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赤髪の少女【15】
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「城を出ていけとは言っていない……」
歩澄のその言葉に澪はぱあっと表情を明るくさせた。そんなに嬉しいのかと歩澄の調子も狂う。
幼い頃の思い出をずっと引きずっていたのは澪も同じだった。そして、あの頃の歩澄を想って今の歩澄を拒絶した。その事実は、過去の己に嫉妬する程であった。
蒼と歩澄が同一人物だと知り、自ら想いを伝えにきた澪。歩澄は、その姿が愛しくてたまらなかった。
今度こそ、そう思い澪の唇を奪った。歩澄の着物の胸元をぎゅっと握る仕草に、また泣きはしないかと澪の顔を覗き込んだ。しかし、そこには真っ赤な顔をし、下唇を噛んで恥に堪え忍ぶ姿があった。
(なんて顔をする……誘っているのか?)
歩澄は、己の腕の中で顔を紅潮させる澪を見て、今すぐにでも自分のものにしてしまいと思った。先日、この先に進んだ時にはあんなにも怯えた表情をしていたというのに、歩澄が蒼であるとわかった途端のこの変わり様。どれ程蒼に恋焦がれていたのか見せつけられているようで、面白くなかった。
一方澪も、先日の事を思い出していた。念願叶い、夢にまでみた蒼との再会を果たした。しかし、先日の歩澄を思い出す。触れられるのは嫌ではない。むしろ、蒼になら全てを捧げてもいい。そんなふうに思うものの、ふと過る、傷のこと。
「どんなに着飾ったところでそんな傷だらけのっ……」歩澄が思わず口走った言葉。歩澄もどこかでこの傷を気味悪がっているに違いない。そう考えると、全てをさらけ出しこの傷に触れられるのは不安しかなかった。
「……今日は帰ります」
歩澄の腕を退けてそそくさと畳を這っていく澪。
「……明日も来てもいいですか?」
不意に澪が振り向き、歩澄に尋ねた。
その顔はまだ熱を帯びており、歩澄は澪の顔を直視できぬまま一度頷いた。
翌日澪は重たい瞼を無理にこじ開けて、自室を出た。歩澄が蒼だったと知った。初恋の相手と、新たに慕情を抱いた相手が同一人物であった。
何度とて歩澄が相手なら恋に落ちるのだろう。そう考えていたら、とても眠れなかったのだ。
泣き晴らした上に一睡もしていない顔は、どんよりとしていた。
そこへ梓月が通りかかった。
「おはよう。……って、酷い顔だよ?」
女性相手に失礼極まりないが、梓月の場合単純に素直なだけである。そんな梓月は睡眠もそこそこに忙しなく働いているわりに、本日も一際美しい笑顔で立っている。
「おはよう……。昨日は眠れなくて……」
寝不足によりぼーっとしている澪に、梓月は「ちゃんと歩澄様に伝えられたの?」と尋ねた。
歩澄の名前を聞き、昨日の情景を思い出させる。一度は拒絶されたが、最後には甘い雰囲気さえ感じた。優しく啄むような接吻をされ、あの時の蒼だったと実感もできた。
まだはっきりと記憶が戻ったわけではない。歩澄が蒼だと知ったら、幼い頃の歩澄の顔も思い出せてもよさそうだが、未だに朧気のまま。それでも、ようやく会えた初恋の相手。そして、想いを伝えた後の接吻。
思い出せば、覗き込むようにして澪の視線を捕らえた青碧の瞳。全ての出来事が痺れる程甘く、顔が紅潮した。
歩澄のその言葉に澪はぱあっと表情を明るくさせた。そんなに嬉しいのかと歩澄の調子も狂う。
幼い頃の思い出をずっと引きずっていたのは澪も同じだった。そして、あの頃の歩澄を想って今の歩澄を拒絶した。その事実は、過去の己に嫉妬する程であった。
蒼と歩澄が同一人物だと知り、自ら想いを伝えにきた澪。歩澄は、その姿が愛しくてたまらなかった。
今度こそ、そう思い澪の唇を奪った。歩澄の着物の胸元をぎゅっと握る仕草に、また泣きはしないかと澪の顔を覗き込んだ。しかし、そこには真っ赤な顔をし、下唇を噛んで恥に堪え忍ぶ姿があった。
(なんて顔をする……誘っているのか?)
歩澄は、己の腕の中で顔を紅潮させる澪を見て、今すぐにでも自分のものにしてしまいと思った。先日、この先に進んだ時にはあんなにも怯えた表情をしていたというのに、歩澄が蒼であるとわかった途端のこの変わり様。どれ程蒼に恋焦がれていたのか見せつけられているようで、面白くなかった。
一方澪も、先日の事を思い出していた。念願叶い、夢にまでみた蒼との再会を果たした。しかし、先日の歩澄を思い出す。触れられるのは嫌ではない。むしろ、蒼になら全てを捧げてもいい。そんなふうに思うものの、ふと過る、傷のこと。
「どんなに着飾ったところでそんな傷だらけのっ……」歩澄が思わず口走った言葉。歩澄もどこかでこの傷を気味悪がっているに違いない。そう考えると、全てをさらけ出しこの傷に触れられるのは不安しかなかった。
「……今日は帰ります」
歩澄の腕を退けてそそくさと畳を這っていく澪。
「……明日も来てもいいですか?」
不意に澪が振り向き、歩澄に尋ねた。
その顔はまだ熱を帯びており、歩澄は澪の顔を直視できぬまま一度頷いた。
翌日澪は重たい瞼を無理にこじ開けて、自室を出た。歩澄が蒼だったと知った。初恋の相手と、新たに慕情を抱いた相手が同一人物であった。
何度とて歩澄が相手なら恋に落ちるのだろう。そう考えていたら、とても眠れなかったのだ。
泣き晴らした上に一睡もしていない顔は、どんよりとしていた。
そこへ梓月が通りかかった。
「おはよう。……って、酷い顔だよ?」
女性相手に失礼極まりないが、梓月の場合単純に素直なだけである。そんな梓月は睡眠もそこそこに忙しなく働いているわりに、本日も一際美しい笑顔で立っている。
「おはよう……。昨日は眠れなくて……」
寝不足によりぼーっとしている澪に、梓月は「ちゃんと歩澄様に伝えられたの?」と尋ねた。
歩澄の名前を聞き、昨日の情景を思い出させる。一度は拒絶されたが、最後には甘い雰囲気さえ感じた。優しく啄むような接吻をされ、あの時の蒼だったと実感もできた。
まだはっきりと記憶が戻ったわけではない。歩澄が蒼だと知ったら、幼い頃の歩澄の顔も思い出せてもよさそうだが、未だに朧気のまま。それでも、ようやく会えた初恋の相手。そして、想いを伝えた後の接吻。
思い出せば、覗き込むようにして澪の視線を捕らえた青碧の瞳。全ての出来事が痺れる程甘く、顔が紅潮した。
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