冷やし上手な彼女

カラスヤマ

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独り言

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会長は、私以上の変人だと思う……。こんなに狂った私を副会長にしてまで、自分の側に置く。決して、優しいわけじゃない。私を利用する為。これは全て、自分の利益の為。

一年前のことーーーー。

「キミからお金を借りると、人生詰むって噂で聞いたけど………。どうやら、その噂は本当みたいだね」

私は、私の靴底を舐める債務者(教師)を追っ払い、その声の主を見つめた。

「あなた……だれ?」

「僕は、次期生徒会長の神華だよ。今は、その為の前準備。兵隊集めをしている途中なんだ。この学園を統一する為には、それなりの力が必要だからね。番条さんにも、将来的に僕の補佐をしてもらいたいんだ」

「……………そんな…もの……興味……ない」

「もちろん、タダってわけじゃないよ。そうだなぁ………。うん!  キミから今、金を借りるとしよう。とりあえず、一万。一年後、僕が会長になってしばらくしたら、また君を誘いに来るよ。その時に借りた金は、利子をつけて全額返す。僕は、相当な金蔓になるわけだから、それなりにメリットはあるだろ?」

私は、この笑う狂人を見つめた。相手の心を探る。深く……もっと……。

「今の見たでしょ?  私にお金を返せなければ、どんなひどい目に遭うか……。アナタが、お金持ちなのは知ってる……。だけど今、私から一万借りたら、一年後には、二百二十億を越える。………本当に払える? 家が、神華とか関係ない。払えなければ、死ぬまで変態オヤジ共の性奴隷にする。すぐに股が壊れるよ」

「やっぱり、僕が女だと気づいてたね。番条さん………キミの人の内面を見る目は、確かだ。一年後、楽しみにしてる。新生徒会で会おう。じゃあ、また!」

私から借りた一万を指先で挟み、あっという間に姿を消した。今、この瞬間から地獄の利息がスタートする。

「…………へん…な…人……」

この人は狂ってる。私より何倍も。
でも同時に、ワクワクしている自分が不思議だった。

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