謀られ妻による綿密な復讐

雪村こはる

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就職活動

22

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 さすがに亜月も我慢の限界だった。離婚の話は、証拠が全て揃ってからにしようと思っていたが、このまま奏士の言いなりになっているのも納得がいかなかった。

 謝罪をしろと言わなきゃしないのも気に入らない。不倫をして、上司に売ろうとした挙句家政婦扱いだなんてバカにしているにも程がある。
 別れればそれでいいと思っていたが、侑李に言われたようにこのまま奏士が離婚したことに喜び、のうのうと仕事を続けるなんて許せないと思った。

 奏士を目の前にしたら、自分だけが苦しんで嫌な気持ちのまま生き続けるなんてとても耐えられそうになかった。

 かと言って侑李の提案通り、ソノダ飲料に戻り3人を相手にするのも辛い。それならpoiseに勤めて、担当としてソノダ飲料に行くくらいの方が気持ち的にも楽だと感じた。
 このままなら、近々扶養から外れるだろうしもう一度侑李と話をしようと思った。

 奏士は、亜月の顔色を窺うようにチラチラと視線を向けながら、鍋をつつき始めた。

 何でこんなに怒ってるんだよ……。本当に不倫したのがバレてるのか? それで離婚なんて言ってるなら慰謝料請求とかされんの? そんな金ねぇし……。
 ほとんど俺の金で生活してんのに、慰謝料払うとかおかしいだろ。

 そう思うものの、何の証拠も提示されていない今でさえこんなに怒っているのに、本気で離婚を言い渡すとなったらどんな剣幕で怒るのかと想像しただけで萎縮しそうだった。

「それで……離婚はしないんだよな?」

 一応聞いておかなきゃと奏士はおずおずと尋ねる。

「……今はね」

 亜月の意味深な返事に、今度こそ奏士は黙りこくった。沈黙が続く中、2人の食事をする音だけが響いていた。

 つい数週間前まで、デートをしようと笑顔で話していたのにそれが一変した。まるで地獄の空間だった。
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