謀られ妻による綿密な復讐

雪村こはる

文字の大きさ
299 / 322
制裁

19

しおりを挟む
 その頃、由乃は自宅に閉じこもって膝を抱えていた。ゴミ袋の中は膨れ上がり、まとめたゴミ袋もいくつか部屋の中に転がっている。
 ゴミを出そうにも、誰かに見られていそうで外に出られなかった。

 他人からの視線が怖くて、昼間は特に家の中にいた。食事も宅配を頼んでやり過ごし、必要なものは全てネットで注文した。

 まだ貯金はあるが、働かずにこのままいればいつかは尽きる。

 高学歴で大手企業勤務だったこの私がこんな目に遭うなんてっ……! あの女ばっかり返り咲くなんておかしいわよ……。

 由乃は、握っていた割り箸にグッと力を入れた。バキッと小気味い音が響く。由乃は、まだ亜月のことが許せずにいた。
 亜月を不幸のどん底に突き落とすことが目的だったのだ。それなのに、離婚してもケロッとしている亜月を見たら、悔しさで気が狂いそうだった。

 奏士も遥も捕まり、亜月を陥れようとした者達が全員倒された。自分がその内の1人だなんて思いたくはなかった。

 私は優秀なのよ……。これからいくらでも大企業に需要がある。

 そう思うものの、由乃は自分の顔と名前が晒されたことをすぐに思い出す。

「いやぁぁ!!」

 男たちのいやらしい視線を思い出すと気味が悪くてしょうがない。

 何で! 何で! こんなことさえなければっ……! あ……。

 そこまで考えて、由乃はピタリと動きを止めた。

「そうだわ……」

 顔と名前が晒されたなら、変えればいいんじゃない。顔は整形すればいいし、苗字は結婚すれば変わるもの……。
 そうよ! どうしてすぐに思いつかなかったのかしら!

 由乃はぱあっと顔を輝かせた。希望の光が見えて、由乃はすぐにでも結婚相手を探そうとマッチングアプリを登録した。

 適当な男と結婚して、戸籍だけ変えればいいのよ。どうせSNSやってるのなんてごく一部なんだから。

 由乃は、久々の高揚感に全身の力が漲ってくるようだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

ウインタータイム ~恋い焦がれて、その後~

さとう涼
恋愛
カレに愛されている間だけ、 自分が特別な存在だと錯覚できる…… ◇◇◇ 『恋い焦がれて』の4年後のお話(短編)です。 主人公は大学生→社会人となりました! ※先に『恋い焦がれて』をお読みください。 ※1話目から『恋い焦がれて』のネタバレになっておりますのでご注意ください! ※女性視点・男性視点の交互に話が進みます

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写と他もすべて架空です。

妹は双子、カノジョである。~双子がダブるってマ!?~

沢鴨ゆうま
恋愛
 兄・彼氏・同級生……オレってどれ!?    知らない人はいない程に綺麗な双子の妹と、男女問わず惹かれる美人な弟。  そいつらの兄がこのオレ、藍原サダメ。  そんな中、兄であるオレは海外での仕事で不在な両親の代わりをすることに。  弟妹はめっちゃモテる!  日中、高校生であるオレが中学生である弟妹を守ることは不可能。  心配し過ぎて神経をすり減らし、授業を受けるのもやっとということもよくある。  でも、帰宅すれば三人から愛の剛速球を受け取れる、と思いたいのだけど。  家では疲労が癒されるや否や、三人から愛の応酬、愛・愛・愛――――  オレとしては癒される程度の愛が欲しいんだ。  それなのにアイツらったら……。    シスコン&ブラコンな藍原家を中心に描かれるイチャラブコメディ。  (小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿中) ※この作品は全てフィクションです。それを前提にお読みくださいませ。  © 2019 沢鴨ゆうま All Rights Reserved.  転載、複製、自作発言、webへのアップロードを一切禁止します タグ: 日常 高校生 血縁 姉妹 兄弟 ほのぼの キス ホームコメディ 学園 同級生 ヤンデレ メンヘラ     シスコン ブラコン 中学生 学校 溺愛

幼馴染の許嫁

山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。 彼は、私の許嫁だ。 ___あの日までは その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった 連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった 連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった 女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース 誰が見ても、愛らしいと思う子だった。 それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡 どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服 どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう 「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」 可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる 「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」 例のってことは、前から私のことを話していたのか。 それだけでも、ショックだった。 その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした 「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」 頭を殴られた感覚だった。 いや、それ以上だったかもしれない。 「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」 受け入れたくない。 けど、これが連の本心なんだ。 受け入れるしかない 一つだけ、わかったことがある 私は、連に 「許嫁、やめますっ」 選ばれなかったんだ… 八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。

天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎ ギルドで働くおっとり回復役リィナは、 自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。 ……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!? 「転ばないで」 「可愛いって言うのは僕の役目」 「固定回復役だから。僕の」 優しいのに過保護。 仲間のはずなのに距離が近い。 しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。 鈍感で頑張り屋なリィナと、 策を捨てるほど恋に負けていくカイの、 コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕! 「遅いままでいい――置いていかないから。」

Lucia(ルシア)変容者たち

おまつり
恋愛
 人は、ときに自分の中に「もう一人の自分」を抱えて生きている。  それがもし、感情の揺らぎや、誰かとの触れ合いによって、男女の姿を入れ替える存在だったとしたら――。  カフェ『リベラ』を営むリアと、雑誌編集者の蓮。  二人は、特定の感情を抱くと性別が変わる「性別変容者」だった。  誰にも明かせない秘密を抱えながら生きてきた彼らは、互いの存在に出会い、初めて“同類”として心を通わせていく。  愛が深まるほど、境界は曖昧になる。  身体と心の輪郭は揺らぎ、「自分とは何者なのか」という問いが、静かに迫ってくる。  一方、過去に囚われ、自分自身を強く否定し続けてきたウェディングプランナー・景子と、まっすぐすぎるほど不器用な看護学生・ユウ。  彼らもまた、変容者として「変わること」と「失うこと」の狭間で、避けられない選択を迫られていく。  これは、誰の記憶にも残らないかもしれない“もう一人の自分”と共に生きながら、 それでも確かに残る愛を探し続けた人々の、静かなヒューマンドラマ。 ※毎日20時に1章ずつ更新していく予定です。

処理中です...