前世腐女子、今世でイケメン攻略対象者二人から溺愛されるなんて聞いてません!

湊未来

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第4章

次世代へ継がれる想い

 晴れ渡る空の下、ひと組のカップルが互いの家族に囲まれ、永遠の愛を誓っていた。

 燃えるような赤髪を綺麗にまとめあげ、美しい刺繍が施されたベールをかぶった新婦は、わずかにのぞくアクアマリンを思わせるブルーの瞳を潤ませ、新郎を見つめる。

 一方、緊張の面持ちの新郎は、近衛騎士団の濃紺の制服に身を包み、慶次けいじの時にのみつける、いくつもの勲章が、彼の胸元を飾る。いつもは、ボサボサのとび色の髪は綺麗に後ろへと流され、ブルーの瞳は新婦を愛しげに見つめていた。

「サイラス・ナイトレイ。なんじはマリア・ウェストを妻とし、病める時も、健やかなる時も、生涯を通し、愛しぬく事を誓いますか?」

「誓います」

 新郎の朗々とした声が、抜けるような青空に響く。

「マリア・ウェスト。汝はサイラス・ナイトレイを夫とし、病める時も、健やかなる時も、生涯を通し愛しぬく事を誓いますか?」

「誓います」

 新婦の甘さを含んだ柔らかい声が会場内を包み、参列者の心を温かくさせる。

「では、誓いのキスを……」

 新郎がベールを上げ、新婦の額にぎこちなく口づけを落とすと、額へのキスだけではもの足りなかったのか、新婦が新郎の頭に腕を回し、無理やり唇を重ねている。

 そんな様子を頭を抱え見つめる新婦の父と、そんな娘を見つめクスクスと笑う新婦の母。そして、呆れ顔で二人を見つめる新郎の義父。

「――――、何をやっているんだマリアは」

「今に始まったことじゃないでしょ。あの娘の性格は、誰に似たのかしら?」

「「絶対に、アイシャだろう!!」」

 新郎の義父と新婦の父の声が見事にハモる。

「……心外だわ。わたくし、あの娘ほど、ガッついてはいないわよ」

「いいや、アイシャとリアムの結婚式も似たようなものだったぞ。誓いのキスも、ベールを上げた瞬間、緊張で動かないリアムに焦れて、アイシャからしていたもんなぁ」

「えっ!?  あの時、キースは結婚式に出席していたの?」

「あぁ。リアムを選んだアイシャの幸せな姿を、最後に目に焼きつけたかったからな。まぁ、予想外の結婚式にアイシャへの気持ちも、吹っ切れたけどな」

「あれは、リアムが悪いわよ。ベールを上げたら直ぐでしょ。なのにこの人ったら固まって動かないんですもの」

「……それでも待つだろう。普通は」

「まぁ、アイシャだから仕方ないんじゃないかぁ」

「そうだな……」

 男二人の小さなため息が聞こえてくる。

「何よそれ……」

 頬を膨らませ怒る妻の手を優しく握りなだめる新婦の父は、新郎の義父に頭を下げる。

「破天荒な娘だが、よろしく頼む。きっと、夫となるサイラスはマリアに振り回されるだろうが」

「まさか、俺達の子が結婚するとは思わなかったが、これで俺の肩の荷もおりる。白き魔女を迎え入れる事は、ナイトレイ侯爵家の悲願だったからな。サイラスは、兄貴の子だけあって頭も切れるし、剣の腕も俺をしのぐ。人望も厚く、次期騎士団長は確実だ。必ず、マリアを護り抜くだろう。心配するな、あれでなかなかサイラスも一筋縄ではいかん男だ。そうでなければ、狸ばかりの社交界で、白き魔女と認知されたマリアを護ることなど出来ないからな」

「本当、運命かしらね~
まさか、マリアとサイラスが巡り合い、お互いに惹かれ合うなんて、想像もしていなかったわ。そしてあの子達が、私達三人をまた巡り合わせてくれた。キース、ありがとう。……わたくし、今とても幸せよ」

「……そうか。アイシャが幸せなら、それでいい」

 アイシャとキース、二人の手と手が重なる。

 アイシャとリアム、そしてキース…………

 三人は、それぞれの心に宿った温かな想いをかみしめ、初々しい二人の門出をいつまでも祝福していた。



【完】
感想 36

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みんなの感想(36件)

ぱら
2023.09.10 ぱら
ネタバレ含む
2023.09.10 湊未来

最後までお読み頂き、ありがとうございました╰(*´︶`*)╯♡
そして、たくさんの感想、本当に嬉しかったです✨✨
きっとノアさんは、クレア王女と王妃様とアナベル様に、締め上げられたことでしょう〜

解除
ぱら
2023.09.09 ぱら

リアムとアイシャが?!
ウワァァ━━━。゚(゚´Д`゚)゚。━━━ン!!!!

2023.09.09 湊未来

わぁぁん。゚(゚´Д`゚)゚。

解除
ヨナ
2023.09.06 ヨナ
ネタバレ含む
2023.09.06 湊未来

ヨナ様は、リアム推しなのですね!
そうなんです!本当、ソコ!!
ノアさんは、キースには何も要求していないのです。そこ、ポイントなのです!
ノアさんにとって、リアムとは、どんな存在だったのか?
そんな所にも注目してお読み頂けると、ノアの闇深いところが分かるかと。
でも、筆力足りず伝わっていなかったら、ごめんなさい(>人<;)

解除

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