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プロローグ
魔界の禁忌
しおりを挟む魔族が住まう国、魔界。人間が住まう国、人間界。天使が住まう国、天界。まだ、人間と魔族と天使が交流をもっていた時代。新魔王誕生の式典に招待された人間の男が、魔界の住人に、問いかけた。
新しく魔王になられるのは、あの御方か?
なんと禍々しくも美しい御方なのだ。
あの御方に、伴侶はいないのか?
あれだけ美しく、強いオーラを持つ魔族であれば、女魔族が放っておかないだろう。
冗談めかして言った男の言葉に、魔界の住人は、皆一様に、眉を顰める。
何!? 魔王となる者に伴侶は必要ない? では、次期魔王の椅子は、どうなるのだ?
ほぉ、魔王は、死ぬ間際に、全ての魔力を己が子へ受け渡し死ぬというのか。
男であろうと、女であろうと関係なく、男女の営みを必要とせず、子を産むと。それは、また……
しかし、そんなことが可能なのか?
魔族という種族は実に興味深い。
魔界でそんな話を聞いた男は、興味本位で魔王について調べ始めた。そして男は、ある事実を掴むに至る。
歴代魔王の護衛騎士は、全てオーク族の女戦士なのだ。しかも、なぜか皆一様に、魔王が覚醒後に姿を消している。
まるで女オークの護衛騎士など始めから存在していなかったかのように……
なぜ、覚醒前の魔王の護衛騎士は皆、女オークなのか?
魔王覚醒後、護衛騎士の女オークに何が起こったのか?
そして、『オークの花嫁』とは?
人間の男が、その答えを知ることはない。魔界の禁忌を暴く者、死の祝福を受けし者となる。
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