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第4章 祭りの前のひと仕事、ふた仕事
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本気で怖がっているセシルのもとに、レティシアはできるだけ怖がらせないようゆっくりゆっくり近寄った。
「あ、あれ? レティシア様……?」
「ごめんなさい、驚かせて」
よほど怯えていたのか、レティシアの顔を見た途端、へなへなと腰が砕けていた。
「驚かせないで下さい。どうしてまた、そんな変装なんて……」
「変装?」
セシルからすれば、今のレティシアの変わり様は『変装』と呼べるらしい。喜んで良いのやら、複雑だった。
「えぇと……変装はしていないわ」
「そんなはずありません。玉のような白いお肌がこんなに荒れて、髪も絹のようだったのにこんなにくしゃくしゃに……手だってなんだかゴツゴツと……まるで農民です」
その通り、とは言いたくても言えない。
「まぁ諸事情あってね。しばらくちょっと王都から離れた場所にいたの」
「ま、まさか……例の件で奉仕活動を命じられて辺境で開墾事業に放り込まれていたという噂は本当だったんですか?」
「……何なの、その噂?」
レティシアが何をしていたのかなど王都の民が知る由もない。だというのにこの微妙に真実をかすめた噂ときたら……。レティシアは、いっそ感心したのだった。
(娯楽に飢えた人々の直感や発想は侮れないものね……)
「本当に開墾事業に携わっていたなら、もっと筋肉だらけになっているわよ。謹慎生活が退屈だから、学院ではやっていなかった鍛錬をしていただけ」
嘘は、言っていない。畑仕事という、一つの鍛錬だ。
「なるほど、そうでしたか。失礼しました。そうですよね、レティシア様がいくら何でも辺境なんて、ねぇ」
「……そっちはあながち嘘じゃないけれど」
「何か仰られました?」
「いいえ、何も」
「さあさあ、こちらへ。子供達、ずっとレティシア様……いえレティさんに会いたがってたんですよ」
「そ、そう?……本当に?」
レティシアの脳裏には、あの時『偽聖女』をこきおろしていた子供達の顔が浮かんでいた。あの顔が、会ったこともない酷い奴ではなく、今度こそレティシアに向けられてしまったら……そう、不安に思っていた。
レティ債のそんな思いを感じ取ったのか、あるいはわかっていたのか、セシルは優しく微笑んだ。
「ご心配なく。あの子達、レティさんが最後に具合を悪くされていたと思って、ただひたすら心配していました。自分たちが無理に畑を戻してなんてお願いしたせいかもしれないと、そんなことまで気にして……あの子達は、変わらずレティシア様が大好きですよ」
「……そう?」
レティシアは、少しだけほっとした。まだ不安は消え去りはしないが、少しだけ心が軽くなった。いつの間にか、セシルに促されるまま子供達のもとへ向かう勇気が湧いていた。
「あ、あれ? レティシア様……?」
「ごめんなさい、驚かせて」
よほど怯えていたのか、レティシアの顔を見た途端、へなへなと腰が砕けていた。
「驚かせないで下さい。どうしてまた、そんな変装なんて……」
「変装?」
セシルからすれば、今のレティシアの変わり様は『変装』と呼べるらしい。喜んで良いのやら、複雑だった。
「えぇと……変装はしていないわ」
「そんなはずありません。玉のような白いお肌がこんなに荒れて、髪も絹のようだったのにこんなにくしゃくしゃに……手だってなんだかゴツゴツと……まるで農民です」
その通り、とは言いたくても言えない。
「まぁ諸事情あってね。しばらくちょっと王都から離れた場所にいたの」
「ま、まさか……例の件で奉仕活動を命じられて辺境で開墾事業に放り込まれていたという噂は本当だったんですか?」
「……何なの、その噂?」
レティシアが何をしていたのかなど王都の民が知る由もない。だというのにこの微妙に真実をかすめた噂ときたら……。レティシアは、いっそ感心したのだった。
(娯楽に飢えた人々の直感や発想は侮れないものね……)
「本当に開墾事業に携わっていたなら、もっと筋肉だらけになっているわよ。謹慎生活が退屈だから、学院ではやっていなかった鍛錬をしていただけ」
嘘は、言っていない。畑仕事という、一つの鍛錬だ。
「なるほど、そうでしたか。失礼しました。そうですよね、レティシア様がいくら何でも辺境なんて、ねぇ」
「……そっちはあながち嘘じゃないけれど」
「何か仰られました?」
「いいえ、何も」
「さあさあ、こちらへ。子供達、ずっとレティシア様……いえレティさんに会いたがってたんですよ」
「そ、そう?……本当に?」
レティシアの脳裏には、あの時『偽聖女』をこきおろしていた子供達の顔が浮かんでいた。あの顔が、会ったこともない酷い奴ではなく、今度こそレティシアに向けられてしまったら……そう、不安に思っていた。
レティ債のそんな思いを感じ取ったのか、あるいはわかっていたのか、セシルは優しく微笑んだ。
「ご心配なく。あの子達、レティさんが最後に具合を悪くされていたと思って、ただひたすら心配していました。自分たちが無理に畑を戻してなんてお願いしたせいかもしれないと、そんなことまで気にして……あの子達は、変わらずレティシア様が大好きですよ」
「……そう?」
レティシアは、少しだけほっとした。まだ不安は消え去りはしないが、少しだけ心が軽くなった。いつの間にか、セシルに促されるまま子供達のもとへ向かう勇気が湧いていた。
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