロスノック帝国よ。我らと戦いたくなかったら、『伝説の魔導士』を差し出せ」
その予想外の言葉に、
「えっ!?」
驚きを隠せなかった。
私はてっきり、彼らが雲発生機を壊した報復にやってきたのだと思っていた。だから、戦いは避けられないのだと。それなのに、彼らの要求は『伝説の魔導士』を差し出すことだ。そこまでして、私が欲しいの!? 私の力を過大視しているのではないの!?
私は、ロスノック帝国が大好きだ。レオン様やリリー、魔導士団のみんなが大好きだ。だから、私が犠牲になれば、みんなを助けることが出来るのだ。グルニア帝国には二度と戻りたくなかったが、私を手に入れたら……
こんな私の思考は、
「断る」
最前線から発せられる、レオン様の声によって掻き消された。
「『伝説の魔導士』は、我が妻となる女性だ。
貴様らは、ロスノック帝国の民を困窮に追いやったうえ、我が妻にまで手をかけるつもりか。
我々は、貴様らを断じて許さない!」
胸が痛い。私を差し出してしまえば国を救えるのに、レオン様は私を手放すつもりはないのだ。
「ローザ、行っちゃ駄目だよ」
隣にいるリリーが言う。
「俺たち、全力でローザを守るからさ」
カイトだって言う。
「みんな……」
こんなに優しくて大切な仲間を、私だって守るから!
戦いの火蓋が切られた。
グルニア帝国は、例のドローンみたいな機械をたくさん飛ばしてくる。それと共に、赤色の鎧の騎士たちが襲いかかる。
その最前線で、レオン様は剣を振るう。レオン様の剣からは白い閃光が迸り、次々と敵が倒れていく。
私だって、必死で魔法を使った。
第二魔導士団の訓練で教わったよう、防御係がしっかりとバリアーを張ってくれる。その中で、ありったけの魔法をぶっ放した。
もともと、私の魔力は桁外れに大きいらしい。野菜をたくさん食べていたため、私の魔力は満タンに近い。そこに、レオン様との魔力交換により、カリスマの域に達した光属性魔法が加わる。その力は、想像以上だった。
私の魔法は大地を揺るがし、敵を次々と失神させていく。そして、ドローンみたいな戦闘機械を撃墜させた。
以前私は、戦場で力を暴走させた。あの時は、知らず知らずのうちに敵をなぎ倒していた。だけど、今の私は違う。力をコントロールし、確実に的を狙えるようになっていた。大地に鋭い閃光が走り、グルニア帝国軍はパニックを起こして散り散りに走った。
もちろん、この戦いで活躍したのは私だけではない。リリーは小さな体からは想像できないほどの火炎を放ち、敵は恐怖で逃げ惑う。
カイトはしっかりとバリアを張り、敵の攻撃を寄せ付けない。
そしてレオン様は最前線で剣を振い、その姿は……紛れもなく、ゲームで見たラスボスのレオン様だった。
無敵のレオン様を前に、グルニア帝国軍は怯え命乞いをする。稀に立ち向かう勇敢な敵は、ゲーム中のレオン様の必殺技、『閃光斬切』とも思える技で吹っ飛ばされる。
明らかにロスノック帝国の優勢だった。そして、勝利も間近だった。
だが……
「えっ、何!?」
隣でリリーの声が聞こえる。とっさに横を見た私は、視界の端に第一魔導士団の黄緑色のローブを見た気がした。そして次の瞬間、体に衝撃が走る。頭がぼーっとして意識が遠のいていくのが分かった。
「ローザ!!」
遠くでレオン様の叫び声が聞こえた気がした。
グルニア帝国に勝利して、嬉々として帰れると思ったのに……私は、どうなってしまうのだろう。
あなたにおすすめの小説
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
魔法? ただの暗算です ―公爵家の侍女見習い、王宮の帳簿を黙らせます―
pdf
恋愛
没落寸前の子爵家に生まれたキャル・キュレイションは、公爵家で侍女見習いとして働くことになる。
高位貴族から見れば、子爵令嬢など平民と大差ない。そんな弱い立場の彼女には、ただひとつ、とんでもない才能があった。
それは――暗算。
市場の会計をごまかす商人を見抜き、屋敷の帳簿の乱れを整え、誰も気づかなかった数字の歪みを拾い上げる。
その力はやがて公爵家の中だけに留まらず、領地経営、王宮財務局、そして国そのものを動かす大きな数字へと繋がっていく。
