わたしの竜胆

こと葉揺

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不誠実なけじめ

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 竜胆さんは親衛隊を集めてこれからの話をし始めた。そこには私も呼ばれた。


「親衛隊の皆さん。集まってくれてありがとう。これまで僕のために色々してれてありがとう。僕は正式に婚約者が決まったからこれまでの慰め会は無しにしようと思う」

 親衛隊がざわついていた。なんなら泣き出す子もいた。同性同士の戯れとはいえ恋をしていたのだ。それを我慢してつながっていたのにそれを一方的に打ち切られるのだ。

「ごめんなさい。婚約者に誠実に居たいと思ったの。これまでのことは本当にありがとう、感謝している。けじめとしてだけど…」

 そう言って竜胆さんはハサミを取り出し、そこ長い髪をバッサリと切った。

「僕が君たちに振られた」

 手にあった髪をパラパラと床に落とした。その姿は見惚れるほど綺麗だった。落ちた髪を親衛隊の人たちは慌てて集めていた。

「でも普通に仲良くする分には大歓迎だから、遠慮なく話しかけてきて」

 竜胆さんの妖艶な笑みにみんな見惚れていた。あまりにも身勝手な関係の打ち切り方だったので怒りに狂う人がいてもおかしく無かった。しかし、竜胆さんを前にするとみんな蛇に睨まれた蛙のようになるのだ。

 竜胆さんはわかりやすく私にだけ視線を向けていた。このままでは親衛隊の人に怪しまれると思い、その場を思わず去った。



「なんで逃げるの、すみれ」

 バンと壁に押さえつけられた。ここではあまりにも目立つので自分の部屋に連れていくことにした。



✴︎✴︎✴︎



「どう?すみれ、僕を独占できて嬉しい?」

 切った髪の先がバラバラで不恰好なはずなのに、その整った顔のせいか違和感はあまり無かった。

「…嬉しい……かも」

 竜胆さんは驚いた顔をしていた。彼は彼なりに私が戸惑っていることに気づいているのだろう。予想と反した反応で驚いたのだ。

「私は三人兄弟の真ん中で、1番構われていない。そして親友と呼ぶような親しい人も居ない。それなりに仲良くしてくれる友達はいるけど、その時々で友達は変わっていく。こんなに特別に思ってくれるなんて…」

 きっと颯さんだけだ…。

「何その顔。もっと嬉しそうにしなよ」

 竜胆さんは不服そうだった。普通に仲良くしていける分には良かった。でも先に体を繋げてしまい心がついていけてなかった。しかも脅されているのだ。どうしたって対等じゃない。それが悲しかった。

「嬉しそうなつもりなんだけど、ごめん」

「……さっきの話に創士君出てこなかったけど、何で?」

「…?特別仲良くないから」


「本当に?じゃあこれから創士君に会う時は必ず僕も連れて行って」

「どうして?」

 意味がよくわからなかった。竜胆さんと創士くんは何も関係ないはずだ。

「わからないの?」

 竜胆さんはまた不服そうな顔をした。するとまたベットに押し倒された。


「すみれは何を言っても喜ばないね。何をしたら喜ぶの?おしえてよ」

「ちょっと、竜胆さっ」

「颯って呼んで。2人きりの時はそうして」

「颯さん、落ち着いて」

「あ、そうか。すみれはエッチしてる時は喜んでたよね?僕にしがみついて体は僕のこと離れたくないってずっと言ってた。それに部屋に呼んだってことはだよね?」

 颯さんは恍惚な表情をして私の制服に手をかけた。優しく服を脱がされ、縋るように抱きしめられるとどうにも抵抗が出来なかった。



✴︎✴︎✴︎


 …あぁ、この潤んでいて獲物を捕らえるような瞳に見つめられるのが堪らなく好きだ。私しか見ていない。私だけを求めているこの時間が好きだ。少し乱暴なはずなのにどこか労わるような愛撫が好きだ。

 あの時の触れ合いで完全に颯さんに触られるのが気持ちいいことだと覚えてしまっていた。胸の先をはじかれたり舐められると何故だが下の方が切なくなり触れてほしくなる。期待に満ちた目を向けても焦らされて焦らされてようやく気持ちいいところに触ってくれるのだ。

「すみれっ……挿れるよ……っ」

 私の中に彼が入ってきた時の一体感が好きだ。私の中にはいると彼は自分の欲を放つことに支配されている。その余裕のなさにお腹の奥の方がジワリとしめつけられる。

「あっ……やっ…」

 パンパンと肌を打つ音と僅かにグチュッと溢れる液体が動く音が聞こえて、なんとも蠱惑的だ。

「その顔…もっと見せてっ……」

 颯さんに顔を近づけられて瞳をしっかりと捕らえられた。そうすると恥ずかしくてお腹がギュッとなった。

「あ、…おっき…ぃ…あっ…」

「…っ……すみれが締めつけるからでしょっ…はぁっ……」

 もう颯さんの形を覚えてしまって、私の気持ちいいところにコツコツと当たると目の前がチカチカする。だらしなく口が開いて涎が溢れそうになっていると、颯さんに口を吸われた。

「だらし…ないっ……いつもの姿からはとても想像できない……淫乱だねっ」

「やらっ……そんなっこと…いわなっ…やっイッ…イク……ッーーーー」


 何度目かの絶頂に体がものすごく喜んでいた。しかしやはり心の棘が大きくなっている感じがした。



「…っーーーー。……まだまだ時間はあるから、もう少し、僕だけ見てて…」


 どうしてそういうことを言うのだろう。私はいつだって貴方に心をとらえられているのに。


「他の人とはしない、悪いことたくさんしようね…」

 颯さんは私の口の中に侵入し、まるで食べられるかのようなキスの嵐で眩暈がした。



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