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勘違い
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ここは、どこだろう?
白い天井に、白い壁。周りを見回せば、品の良い家具が、センス良く並べられている。貴族のお宅の一室と言ったところだ。草食獣人の家ではお目にかかれない調度品の数々に、困惑だけが募っていく。
身動ぎしても思うように動けないのは、後ろ手に縛られているからだろう。
ダミアンが『タマ』だと知って、喜びを分かち合い、殿下と幸せになれよとエールを送ったところまでは覚えている。
それから、どうなった?
お腹に鋭い痛みを感じて……。殴られて、気を失ったのか。
だとすると、ここに連れてきたのはダミアンだと考えるのが妥当だろう。ただ、なぜ彼がそんな行動を起こしたのかがわからない。
今世で、再び会えたことを喜んでいたのは自分だけで、ダミアンの本心は、私を恨んでいるという事なのか?
この部屋に連れてこられてから、どのくらいの時間が経ったのかもわからない。今が、朝なのか、昼なのか、夜なのかもわからない。見渡せる範囲には、窓すらない。そんな部屋に閉じ込められているという状況が、恐怖をあおる。
どうにか逃げ出さなければ、不味い状況になると本能が告げていた。
さて、どうしたものか……
「先生、目が覚めましたか」
扉を開け入ってきた人物を見て、眉をひそめる。
どの口が言うのか……
「そう睨まないでください。手荒な真似をしたことは謝ります」
「ダミアン、お前の目的が何かはわからんが、悪いことは言わない。今すぐ、この縄を解いて、私を解放しろ」
「この縄を解いたら、先生は逃げてしまいますでしょ?」
そりゃ、誰だって逃げるだろう。そして、金輪際関わらないように、全ての関係を断つ。
ただ、ダミアンがどう出るのか見当もつかない今、それを言うべきでは無いことくらいならわかる。まずは、彼の気持ちを逆撫でする事だけは避けなければ。
「逃げない。縄を解いても逃げない」
「信じられませんね。現に、先生は前科がある。私を置いて、死んでしまったではないですか」
前世のことを、今世で持ち出さないで欲しい。しかも、寿命が尽きて死んだのだ。私のせいではない。
「いや……あれは、寿命で……」
「確かに前世では、年の差がかなりあったので、仕方ないでしょう。でも、今世はお互い年も近い。不慮の事故でも起きない限り、ずっと一緒にいられますね。先生が逃げなければの話ですが」
「そうだな! だから、逃げないと言っている」
「今は、でしょ? だから、実力行使に出てみました」
笑顔で、恐ろしいことを宣うダミアンを見つめ、冷や汗が流れる。
まさか『一緒に居たいから監禁しました』なんて、言わないだろうな……
待て待て、冷静になり考えろ。ダミアンは、殿下の恋人なのだ。彼の側をウロチョロしていた私に、良い感情は抱いていないはずなんだ。どちらかといえば、排除したい存在のはずだ。前世の友でも、今世でも味方であるとは限らない。
つまりは、ダミアンが私を誘拐した理由は、『復讐』
飼い殺しにて、痛めつけるつもりか。これは、本気で不味いことになってきた。
ひとまずここは、私が殿下とダミアンの仲を応援している事をアピールして、今後一切、二人の前に現れない事を約束すれば、何とか解放してもらえるかもしれない。
「ダミアン、落ち着いて聞いてほしい。君が私の事を恨んでいるのは良くわかった。確かに、恋人であるアルフレッド殿下の周りをチョロチョロしている者が居れば、不愉快にでもなろう。ただな、考えても見てくれ。アルフレッド殿下ほどの人物が、私のような小物相手にする訳がないだろう。ただちょっと物珍しかっただけなんだ。殿下と長年過ごしてきたダミアンならわかるだろう。彼が、私に本気ではないことくらい」
「殿下が、貴方に本気ではないですって……」
「そうだ。ただの暇つぶしだ、きっと。それに、私は軍を去る。もう殿下に会うこともないし――」
そうか。もう、これで殿下に会うこともないのか……
突然襲ってきた胸の痛みは、もう彼らに会うことはないという寂しさ。突然『ポチ』を失った時の虚無感をまた味わうことになるとわかり、胸の痛みはさらに強くなる。
『ポチ』への想いに決着をつけると言っておきながら、この様だ。
「はは……ははは……殿下、殿下と……。貴方の心には、いつでもアイツがいる。前世でも今世でも、ココに私の入る余地などない」
「ダミアン……」
トンっと、胸を押され後方へと倒れる。
「それでもいいのです。貴方の心にアイツがいようと関係ない。ここに閉じ込めてしまえば、いつか貴方の心から、奴を追い出すことが出来ますもの」
「――何を、言って……!!」
ビリっという音と共に、シャツの前が裂ける。
「まだわかりませんか? 実力行使に出ると言ったでしょ」
今になってようやく理解した。認識が、始めから間違っていたことを。
白い天井に、白い壁。周りを見回せば、品の良い家具が、センス良く並べられている。貴族のお宅の一室と言ったところだ。草食獣人の家ではお目にかかれない調度品の数々に、困惑だけが募っていく。
身動ぎしても思うように動けないのは、後ろ手に縛られているからだろう。
ダミアンが『タマ』だと知って、喜びを分かち合い、殿下と幸せになれよとエールを送ったところまでは覚えている。
それから、どうなった?
