御伽噺 -曼珠沙華-

乙人

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邪魔者

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(そう言えば、昔っから、優秀だったな。琴乃の姫君は。)
 ボーっと、していた。久光は、琴乃のことを想っていた。
「久光君、何をぼーっとしてるん?今、授業中やよ。」
 隣の女子学生に言われて、久光はハッとした。今は、学校の授業中だった。
(琴乃の姫君は、毎回、一番だ。僕も、それに追いつければ。もっと、覚えているくれるだろうか。)

「橘、また一位だ。おめでとう。」
 教師は、琴乃(本名・橘琴乃)にテストの解答用紙を手渡した。そこには、100の文字が赤く書かれている。
「流石は、我がAクラスの秀才。」
 そうは言われるが、琴乃にとって、この時間は嫌でしかない。クラス中の視線が、痛いから。
(もう少し、普通でいたかったのに。私、何故こんなに悪目立ちしてしまうのだろうか。嫌になってしまうわ。)
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