したい夜はきみとじゃない

雪村こはる

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今夜は同窓会

11

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 メイクには少しだけ興味があった。可愛い服にも。自分の体は汚れているから、メイクして着飾ったら少しくらい綺麗になれる気がした。

 そんな時、通学途中の電車の中で痴漢にあった。スカートの中に手を入れられ、まさぐられた。慣れた行為に嫌悪感はあるものの、恐怖はなかった。

 次の駅で何事もなく電車を降りようとした男の手首を掴み、爪で引っ掻いた。無抵抗だった真白の最後の行為に驚愕した男は、何か言いたげだっが言葉にする事ができず、震える手で財布を取り出すと中にあった札数枚を真白の手に握らせて逃げていった。
 真白は冷めた目でそれを見届けた後、手元に残った3万2千円をグシャリと握りしめた。

 この時初めて女の体は金になるのだと知った。

 真白はその金を持って近くのドラッグストアに行くと、手当り次第コスメを買い漁った。配信動画を漁ればメイクの仕方は山ほど出てくる。
 母が眠りに就くまで父はやってこない。その間に真白はメイクの練習をした。父よりも遅く家を出て、早く帰宅する真白は学校にメイクをしていくことも可能だった。

「子供のくせに色気づいて気持ち悪い」

 母は真白にボソッとそう言い放った。この頃になると、真白は亜純からの強さに憧れて、少しずつ意思表示が出来るようになった。

「自分の娘が旦那に犯されてるのを黙認してる方がよっぽど気持ち悪いだろ」

 そう言い返して横を通り過ぎた。それが逆鱗に触れたのか、母は真白の服を掴んで引っ張り手を振り上げた。
 初めて殴られた小学5年生のあの頃と同じだった。

 けれど真白はもうそんなに幼くはない。大好きで信頼していた母はもういない。目の前にいるのは色事に侵食され、常識を失った化け物だ。

 その瞬間、真白の頭にいくつもの過去がフラッシュバックされた。母に裏切られたことも、父に犯されたことも、流産するまで蹴られ続けたことも。

 どうして私だったの? あの男を連れてきたのはアンタだったのに。どうして私よりも快適な暮らしをしているくせに1番の被害者みたいな顔をしているの?

 いくつもの疑問が暴風のように頭の中を駆け巡り、真白は考えるよりも先に母の髪を引っ掴んで、その顔に拳をぶつけた。
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