白くて四角い快適な部屋

白くて四角い快適な部屋

この部屋は、部屋全部が白くて、凄く清潔だ。
隣にいる人は、テレビを観て笑っている。

ご飯も、評判が悪かったのだが、思ったよりも美味しく、朝昼夜ごはんと3食付き、上げ膳据え膳で、空調も心地よい温度を保っていて、もの凄く快適だ。

私は46才、バツイチで、子供がいない。

この先科学の進歩に、多少の期待はしていたものの、現状は、これから先も、子供を産むつもりはなかった。

しかし、産む気がない。のと、産むことができない。というのは、女の私には、自分で想像していた以上に、全くの別もの。
精神的に、凄く大きな違いがある。

女と男の違いには、脳科学的にも、心理的にも違いは、いろいろとあるが、
その中でも特に身体的な大きな違い。それは子供が産めるか産めないか。という絶対的な差があるところだ。

この白くて四角い部屋に入った時の私は「子宮のある、子供を産むつもりはない」女。

しかし、この部屋から出る時には、「子宮がなく、子供が産めない女」として、
この白くて四角い快適な部屋を出ていく。

花音