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それぞれの生活

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 悠生と一緒にいるのは楽しい。もちろん食事だけだって満足だし、ドライブをしたらもっと楽しかった。
 明日お互いに仕事が休みだったら、もしくは遅い出勤だったらもう少し長くいられたかな。と惜しくもなった。

 悠生はあまり拘束時間が長くならないようにしてくれる。

「亜純ちゃん、明日仕事でしょ? 俺に合わせてくれてありがとうね」

 そんなふうに言われていつもしっかりと送り届けてくれるのだ。亜純は2回目のデート以降も10日に一度くらいのペースで悠生と会った。
 3回目に会った時にはやはりハグをして解散して、4回目でようやく亜純が期待していたキスをくれた。

 それも悠生の車の中だった。車から降りようとした亜純の手を握り、振り向いた瞬間悠生の顔がすぐ側にあった。
 その時の彼は「キスしてもいい?」とは聞かなかった。

 息を飲む間もなく唇が重なり、離した後に「嫌だった?」と尋ねた。亜純が顔を紅潮させながら首を振ると、それから二度キスをされた。
 キスの感覚なんて実に久しぶりで、悠生の唇の柔らかさがいつまでも自分の唇に残っているようだった。
 離れるのが名残惜しくて自ら求めてしまいそうになる。けれどそんなのははしたないと亜純は顔を伏せて誤魔化した。

 家に帰ってからはクッションを抱えて顔を押し当てた。声を上げてしまいそうなほどテンションが上がって夜も眠れなかった。
 早くこの喜びを誰かに言いたくてたまらない。かといって美希に言うのはなんだか自慢みたいで自分からは言い出せない。

 こんな時、話を聞いてくれるのは千景しかいない。そう思って夜も遅いのに電話をかけた。

「どうしたの? 何かあった?」

 心配そうな千景の声に笑いながら、亜純は上機嫌でキスされた話をした。完全に舞い上がっていた。依とのセックスレスについても話したことのある千景には、何でも包み隠さず話せるようになっていた。
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