したい夜はきみとじゃない

雪村こはる

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新しい風

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 依が何を言おうかと考えている内に、「そういうことだから。今後は亜純に会いたいからって俺を利用しようとしても無駄だよ。依も新しい人を見つけなよ」そう言って電話を切られた。

 依は、千景には自分の目論見が筒抜けだったのだと絶句した。千景を利用して亜純と会おうとしたことも、私物を渡すことで自分を思い出してもらおうとしたことも。
 これで完全に亜純との繋がりは切れてしまった。千景も今後は自分と亜純を会わせようとはしないだろうし、唯一仲を取り持ってくれていた真白は自分から遠ざけてしまった。

 あの時、真白との過去を亜純に話さなければ今頃友達として会う機会くらいは設けてくれたかも……なんてことまで考えた。
 亜純と夫婦関係を解消しただけで、亜純と繋がっていた全ての関係が切れてしまった。

 同窓会だって真白や千景を通して情報を得ていたから、直接依に連絡してくる友人もほとんどいない。
 亜純へ近寄らせないため、生活の全てを亜純に捧げるため、交友関係もほとんど絶ってきた。

 今自分に残されているのは職場関係ばかりで、自分の悩みを相談できる相手すらいないことに気付く。

 あれ……? 俺、完全に孤立してんじゃね?

 そう思った時には周りに誰もいない状態だった。依は亜純と撮った写真を見返しながら、ぼーっと亜純の笑顔を思い出していた。
 二度と自分に笑いかけることはない。それどころか、時々自分の隣に写る男も一緒にいるのだ。

 どこでどう間違ったのか、依にはわからなかった。最初から依に亜純は相応しくなかった。そう言われてしまえばそれまでだ。
 新しい恋人を作る気など起きない。初めて亜純に抱いたような感情なんか、この先湧くわけがない。
 そう思いながら、依の心の中は孤独感でいっぱいになった。
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