謀られ妻による綿密な復讐

雪村こはる

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動き出す

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 その様子を見ていた由乃は、頬杖をついて自分のデスクを左手の人差し指でコツコツと叩いていた。
 花は思うように使えなかった。それに、奏士もいつまでも考え事をしている。

 まだ私に振られたことを引きずってるのね。案外女々しい男ね。

 由乃はそう思いながら、鼻で笑う。あれから仕事中に奏士から話しかけられることはなくなった。
 仕事を花に押し付けても文句を言われることもなかった。もっとしつこく付き纏われるものだと思っていたため、そこは拍子抜けだった。

 けれど、このままだと花を使って亜月に攻撃することもできない。遥も奏士も花も全員使えない。
 由乃は、何か手がないかと思考を巡らせる。

 もしも慰謝料も請求されず、離婚もせず、何事もなかったかのように亜月が生活していたらそれはそれで面白くない。
 一旦、奏士に亜月が慰謝料を払う気があるのかどうかだけ確かめてみようかと腰を上げた。

「西川さん、ちょっとお話いいですか? 今度poiseとのミーティングに同行することになりまして、お話聞きたいんですけど」

 仕事の話をしただけなのに、奏士は顔色を変えた。由乃と一瞬目を合わせたが、すぐに逸らし「あー……うん。別にいいけど」と素っ気なく言った。

 由乃は怪訝な顔をしたが、奏士はpoiseの社名に反応しないわけがなかった。そこの副社長と自分の妻が不倫しているのだ。
 正直、由乃と話していても侑李の顔が気になって仕方なかった。

「それで、その時に副社長も来られるそうで……」

「え!?」

 何気なく発した由乃の言葉に、奏士が勢いよく顔を上げた。

「副社長がくんの?」

「え、ええ……。今回のプロジェクトは大きいので、広告も派手にしたいからと予算も跳ね上ってますし。内容の確認に来られるそうです」

「それ……俺が代わりに行ってもいい?」

「はい?」

 奏士の申し出に、由乃は目を丸くさせた。
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