お腹に鋭い痛みを感じて……。殴られて、気を失ったのか。
だとすると、ここに連れてきたのはダミアンだと考えるのが妥当だろう。ただ、なぜ彼がそんな行動を起こしたのかがわからない。
今世で、再び会えたことを喜んでいたのは自分だけで、ダミアンの本心は、私を恨んでいるという事なのか?
この部屋に連れてこられてから、どのくらいの時間が経ったのかもわからない。今が、朝なのか、昼なのか、夜なのかもわからない。見渡せる範囲には、窓すらない。そんな部屋に閉じ込められているという状況が、恐怖をあおる。
どうにか逃げ出さなければ、不味い状況になると本能が告げていた。
さて、どうしたものか……
「先生、目が覚めましたか」
扉を開け入ってきた人物を見て、眉をひそめる。
どの口が言うのか……
「そう睨まないでください。手荒な真似をしたことは謝ります」
「ダミアン、お前の目的が何かはわからんが、悪いことは言わない。今すぐ、この縄を解いて、私を解放しろ」
「この縄を解いたら、先生は逃げてしまいますでしょ?」
そりゃ、誰だって逃げるだろう。そして、金輪際関わらないように、全ての関係を断つ。
ただ、ダミアンがどう出るのか見当もつかない今、それを言うべきでは無いことくらいならわかる。まずは、彼の気持ちを逆撫でする事だけは避けなければ。
「逃げない。縄を解いても逃げない」
「信じられませんね。現に、先生は前科がある。私を置いて、死んでしまったではないですか」
前世のことを、今世で持ち出さないで欲しい。しかも、寿命が尽きて死んだのだ。私のせいではない。
「いや……あれは、寿命で……」
「確かに前世では、年の差がかなりあったので、仕方ないでしょう。でも、今世はお互い年も近い。不慮の事故でも起きない限り、ずっと一緒にいられますね。先生が逃げなければの話ですが」
「そうだな! だから、逃げないと言っている」
「今は、でしょ? だから、実力行使に出てみました」
笑顔で、恐ろしいことを宣うダミアンを見つめ、冷や汗が流れる。
まさか『一緒に居たいから監禁しました』なんて、言わないだろうな……
待て待て、冷静になり考えろ。ダミアンは、殿下の恋人なのだ。彼の側をウロチョロしていた私に、良い感情は抱いていないはずなんだ。どちらかといえば、排除したい存在のはずだ。前世の友でも、今世でも味方であるとは限らない。
つまりは、ダミアンが私を誘拐した理由は、『復讐』
飼い殺しにて、痛めつけるつもりか。これは、本気で不味いことになってきた。
ひとまずここは、私が殿下とダミアンの仲を応援している事をアピールして、今後一切、二人の前に現れない事を約束すれば、何とか解放してもらえるかもしれない。
「ダミアン、落ち着いて聞いてほしい。君が私の事を恨んでいるのは良くわかった。確かに、恋人であるアルフレッド殿下の周りをチョロチョロしている者が居れば、不愉快にでもなろう。ただな、考えても見てくれ。アルフレッド殿下ほどの人物が、私のような小物相手にする訳がないだろう。ただちょっと物珍しかっただけなんだ。殿下と長年過ごしてきたダミアンならわかるだろう。彼が、私に本気ではないことくらい」
「殿下が、貴方に本気ではないですって……」
「そうだ。ただの暇つぶしだ、きっと。それに、私は軍を去る。もう殿下に会うこともないし――」
そうか。もう、これで殿下に会うこともないのか……
突然襲ってきた胸の痛みは、もう彼らに会うことはないという寂しさ。突然『ポチ』を失った時の虚無感をまた味わうことになるとわかり、胸の痛みはさらに強くなる。
『ポチ』への想いに決着をつけると言っておきながら、この様だ。
「はは……ははは……殿下、殿下と……。貴方の心には、いつでもアイツがいる。前世でも今世でも、ココに私の入る余地などない」
「ダミアン……」
トンっと、胸を押され後方へと倒れる。
「それでもいいのです。貴方の心にアイツがいようと関係ない。ここに閉じ込めてしまえば、いつか貴方の心から、奴を追い出すことが出来ますもの」
「――何を、言って……!!」
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今になってようやく理解した。認識が、始めから間違っていたことを。
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