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第6章 鎖を断ち切るために【ルティア&イアン編】
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しおりを挟む………さらに数日後………
レッシュ公爵家につけられたベイカー公爵家の馬車に乗り、私とイアンはベイカー公爵家領地へ向かっていた。
迎えの馬車にはリドル様は乗っておらず、御者からイアンと共にベイカー公爵家の馬車に乗るように言われ今に至る訳だが………
始め、イアンはレッシュ公爵家の馬車にて向かう予定だったがベイカー公爵家側の強い希望にて一台の馬車に二人とも乗り出発することになった。
確かに何処で誰が監視しているかわからない状況でレッシュ公爵家とベイカー公爵家の馬車二台で連れ立ち走っていれば目立つし変な憶測を生みかねない。
………リドル様は私の想い人がイアンだって気づいているのかしら………?
私は思わず正面に座るイアンを見つめてしまう………
「どうしたの?ルティ………
何か気になることでもあるの?」
「わたくし、リドル様にイアンと恋仲だって言っていないの………
でも何故イアンがわたくしの想い人だってわかったのかしら?」
「………そんなの簡単だよ………
リザンヌ王国でルティと僕は友人関係だって知っているし、実際に僕もルティの婚約候補な訳だから予想はつくでしょう。しかもルティはレッシュ公爵家に滞在してる訳だしね。
………まぁ…リドル殿もバカではないし、多方面の情報は持っているはずさ………
アイツはベイカー公爵家の間諜でもあるしね。」
………リドル様は間諜ですの………
通りで女性達を虜にする癖に全く熱が感じられなかったのね………
「今回のベイカー公爵家領地への招待もルティと協力関係を築く上で、相手をきちんと確認しておきたいと言ったところかな………
用があるのは僕だと思うからルティはあまり警戒しなくても大丈夫だよ。
僕もリドル殿とは一度きちんと話してみたかったしね。」
目の前のイアンが不適に笑う………
………これは…リドル様に私との関係にクギをさすつもりね………
波乱の予感を秘め、馬車はベイカー公爵領地へ向かう道をひた走る………
「ようこそお越しくださいました。ルティア王女殿下にレッシュ公爵家のイアン様ですね。わたくし、ベイカー公爵家別邸の執事をしておりますセバスチャンと申します。長旅お疲れ様でございます。荷物は全て客間へお運び致しますので、こちらのお部屋にてお待ちくださいませ。」
エントランスで執事に出迎えられた私達は、綺麗に手入れされた庭に面する部屋に通される。
窓際に置かれたソファに腰掛け、メイドが入れてくれたお茶を飲みながら待っていると執事が部屋に入ってきた。
「大変申し訳ございませんが、リドル様は諸事情ありましてこちらの別邸には滞在しておりません。
代わりに、こちらの手紙をルティア王女殿下に渡すように申しつかっております。」
執事のセバスチャンに渡された手紙を見て困惑する。
………招待したリドル様自身が不在なんてどういうことかしら………?
『ベイカー公爵領地への招待を快く受けていただきありがとうございます。本来であれば別邸にて私がおもてなしをするところ、諸事情ありまして別邸へ滞在することが難しくなりました。私はとある女性との関係を進展させるべくベイカー公爵領地のある場所に居ます。ルカ王太子の目を欺き、私の計画を成功させるためにルティア王女殿下にベイカー公爵領地へ来て頂いた次第です。
ベイカー公爵領地であれば、王都でのリザンヌ王国の監視の目は届きません。
貴方様の愛する方とゆっくりお過ごし下さい。』
………リドル様の愛する方………
あのメイドの女性なんでしょう………
まぁリドル様だけベイカー公爵領地へ行くよりも私を一緒に連れて行った方が、ルカ王太子にはリドル様と私の仲が進展しているように見えるわよね………
さすがにベイカー公爵領地まで監視の目を伸ばす事はしないだろうし………
私は隣に座るイアンに手紙を渡す。
「………自身の計画に加担させる代わりに僕にも恩を売っておこうってところかな………
まぁ、ルティと二人きりになれる貴重な機会だし最大限利用させてもらうさ。」
イアンの意味ありげな流し目に私の顔がみるみる赤くなる………
「リドル様よりルティア王女殿下とイアン様の希望は出来る限り叶えるように申しつかっております。わたくしがリドル様に代わりおもてなしさせていただきますので何なりとお申し付けくださいませ。」
挨拶をし執事のセバスチャンが退室して行く。
「ルティ……二人きりで過ごせるね。
王都では二人で外出も出来なかったからいっぱい外に出かけよう。
遠乗りもいいかもしれない………」
私はふたり切りになった部屋の中、イアンの膝の上に乗せられ抱きしめられる。
真っ赤に染まった私の顔を見つめながらイアンが囁く………
「ルティアとの仲も進展しそうだ………」
色気を放つイアンに当てられ頭がショートした私は、イアンにされるがままキスを受け入れていた。
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