したい夜はきみとじゃない

雪村こはる

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今夜は同窓会

02

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 真白は亜純の後姿を見つけた。7ヶ月ぶりに会ったって、真白にはそれが亜純だとすぐにわかった。
 隣にはべったりと依の姿を見つけて真白は目を細くさせた。2人をくっつけたのは自分だが、公共の場でも亜純にひっついている依を見るのはあまり気持ちのいいものではなかった。

 ただ、唯一依の存在を許せるのは浮気をしない点だけだ。他の女に目を向ける男も、体だけを求める男も吐き気がするほど醜いものだ。
 亜純を手に入れるために真白を抱いた男だが、依はそのたった1回以降真白を求めることはなかった。それどころか亜純を手に入れたらさっさと真白を邪魔者扱いした。

 利用し合った仲だといえるが、真白はそれでようやく依の亜純に対する本気の好意を感じた気がした。

「亜純」

 真白が亜純に話しかければ、亜純は瞼を上げその刹那ニッコリと笑った。見慣れた笑顔を見て真白はふっと微笑んだ。

「ドレス可愛い」

「ありがとう。亜純も……黒にしたんだ」

 亜純はゆったりとしたパンツドレスを綺麗に着こなしていた。焼けた肌にもよく似合っていた。普段は活発な雰囲気の亜純だが、髪をセットし珍しくメイクをしているからか気品を感じた。

「うん。もっと早くわかってれば真白に選んでもらいたかったのに」

 苦笑する亜純を見て、真白の胸はツキンと痛んだ。同窓会のこと、先に亜純に言えばよかったかな……なんて思いながらもまだ通院している自分の体を思い軽く息をつく。

「ごめんね。私、事故してちょっと入院してたの」

「事故!?」

 依から聞いていた亜純は、約束通り初めて聞いたかのように驚いてみせた。

「うん。保険屋さんに連絡取りたくて依には言ったんだけど……亜純には心配かけたくなくて」

「そっか……。でも、私もお見舞いくらい行きたかったよ」

「まあ、怪我しただけだから。同窓会には間に合うだろうと思ってたし。それも含めて今日話したいなって」

「うん……」

 真白は複雑そうにしている亜純の顔を見て首を傾げた。

「どうかした?」

「……ううん」

 亜純はチラリと依の横顔を見て目を伏せた。依との間に何かあったのだろうと察した真白は、依が男性陣と話している隙をついて亜純の手を握ってその場をそっと離れた。
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