153 / 243
それぞれの生活
08
しおりを挟む
アルコールが回ってくると、会話も不思議なほどに弾んだ。聞き上手な悠生が色んな質問をし、時には自分の仕事や家族の話もしてくれた。
亜純はすっかり緊張も解けて、心の底から楽しむことができた。悠生は亜純に離婚経験があると知っても「人より1つ経験したことが多いだけですから、俺は気になりませんよ。むしろ、色んな事を経験している人の方が魅力的です」と言ってのけた。
婚活パーティーの会場では散々失礼な男たちに話しかけられ、嫌な思いをしたものだから悠生の気遣いも言葉の選び方もとても紳士的に思えた。
食事が終わると既に払ってあるからと言ってそのまま外へと誘導された。腹は満たされ、心も自然と満たされていた。人としての好感度は抜群だった。
もしこの人と付き合うことになったら、ずっとこんなふうに気にかけてもらえるのだろうかと期待すらする。
しかしすぐに頭を左右に振って、向こうが次も会いたいと思ってくれなければこの関係も今日で終わりだし、実際そういうことがいくつもあるのが現実なんだからと過度な期待をしないようにした。
亜純が翌日仕事だと知っている悠生は、タクシーを呼んで一緒に乗り込んだ。ゆっくり話し込んで食事の時間はトータル1時間半ほど。
もう1件どこかへ行くつもりかなと思う亜純をよそに「送っていきますね」と悠生が声をかけた。
「え? あ、はい。……ありがとうございます」
集合してまだ2時間も経っていない。まだ一緒にいるものだと思っていた自分が恥ずかしくて亜純は肩をすぼめた。
「明日仕事なら早めに帰って寝た方がいいです。けっこうお酒勧めちゃったんで残ると困りますし」
悠生はそう言って亜純を気遣うように笑った。優しさとも取れるが、もし早めに解散したいと思っていたらどうしよう……亜純がそう考えたところで「初めてだから緊張して疲れたでしょうし、次会う時はもう少しゆっくり飲みましょう」と続けたものだから、次の機会があることに胸を撫で下ろした。
亜純はすっかり緊張も解けて、心の底から楽しむことができた。悠生は亜純に離婚経験があると知っても「人より1つ経験したことが多いだけですから、俺は気になりませんよ。むしろ、色んな事を経験している人の方が魅力的です」と言ってのけた。
婚活パーティーの会場では散々失礼な男たちに話しかけられ、嫌な思いをしたものだから悠生の気遣いも言葉の選び方もとても紳士的に思えた。
食事が終わると既に払ってあるからと言ってそのまま外へと誘導された。腹は満たされ、心も自然と満たされていた。人としての好感度は抜群だった。
もしこの人と付き合うことになったら、ずっとこんなふうに気にかけてもらえるのだろうかと期待すらする。
しかしすぐに頭を左右に振って、向こうが次も会いたいと思ってくれなければこの関係も今日で終わりだし、実際そういうことがいくつもあるのが現実なんだからと過度な期待をしないようにした。
亜純が翌日仕事だと知っている悠生は、タクシーを呼んで一緒に乗り込んだ。ゆっくり話し込んで食事の時間はトータル1時間半ほど。
もう1件どこかへ行くつもりかなと思う亜純をよそに「送っていきますね」と悠生が声をかけた。
「え? あ、はい。……ありがとうございます」
集合してまだ2時間も経っていない。まだ一緒にいるものだと思っていた自分が恥ずかしくて亜純は肩をすぼめた。
「明日仕事なら早めに帰って寝た方がいいです。けっこうお酒勧めちゃったんで残ると困りますし」
悠生はそう言って亜純を気遣うように笑った。優しさとも取れるが、もし早めに解散したいと思っていたらどうしよう……亜純がそう考えたところで「初めてだから緊張して疲れたでしょうし、次会う時はもう少しゆっくり飲みましょう」と続けたものだから、次の機会があることに胸を撫で下ろした。
0
あなたにおすすめの小説
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる