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今夜は同窓会

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 真白の中では、依なら亜純を幸せにできる男として存在していた。それは一途に亜純を想い続けることができていたからだ。
 しかし、本当の亜純の願いを叶えられないのであればどんなに亜純のことを好きでいたって幸せにはできない。

 真白も亜純の未来なら見てみたかった。幸せそうな家庭というものを。高校時代にみた亜純の家族のように、些細なことで笑いあったり時に喧嘩したり、当たり前のように自分の感情を表に出せる存在を。
 亜純の子供も見てみたいし、子供をあやしながら幸せだって笑う亜純の顔も見たかった。

 でも今のままでは、亜純の願いどころか真白の願いも叶わない。せめて自分の代わりに幸せな家庭というものを手に入れて欲しいと思うのだ。

 依ではそれが叶えられないのであれば、他の男に期待するのも悪くない。そんなふうに考えた。
 真白は依に嫉妬させる為に「千景はずっと亜純のことを好きだった」なんてことを言ったが、あながち嘘ではないような気もしていた。

 高校時代、亜純と千景は仲良さそうにしていたし、付き合ってるんじゃないかなんて噂も立った。
 亜純に聞いてみれば全力で否定したが、千景は困った様子もなかった。今でも亜純宛に絵本を送り連絡を取り合っている。あの時、亜純に千景を薦めていたら今頃どうなっていただろうか、だなんて考えてみた。

 千景の気持ちはわからないが、少なくとも彼は子供が好きだし依のように逃げたりはしなかっただろう。だからといって千景が依の妻だから未だに優しくしているだけだとしたら、そんなことを考えても全く役に立たないのだが。

 それでも依ではない別の誰かを探すのも1つの手ではないかと真白は真剣に考え始めていた。
 しかし亜純は顔の前で勢いよく両手を振った。

「私、依に不満はないのよ? 別に仲はいいし、家事だって一緒にやってくれるし優しいし」

 亜純の中では依と別れる選択肢はないのだと思われた。
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