「魔法? ただの暗算です」
けれど、数字が見えるということは、見なくていいものまで見えてしまうということでもあった。
貴族社会の冷たい現実、王宮に渦巻く思惑、そしてなぜか彼女を放っておかない王太子。
立場は弱い。権力もない。
それでもキャルは、数字を武器に、自分の居場所を切り開いていく。
これは、公爵家の侍女見習いから始まった子爵令嬢が、暗算ひとつで王宮の帳簿を読み解き、成り上がっていくお仕事成長ファンタジーです。
異世界召喚されたアラサー聖女、王弟の愛人になるそうです
籠の中のうさぎ
恋愛
日々の生活に疲れたOL如月茉莉は、帰宅ラッシュの時間から大幅にずれた電車の中でつぶやいた。
「はー、何もかも投げだしたぁい……」
直後電車の座席部分が光輝き、気づけば見知らぬ異世界に聖女として召喚されていた。
十六歳の王子と結婚?未成年淫行罪というものがありまして。
王様の側妃?三十年間一夫一妻の国で生きてきたので、それもちょっと……。
聖女の後ろ盾となる大義名分が欲しい王家と、王家の一員になるのは荷が勝ちすぎるので遠慮したい茉莉。
そんな中、王弟陛下が名案と言わんばかりに声をあげた。
「では、私の愛人はいかがでしょう」
辺境伯の屋敷に住み着いた猫は神獣でした
Kinokonoyama
ファンタジー
ある日、森で猫を拾い、辺境伯の屋敷に住み着く。
猫が来てから
領地の災害が消えていく。
夜になると猫は人間の姿で魔物を倒していた。
辺境伯は知らない。
自分の猫が
領地の守護神だということを。
転生した本好き幼女は、冷徹宰相パパのために暗躍します!~どんなピンチも本の世界に入れる『ひみちゅのチート』で解決でしゅ~
青空あかな
ファンタジー
ブラック企業に勤める本の虫でアラサーOLの星花は、突然水に突き落とされた衝撃を感じる。
藻掻くうちに、自分はなぜか赤ちゃんになっていることを理解する。
溺死寸前の彼女を助けたのは、冷徹な手腕により周囲から「血塗りの宰相」と恐れられるアイザック・リヴィエール公爵だった。
その後、熱に浮かされながら見た夢で前世を思い出し、星花は異世界の赤ちゃんに転生したことを自覚する。
目覚めた彼女は周囲の会話から、赤ちゃんの自分を川に落としたのは実の両親だと知って、強いショックを受けた。
前世の両親もいわゆる毒親であり、今世では「親」に愛されたかったと……。
リヴィエール公爵家の屋敷に連れて行かれると、星花にはとても貴重な聖属性の魔力があるとわかった。
アイザックに星花は「ステラ」と名付けられ彼の屋敷で暮らすようになる。
当のアイザックとはほとんど会わない塩対応だが、屋敷の善良な人たちに温かく育てられる。
そんなある日、精霊と冒険する絵本を読んだステラはその世界に入り込み、実際に精霊と冒険した。
ステラには「本の世界に入り込み、その本の知識や内容を実際に体験したように習得できる特別な力」があったのだ。
彼女はその力を使って、隣国との条約締結に関する通訳不在問題や皇帝陛下の病気を治す薬草探索など、様々な問題を解決する。
やがて、アイザックは最初は煩わしかったはずのステラの活躍と愛らしさを目の当たりにし、彼女を「娘として」大切に思うようになる。
これは赤ちゃんに転生した本好きアラサーの社畜OLが、前世の知識と本好きの力を活かして活躍した結果、冷徹な義父から溺愛される話である。
※最終話まで予約投稿済
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
聖女なんかじゃありません!~異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
川で溺れていた猫を助けようとして飛び込屋敷に連れていかれる。それから私は、魔物と戦い手足を失った寝たきりの伯爵様の世話人になることに。気難しい伯爵様に手を焼きつつもQOLを上げるために努力する私。
そんな私に伯爵様の主治医がプロポーズしてきたりと、突然のモテ期が到来?
エブリスタ、小説家になろうにも掲載しています。