謀られ妻による綿密な復讐

雪村こはる

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 文句を言いながら部屋着に着替えて、眉間に皺を寄せて亜月を見た。
 奏士が言う約束とは、フルタイムで働いても夕食は作るという前回の話のことだ。

 たしかにそれは破ったことになる。しかし、本音を言えばお互いフルタイムで働くなら、食事の準備だって交代でやりたいというものだ。
 それもこれも、奏士が不倫したからこんなことになってるのに、まったくもっていい身分である。

「ごめん。野菜炒めならすぐできる。魚焼いてもいいし」

「すげぇ手抜きだな。こっちは1日働いてきてるのに」

 前回それなら食べなくていいと言われたのを覚えていないのか。離婚を切り出されて顔を引きつらせていたくせに、もうこれだ。

「じゃあ、なんかテイクアウトしてくる? それともデリバリーでも頼む?」

「あー……」

 奏士はうーん、と考えていた。惣菜はバカにするくせに、ジャンクフードなんかは大好物なのだ。
 子供が好きそうな物を好む。

 手軽に作れるものを亜月が作るよりも、ハンバーガーやピザを与えていた方が納得してくれそうだった。

「じゃあ、たまにはピザでも頼もうか」

「うん……先に風呂入ってくる」

「あ、お風呂溜めてないから溜めながら入って」

「はっ!? マジ、何もしてないのかよ」

 ピザで機嫌をとったのに、風呂で地雷を踏んだ。本当に面倒臭い男だ、と亜月はため息をつきながら、ピザの注文をネットでした。

 1人暮らしだった時には、たまの贅沢でピザもよく頼んだが、亜月がパートになってから奏士が「俺の金」とうるさいから食べる機会も減っていた。

 ピザって地味に高いのよね……。ホームページのメニューを見ながら、1番安いのを注文する。
 どうせ後から文句を言われて、払うのは亜月になるのだ。

 奏士の分まで出すのは癪だが、亜月もやけ食いしたい気分だったため、自分へのご褒美として変換させた。
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