転生勇者と転生魔王は平和を欲す

すももゆず

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ー記憶③ー

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 ーーああ、陽の光が身体に纏わりつくみたいに鬱陶しい。

 叶空が死んだ事故現場は今日もいつも通り車が走り、人が往来している。変わらない日常、その全てが五月蝿い。

 叶空がいなくなったのに、なんで世界は普通に動いているんだ。
 悲しい?残念?そんな薄い言葉で表せるわけがない。みんな、いつか忘れて普通に生きていくんだろ。『ああ、あの時は悲しかったね』って過去にするんだろ。

 どいつもこいつも、いかれてる。

 時計の秒針は規則的に進んでいく。叶空のいない時間を俺に突き付けているみたいだ。腹が立つ、胸糞悪い、叶空のいない時間を刻むな。全部止まれよ。何かも全部、止まってしまえばいい。

 時間が叶空を過去に置いていく。叶空の季節は二度と巡らないんだ。置き去りにしたら叶空が可哀想だろ。

 俺は叶空を置いていったりしない。
 いつまでもずっと、叶空と一緒に……!

 叶空が事故に遭った場所。
 赤信号に変わった横断歩道へ、踏み出す。
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