【R18】スパダリ幼なじみは溺愛ストーカー

湊未来

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狂い狂わせ、執着【廉視点】


 ネオン街の灯りがぼんやりと照らす部屋の中、一人ソファに座りタバコを燻らせていた廉は、三年ぶりに交わした美咲との会話を思い出し暗い笑みを浮かべる。

 まさか、美咲が女性関係に嫉妬するなんて思いもしなかった。あふれ出した感情のまま年甲斐もなく美咲の唇を貪ってしまった。
 真っ赤に染まった頬に潤んだ瞳……、明らかに俺のキスに感じていた美咲。必死にすがりつく美咲の火照った身体の熱を思い出すだけで、身体が昂ぶって仕方がない。

 廉は頭をもたげそうになる欲望を抑えるため、グラスに注いだシャンパンをグイッとあおる。
 よく冷えた琥珀色の液体が喉を落ち、爽やかな香りが鼻腔を抜けていっても、廉の身体の奥底で燻り続ける熱を鎮めてはくれない。

 なにを我慢することがあるのだろうか。
 三年間待った。三年間探し続けて、やっとこの手に戻って来たのだ。

 廉はゆっくりと立ち上がると静けさに包まれたリビングを後にし、廊下を進む。
 美咲の部屋の扉を軽くノックするが、数分経っても反応がない扉を見つめ、ニタっと笑み崩れる。彼女の部屋に鍵はない。ドアノブに手をかけ、下へと押せば簡単に扉は開いた。

 真っ暗な室内に足を踏み入れ、ゆっくりとベッドに近づき覗き込めば、あどけない顔をして眠る美咲が見えた。

 くくく……、部屋から追い出された時は『寝られるわけない!!』と叫んでいたが、流石に色々あり過ぎて疲れているか。可愛い顔をして寝ている。

 一つ屋根の下、美咲と一緒に暮らせる喜びが心を満たし、廉の顔に満足げな笑みが浮かぶ。

 一方的に別れを切り出されてから三年、美咲だけを想い、もう一度、この手に彼女を取り戻すためだけに必死に働いた。誰にも邪魔させないだけの権力も財力もある。

 廉の脳裏に、静香が言った言葉が甦える。

『今の貴方じゃ美咲さんを幸せには出来ないわ。モデルの仕事も中途半端にして彼女を追いかけた所で、美咲さんは貴方の元へは戻って来ない。美咲さんを繋ぎ止めておけるだけの権力も財力もない男なんか、魅力的な男が現れれば、すぐにお払い箱よ。それでも良いなら追いかければいいわ』

 まだまだ駆け出しモデルだった廉に、マネージャーだった静香の言葉は重かった。
 こんな中途半端なままでは、美咲を繋ぎ止められたとしても、それは一時的なものに過ぎない。すぐに愛想を尽かされるだろう。
 廉の中の闘争心に火がついた瞬間だった。

 あれから、二年でトップモデルに上りつめ、貯まった資金で個人事務所を立ち上げた。そして、今では人気タレントやモデル、アイドルグループを抱える事務所にまで成長させた。
 仕事も順風満帆、美咲と住む家も購入し、彼女の両親の協力も取り付けた。
 始めは美咲との同棲を渋っていた彼女の両親も、廉の深い愛を知り、美咲の気持ちを優先することを条件に協力してくれることになった。

 スヤスヤと眠る美咲の頬に手を添え、ゆっくりと顔を近づけキスを落とす。

 美咲を囲う鳥かごの準備は出来ている。そして、今、愛する彼女は俺が設えた鳥かごの中、眠っている。

 もう逃げられない。

 軽くキスをしただけなのに、触れた唇からジワジワと身体中に熱が広がっていく。

 くくっ……、いつまで我慢出来ることやら。

 頭をもたげそうになる欲望を無理矢理抑え込み、そっと額にキスを落とす。

「もう、逃がさないよ。美咲」

 スヤスヤと寝息をたてる美咲からゆっくりと離れ部屋を出た廉は、その足で浴室へと向かう。彼女とのキスで火照った身体を、冷たいシャワーで鎮めながら考える。

 美咲の周りは完全に包囲した。今の彼女に廉から逃れる術はない。後は、この手に落ちてくるのをゆっくり待つだけだ。

「いいや。落ちてくるのを待つだけではつまらない。三年間、俺から逃げ回ったツケをきっちり払ってもらおうか」

 冷たいシャワーを浴びながら黒い笑みを浮かべた廉は、会えなかった三年間を埋めるかのように、美咲の乱れた姿を思い浮かべ悦に浸った。
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