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第5章 忘れられない想い【ミリア&リドル編】
閑話 エリザベスの尋問
しおりを挟む~エリザベス視点~
ベイカー公爵家からシュバイン公爵家へ戻って来た私は怒り心頭だった。
…リドルお兄様はいったいこの数ヶ月何をしていたのよ!
お兄様のミリアに対する恋心に気づいていた私は涙をのんでミリアをベイカー公爵家へ置いて来たと言うのに………
………ミリアの哀しそうな顔……
やはり、お兄様を好きだったんだわ。
昔から私のことばかり気にして、自分のことは後回し…
そんな日常の中、たまに現れるお兄様をミリアが嬉しそうに見ていたのに気づいたのはいつ頃からだろう。
本当に僅かな反応で、結局最後まで本心を聞き出すことは出来なかったけど。
それよりも………ルカ・リックベン………
さっきの話だと、私の知るルカ王太子とリックベン商会のルカ様は同一人物の可能性が高いわよね。
銀髪に紫の瞳の美丈夫なんて、そうそう居ないでしょうし………
だとすると、もの凄い強敵だわ………
私も少し会話をした位だったけど、あの方の持つオーラは王者のものよ。笑顔で接して下さっていたけど…………
捕食される獲物の気分だったわ。
ハインツ様とは、とても親しげだったのよね………
お兄様の言うように、今回のルティア王女婚約騒動にハインツ様が絡んでいるのは間違いなさそうね。
………さて…どうやってルカ王太子とのこと聞き出そうかしら………
「…ねぇ………これはどういう趣向なのかな?」
私は帰って来たハインツ様を捕まえ、ふたりの寝室にある椅子に座らせ後ろ手にハインツ様を縛ってみた。
「ハインツ様…わたくしに隠し事してらっしゃいませんか?
ルティア王女の婚約者候補にリドルお兄様がなっていたなんてわたくし知りませんでしたの………
しかも先日お会いしたルカ王太子様とハインツ様がこの婚約話…進めたそうではないですか………」
本当は、婚約話を進めているのがハインツ様とルカ王太子だという証拠は何もないがカマをかけてみた。
………動揺するかしら?………無表情ね………
「私が、その婚約話に関与しているなんて誰から聞いたのかな?」
………うっ…笑顔で黒いオーラを放つハインツ様………めちゃ怖い………
私が尋問されてるみたいじゃない………
「…だ…誰だっていいじゃございませんの!それよりもルティア王女の婚約者にリドルお兄様をあげるなんて酷いですわ。わたくしのミリア幸せ計画が台無しです‼︎」
「………はぁ?ミリア幸せ計画ですか?」
「あっ‼︎」
私はハインツ様の怖いオーラに言わなくていい事まで言ってしまっていた。
「それは………何でもございませんの!」
「エリザベスは私に隠し事をすると………」
………いつの間にか手を縛っていたリボンを解き、ゆっくりとハインツ様が近づいてくる………
恐ろしくなり後退しようとした私の腰をハインツ様が抱き寄せ耳元で囁く………
「………じっくりと尋問する必要がありそうですね………
私に隠し事をするなんてエリザベスは悪い娘だ………」
黒いオーラ全開のハインツ様に捕まった私は抱き上げられベットにゆっくり降ろされる。
「体に聞いた方が早そうですねぇ~」
「…まま…待ってください!………」
私の叫びは、ハインツ様の激しい口淫に飲み込まれた………
「それでエリザベスは、ベイカー公爵家のリドル殿とミリアを結婚させたいけど、ルティア王女の婚約者候補にリドル殿が選ばれ不満だと………
リドル殿とミリアの関係がギクシャクしている中、ルカ・リックベンというライバルが現れ、ミリアを愛しているリドル殿は焦っていて、エリザベスに協力を求めた。そして、ルカ・リックベンとルカ王太子は同一人物らしい………
リドル殿に私が、この婚約話に一枚噛んでいると言われたエリザベスは真相を突き止めるべく、私を尋問したと………
そういう事でいいのかな?」
「………はいぃ………………………」
あの後、ベットの中でハインツ様からの甘い尋問を受け、洗いざらい全部喋ってしまった………
………私がハインツ様を尋問するはずだったのに………
私は恥ずかしさで上掛けを引っ張り赤くなった顔を隠す………
「………エリザベス………
心配はいりませんよ。ルティア王女には想い人がいますからリドル殿との婚約にOKは出さないでしょう………
確かに、ルカ王太子からすればルティア王女がベイカー公爵家に嫁ぐ方がリザンヌ王国の我が国に対する影響力が増すので利益は大きいですが、これ以上四大公爵家の均衡を崩したくない陛下が許しませんよ。ルティア王女は、どの道レッシュ公爵家に嫁ぐ事になる………」
「えっ⁈そうですの?
では、何故始めからレッシュ公爵家のイアン様との婚約を進めなかったのですか?」
………私は思わぬ話に被っていた上掛けをはね除けハインツ様を見つめてしまう………
「………まぁ…色々な思惑が絡んでいるが………
ルカ王太子側からの要請と義父ベイカー公爵の横ヤリかなぁ………」
「やっぱりお父様だったのね!本当に余計なことを………
ベイカー公爵家に帰っても当分口をきいてあげませんから‼︎‼︎」
ハインツは隣で可愛く憤る妻を見て苦笑をもらす………
「エリザベス…あまりベイカー公爵を苛めるのはやめなさい。
お前に嫌われたら、王城での仕事に影響が出るから………」
「はぁ~なんですのそれ………」
ベイカー公爵からの重い愛に無自覚なエリザベスは首を傾げる。
………私がお父様と口をきかないだけで、どうして王城の仕事に影響が出るのかしら………?
「それよりも厄介なのはルカ王太子の方だろうね~
エリザベスの話だと、ルカ王太子とルカ・リックベンは同一人物ということになる。であれば、ルカ王太子は花嫁としてミリアをリザンヌ王国に連れ帰るため今動いていることになるねぇ………
あの男は強敵だよ。策を巡らせるのが上手い………
ルティア王女をベイカー公爵家へ嫁がせたいのも案外ミリアを手に入れるための策だったのかもしれないね。
まぁ………あとはミリアが決めることだよ。リドル殿かルカ王太子か………」
「えぇ~ミリアはリザンヌ王国になど絶対に嫁がせませんわ‼︎滅多に会えなくなってしまうなんて嫌です!
こうなったら何が何でもリドルお兄様には頑張ってもらわないと‼︎‼︎‼︎」
ミリアとリドルお兄様をくっ付ける策を色々考え始めた私は、ハインツ様の動きに反応するのが遅れた。
………いつの間にか隣にいたはずのハインツに見下ろされている………
「………エリザベス………
尋問は終わりましたので、次は夫に隠し事をした妻にお仕置きをする時間ですね………」
「………へっ⁈………」
体を怪しく触りだしたハインツ様の手に翻弄され、あっという間に官能の世界へ連れていかれる………
私は疼き出した体を満たすべく、ハインツ様に身を委ねた………
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