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それぞれの生活
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亜純と電話を切った千景は、大きくはぁ……と息をついた。亜純はもっと慎重だと思っていた。
信用していた依と真白に裏切られたと泣いていたくらいだ。高校時代からの友人のことさえ信用出来なくなったというのに出会って数回の男にキスをされて喜ぶなんて……。
千景は明るい亜純の声が信じられなかった。ちゃんと亜純が好きになって、付き合うのならそれでいい。
亜純が幸せになるのなら、旧友として一緒に喜んであげたい気持ちはあった。それは真白と同じだ。やり方はどうであれ、真白は本気で亜純の幸せを願っていた。
姿を消したのも、亜純が幸せになれなかったのは自分のせいだと自己嫌悪したからだと千景は思っている。
依だって本気で亜純のことが好きだっただけで、亜純を苦しめるつもりはなかったはず。子供がいらないことを隠していたことは許されることではないが、確実に愛情はあったように思えた。
けれど、出会って数回目の男は果たして亜純のことが好きなのだろうか。相手も亜純のことが好きで手を出したのなら何も言うつもりはない。しかし、そうでないのだとしたら今までの色んな背景を知っている千景は一言やめておけと言ってやりたかった。
けれど、あんなにも嬉しそうな亜純に否定的な言葉は投げかけられなかった。相手が本当に伝え忘れただけなら失礼だし、今度は自分で選んだ人と恋愛したいと言った亜純にだって失礼だ。
それに、周りがどんなにとやかく言っても本人の中に答えがあったらどうにもならないことを千景は知っている。
どうするかは亜純が決めるしかないのだ。ただ話を聞くことしかできないことがもどかしくもあったが、千景はとにかく次の報告を待つことにした。
信用していた依と真白に裏切られたと泣いていたくらいだ。高校時代からの友人のことさえ信用出来なくなったというのに出会って数回の男にキスをされて喜ぶなんて……。
千景は明るい亜純の声が信じられなかった。ちゃんと亜純が好きになって、付き合うのならそれでいい。
亜純が幸せになるのなら、旧友として一緒に喜んであげたい気持ちはあった。それは真白と同じだ。やり方はどうであれ、真白は本気で亜純の幸せを願っていた。
姿を消したのも、亜純が幸せになれなかったのは自分のせいだと自己嫌悪したからだと千景は思っている。
依だって本気で亜純のことが好きだっただけで、亜純を苦しめるつもりはなかったはず。子供がいらないことを隠していたことは許されることではないが、確実に愛情はあったように思えた。
けれど、出会って数回目の男は果たして亜純のことが好きなのだろうか。相手も亜純のことが好きで手を出したのなら何も言うつもりはない。しかし、そうでないのだとしたら今までの色んな背景を知っている千景は一言やめておけと言ってやりたかった。
けれど、あんなにも嬉しそうな亜純に否定的な言葉は投げかけられなかった。相手が本当に伝え忘れただけなら失礼だし、今度は自分で選んだ人と恋愛したいと言った亜純にだって失礼だ。
それに、周りがどんなにとやかく言っても本人の中に答えがあったらどうにもならないことを千景は知っている。
どうするかは亜純が決めるしかないのだ。ただ話を聞くことしかできないことがもどかしくもあったが、千景はとにかく次の報告を待つことにした。
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