透明人間

タカナ キッド

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透明人間

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ある朝1人の科学者が世紀の大発明を完成させた。その発明品の大きさはスーツケースくらい、重さは成人男性がやっと背負えるほどのものだ。側面のスイッチを押すとなんと姿が見えなくなるというからおどろきだ。

科学者は世間に装置の発表をする前にとある場所に向かった。重い装置を背負い着いたのは銀行だった。長年の研究の為、資金は底を尽きかけており、金庫から大金を盗み取ろうと考えたからだ。
銀行の前で装置を作動させ、金庫から大金を盗みとるのは難なく成功した。
自宅に帰り大金をテーブルに並べていると、テレビでニュースキャスターが喋りはじめた。「○×銀行から現金3億円が盗まれました。盗まれた現金の紙幣番号は以下の数学となっております。見かけた際は警察までご連絡下さい。」
なんてことだ。わたしが盗んだ金は紙切れと同じではないか。

科学者が次に向かったのは高級料理店。ウエイトレスが客に持って行く前の料理を盗み食いしてやった。
しかし、次第に腹が立ってきた。
こんな事をする為に研究を続けたわけではない。なんせ世紀の大発明だ。

科学者は世間に発表するために装置を背負いテレビ局に向かった。テレビ局の目前の交差点、渡ろうとしたが重い装置で科学者はバランスを崩し転んでしまった。転んだ反動で装置は作動してしまった。科学者がうずくまっているところに車が突っ込んできて科学者は死んでしまった。

こうして世紀の大発明は日の目を見ることなく世界の片隅で透明の科学者を包み込んでいる。


おしまい
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