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動き出す
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その頃由乃は、外回りをしながらスマートフォンを触っていた。奏士からのメッセージを無視したまま、電話帳内にある何十人もの名前を眺める。
どうにかして、次の手を打たなければならない。奏士はもう使えないのだ。今度は誰にするべきか……そう考えているところに、新たに奏士からメッセージが届いた。
「いい加減しつこいわね……」
イライラしながらホーム画面に戻ろうとするが、冒頭の「今までありがとう」という言葉を見て、由乃は手を止めた。
あんなにも縋ってきた奏士が身を引くような言葉を送ってきたのだ。ほとぼりが冷めるまで開くつもりはなかったが、ついトークを開いた。
『既婚者の俺のことを好きだって言ってくれたのに、結局離婚もできなくてごめん。たくさん傷付けてごめん』
『今までありがとう。由乃のこと大好きだったよ』
そう綴られていた。由乃は少し目を開き、瞳を揺らした。奏士が本気で自分から離れていく気なのか、と驚いた。
結局、離婚に怖じ気付いて由乃との別れを認めたのか、由乃の気を引くためなのかはわからなかった。
「……奏士くん、ありがとう」
けれど由乃は小さくそう呟いた。
あなたに利用価値がないと思ったこと、謝るわ。このタイミングで私から引いてくれたことが、何よりも嬉しい。
あなたにはまだまだ、利用価値はある。もう少し、頑張ってね。
由乃は、にたぁ……と怪し気に口角を上げた。
それから会社に戻ると、由乃は同部署の菅原花を探した。彼女は由乃の同期だ。
ショートボブで前髪をくるんとカールさせ、パッチリとした大きな目と、大きく口を開けて笑う溌剌な印象だ。
由乃とは全くタイプが違い、特別可愛いというわけではないが、元気で人見知りのない性格から、誰にでも好かれる女性だった。
由乃は同期でありながら、彼女とは必要最低限しか話したことはなかったが、入社して数ヶ月後に、「同じ部署にいる西川さんって人がめっちゃタイプでぇ」と他の同期に喋っているのを聞いたことがあった。
どうにかして、次の手を打たなければならない。奏士はもう使えないのだ。今度は誰にするべきか……そう考えているところに、新たに奏士からメッセージが届いた。
「いい加減しつこいわね……」
イライラしながらホーム画面に戻ろうとするが、冒頭の「今までありがとう」という言葉を見て、由乃は手を止めた。
あんなにも縋ってきた奏士が身を引くような言葉を送ってきたのだ。ほとぼりが冷めるまで開くつもりはなかったが、ついトークを開いた。
『既婚者の俺のことを好きだって言ってくれたのに、結局離婚もできなくてごめん。たくさん傷付けてごめん』
『今までありがとう。由乃のこと大好きだったよ』
そう綴られていた。由乃は少し目を開き、瞳を揺らした。奏士が本気で自分から離れていく気なのか、と驚いた。
結局、離婚に怖じ気付いて由乃との別れを認めたのか、由乃の気を引くためなのかはわからなかった。
「……奏士くん、ありがとう」
けれど由乃は小さくそう呟いた。
あなたに利用価値がないと思ったこと、謝るわ。このタイミングで私から引いてくれたことが、何よりも嬉しい。
あなたにはまだまだ、利用価値はある。もう少し、頑張ってね。
由乃は、にたぁ……と怪し気に口角を上げた。
それから会社に戻ると、由乃は同部署の菅原花を探した。彼女は由乃の同期だ。
ショートボブで前髪をくるんとカールさせ、パッチリとした大きな目と、大きく口を開けて笑う溌剌な印象だ。
由乃とは全くタイプが違い、特別可愛いというわけではないが、元気で人見知りのない性格から、誰にでも好かれる女性だった。
由乃は同期でありながら、彼女とは必要最低限しか話したことはなかったが、入社して数ヶ月後に、「同じ部署にいる西川さんって人がめっちゃタイプでぇ」と他の同期に喋っているのを聞いたことがあった。
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