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おまけ
04
しおりを挟む--ガラガラガラガラ
早く起きたのに、結局最後まで泣き止まない双子に振り回されながら、律は慌てて事務所のドアを開けた。
--ガラガラガラガラ
「おはようございます」
「おはよー」
事務所に入って挨拶をすれば、上司や先輩が気だるい返事をする。
--ガラガラガラガラ
「遅くなりまして」
「遅刻じゃないから大丈夫よ」
右隣デスクに座る女の先輩の言葉に頷きながら、律はビジネスバッグを自分のデスクに置く。
--ガラガラ
「今日、外に出てくるんで」
「ねぇ、さっきから何が鳴ってるの?」
「え?」
律は目を瞬かせて手元を見る。遅刻しそうだと慌てて家を出た。しかし、変わったところはない。
音がしているだなんて気付かなかった。そう思いながら上着のポケットからスマートフォンを取り出す。けれど、不在着信もない。
「え?」
困惑しながらビジネスバッグを開く。
「……」
手を入れて取り出したそれは、ガラガラと大きな音を立てた。パンダの顔がついたおもちゃと目が合った。
「あ……」
さっきまであやしてたから、無意識にバッグに入れたのか。
ガクッと項垂れて目頭を押さえると、またガラガラと音を立てた。
「ぷぷぷ……」
どこからともなく笑い声が聞こえる。律は照れ隠しにもならないと思いつつ、原始的に顔を両手で覆った。隠しきれない耳は真っ赤に染まっていた。
「律ー! 裁判所におもちゃ持ってくなよー」
明るい声が事務所を包む。経営者兼弁護士の金城学だ。律の父、慶吾の古くからの友人でもある。子供の頃から律を知っている金城も、あの律がとうとう父親かとおかしそうに笑った。
「大変なんですよ、双子」
「はいはい。いってらっしゃい」
冷静沈着、クールな弁護士律も父親の顔をしながら再度書類の確認をした。
クライアントのため、正義のためと躍起になっていた仕事も今では家族のために変わった。
律は、仕事が終わったら千愛希の好物である肉でも買って帰ってやろうと思いながらビジネスバッグのチャックを閉めた。
法律事務所には不釣り合いのパンダがデスクでちょこんと留守番を始めた。
【完】
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千愛希ちゃんが可愛いし、律君の愛情たっぷり、甘々で、キュンキュンしました、ありがとうございます。♥
感想いただきありがとうございます😊
長いお話でしたが、読んでいただけてとても嬉しいです。
先読みしてしまう癖のある2人だからこそ、すれ違ってしまうジレジレをたっぷり詰め込んでみました。
楽しんでいただけたようで、嬉しく思います🍀
ありがとうございました(*^^*)
36話と37話の内容が重複しているように思います。
ご指摘いただきありがとうございます。
修正いたしました!