したい夜はきみとじゃない

雪村こはる

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夫婦のかたち

06

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『亜純から直接聞いたよ。依との関係のこと』

 千景がそう返信すると、その瞬間に既読マークがついてすぐに着信画面に切り替わった。

「こわ……」

 千景は思わずそう呟いた。まるで千景からの返信を画面を閉じずにじっと眺めて待ち構えていたかのように思えた。
 千景は躊躇いながらも電話にでる。

「はい……」

「亜純から聞いたって、亜純の方から相談してきたの?」

「まあ……そうだね。話の流れで。さすがに俺から真白に聞いたなんて言えないし」

「当然でしょ。亜純に嫌われたら一生恨むから」

 急に低い声で唸るものだから、千景はうわ……と顔を歪めた。勝手に喋ってきたのはそっちじゃないか。俺は最初から関わりたくないと思ってたのに。などとは言えない。

「とにかく真白が亜純から聞いたのと同じようなことを俺も聞いたんだよ」

「そう。それで、じゃあどうする?」

「どうするって……?」

「1年も亜純に辛い思いをさせた男よ。私は依が許せないわ」

「気持ちはわかるけど、俺たちが勝手に別れされることなんてできないし。第一、依は亜純とは離れたがらないよ」

「でも側にいたって幸せにできないじゃない」

「俺に言われても……」

 千景は頬を引きつらせた。先程まで依に対し真白と同じように憤慨していたが、法律で夫婦となってしまっている以上、外野は何もできない。

「だいたい千景も悪いのよ。依を放っておくから」

「え!? 俺が悪いの? だって、夫婦の間に俺が入ってったらおかしいでしょ? 円満だったとしたら尚更」

「あんな性格の男、千景くらいしか制御できないんだから。亜純が傷付く前になんとかできなかったの?」

「無茶言わないでよ。今日2人に会うまでは、良好な関係だと思ってたし、なんならそろそろ子供もできる頃かなとか、出産祝いなににしようとかまで考えてたんだよ? 事前に予測して防止するなんて無理に決まってる」

 めちゃくちゃな真白の言葉に、何で俺だけ責められなきゃいけないんだと千景は大きなため息をついた。
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