謀られ妻による綿密な復讐

雪村こはる

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謀られた食事会

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「ほほほ……。西川さんには日頃からお世話になっていますし、仕事の相談もよくさせていただいているんですよ。小泉さんのことも知っているので、変な心配をされることもないかと思いまして」

 由乃は苦し紛れにそう言ったが、侑李が「変な心配? まさか、さすがに不倫なんか疑いませんよね?」と亜月に尋ねたことで、奏士と由乃は卒倒しそうになる。

「副社長、飲みすぎでは? さすがにご夫婦に失礼ですよ」

 常識人役の蒔田が間に入る。そこに亜月が「気にしてませんよ。私も元々夫の後輩でしたけど、当時から仕事の悩みなんかを聞いてもらっていたものです。ねぇ?」と蒔田へ微笑んだあと、視線を奏士に向けた。

 このタイミングで絶対に自分に話を振ってほしくないと思っていたのに、豪速球がやってきて奏士は指先を震わせた。

「そ、そうだったな。最近もその話をしたばかりだったよなぁ」

 わざとらしく語尾が上がってしまう。亜月と侑李はクスリと笑った。

「家の中で、そんな思い出話をされたんですか?」

「ええ。先日、副社長にご馳走していただいたじゃないですか。その時に」

 侑李の言葉に、亜月がそっと微笑む。

「ああ。あの時は、かなり酔わせてしまいました。私の配慮が足らず申し訳なかったです」

「い、いえ! 妻も普段あまり飲まないので酔いやすかったのかもしれませんね。自宅まで送っていただいたようでありがとうございました」

 笑顔でやり取りする侑李と奏士だが、目には見えない黒いものが渦巻いているのが、由乃には感じ取れた。

「普段から食事にも行かれるんですね?」

 由乃は、ベロベロになるまで酔わせたらしいと聞き、絶好のチャンスだと思った。こちらのことに首を突っ込んできたのだから、根掘り葉掘り聞いてやると意気込む。

「いえ、その日は会食があってフレンチを予約してあったんですが、先方が急遽来れなくなりましてね。中々予約が取れない店で、キャンセルするのも店に申し訳ないので2人でディナーをしたんです」

 侑李の理由は最もらしかった。実際、宮島会長との会食はキャンセルになったし、あの料亭は会長と妻へのプレゼントとなった。
 反対の立場だったら、店だけ予約した状態となったわけだ。
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