憂い視線のその先に

雪村こはる

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様々な恋愛事情

03

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「だから、ほんの出来心だったんだって!」

「そもそもなんで浮気になんて発展したの? 璃空の妹と2人きりで会うような仲だっけ?」

「それは……」

 ぐっと押し黙った蓮。それから言いにくそうに経緯を説明した。叶衣のことを紹介してくれたのが、蓮の友人の彼女の友人であることは知っていた。その前から璃空により妹の七海ななみを紹介され、時に食事くらいはする仲だったそうだ。
 その頃にはまだ叶衣と七海が親友だとは知りもせず、叶衣と付き合い初めてから叶衣の紹介でそこの繋がりを知った蓮。

 叶衣の誕生日だからと高級レストランを予約したにも関わらず、友人の出産と重なりドタキャンした叶衣に怒った蓮がたまたま都合よくかかってきた電話に出た相手が七海だった。
 叶衣の誕生日プレゼントを選んで欲しいという内容だったが、ドタキャンされて居心地の悪いままレストランに取り残された蓮はそこに七海を呼びつけ、酔った勢いもあって七海と一線を越えたとのことだった。

「あー、もう完全に蓮が悪いじゃん」

「わかってるよ! でもさ、誕生日にって思ってせっかく予約したのにドタキャンはなくないか?」

「だとしても、浮気は違うよね? 叶衣だって他の男に会いにいったわけでもないだろうに」

「……そうだけど……」

 律は腕を組んで、また1つため息をつく。

 バカだな……。どう考えても、璃空の妹がわざと近付いてきたようにしかみえないのに。頭がいいはずなのに、こんなところには知恵が回らないのか。それとも目の前の欲に駆られて性欲を満たすことで頭がいっぱいになったか……。どちらにしても蓮が悪い。救いようはないな。

 律の表情を見れば、蓮にも律が考えていることがわかるようだった。大学時代から10年以上の仲になるのだ。叶衣よりも七海よりもよっぽど律の方がわかりやすく思えた。例え、他人から何考えてるかわかんない。そう言われる性格であっても。
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