40 / 63
二章
深夜の報告会
しおりを挟む
深夜。急に外の空気を吸いたくなり、ベッドから飛び降り、テラスに出た。人工の青白く光る滝を横目に、黒い大理石の床をしばらくペタペタ歩いた。一度深呼吸した後、リクライニングチルベッドに全身を預ける。
満天の星空。
「優雅だなぁ……ほんと……」
比べることすらバカらしい、圧倒的な財力。もし、あの人の言う通りにしたら、この全てが今すぐ手に入る。一生、金に困らない人生。きっと、俺みたいな貧乏人が想像もつかない贅沢な日々が待っている。
「でも………」
何かが違う。
『…………っ……』
突然、七美のゆるい声が耳元から聞こえた。どうやら、このベッドにはスピーカーが内蔵されているらしい。
『眠れないの?』
「うん。少しね。目が冴えてさ」
『パパに虐められなかった? 大丈夫?』
「大丈夫だったよ。かなり緊張したけどな。ところで、心や卯月さんはどうした? 夕飯の時も見てないし」
『まだプールにいると思うよ。さっき、私が夜食持って行った時は、プールに入りながら、スクリーン見て、二人でゾンビゲームしてたし』
「飽きないの? スゴいな、色んな意味で……」
七美との他愛ない会話中も、徐々に痼が喉奥にたまっていく。吐き出したくて、ウズウズする。あの男の得たいの知れない力について………どうしても知りたい。将来、家族になるのなら尚更だ。
でもーーーー。
「明日は、朝飯八時半だっけ? また夕飯食べた大ホールに行けばいいの?」
『うん。でも時間が近づいたら、メイドさんが呼びに来るから、大丈夫だよ。その人が案内してくれる』
「分かった。ちなみにそのメイドは、間違いなく心じゃないな」
『アハハハハ! あの子に、そんな理想的なメイドの仕事出来るわけないじゃん。アハハハハハハッ!!』
「めっちゃ笑うな……」
会話中。七美が俺に何かを言いかけて止めた。俺は、その言葉を強引に引き出す。
『タマちゃんは……パパのこと嫌いになった?』
「嫌いになってない。だから、そんな悲しい声出すな」
『良かった………。あの……この後、タマちゃんの部屋に行っても良い?』
「ダメ。今夜は、両手を広げて優雅に寝たいし」
『分かった。我慢します……』
寝る前の五回目の『好き』の掛け合いでやっとスピーカーが切れた。
そういえば、七美の母親には一度も会っていないことに今更ながら気づいた。
もしかして、一緒に住んでいないのか?
それともーーーーー
満天の星空。
「優雅だなぁ……ほんと……」
比べることすらバカらしい、圧倒的な財力。もし、あの人の言う通りにしたら、この全てが今すぐ手に入る。一生、金に困らない人生。きっと、俺みたいな貧乏人が想像もつかない贅沢な日々が待っている。
「でも………」
何かが違う。
『…………っ……』
突然、七美のゆるい声が耳元から聞こえた。どうやら、このベッドにはスピーカーが内蔵されているらしい。
『眠れないの?』
「うん。少しね。目が冴えてさ」
『パパに虐められなかった? 大丈夫?』
「大丈夫だったよ。かなり緊張したけどな。ところで、心や卯月さんはどうした? 夕飯の時も見てないし」
『まだプールにいると思うよ。さっき、私が夜食持って行った時は、プールに入りながら、スクリーン見て、二人でゾンビゲームしてたし』
「飽きないの? スゴいな、色んな意味で……」
七美との他愛ない会話中も、徐々に痼が喉奥にたまっていく。吐き出したくて、ウズウズする。あの男の得たいの知れない力について………どうしても知りたい。将来、家族になるのなら尚更だ。
でもーーーー。
「明日は、朝飯八時半だっけ? また夕飯食べた大ホールに行けばいいの?」
『うん。でも時間が近づいたら、メイドさんが呼びに来るから、大丈夫だよ。その人が案内してくれる』
「分かった。ちなみにそのメイドは、間違いなく心じゃないな」
『アハハハハ! あの子に、そんな理想的なメイドの仕事出来るわけないじゃん。アハハハハハハッ!!』
「めっちゃ笑うな……」
会話中。七美が俺に何かを言いかけて止めた。俺は、その言葉を強引に引き出す。
『タマちゃんは……パパのこと嫌いになった?』
「嫌いになってない。だから、そんな悲しい声出すな」
『良かった………。あの……この後、タマちゃんの部屋に行っても良い?』
「ダメ。今夜は、両手を広げて優雅に寝たいし」
『分かった。我慢します……』
寝る前の五回目の『好き』の掛け合いでやっとスピーカーが切れた。
そういえば、七美の母親には一度も会っていないことに今更ながら気づいた。
もしかして、一緒に住んでいないのか?
それともーーーーー
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる